<zusammenとgemeinsamの比較>
はじめに
独和辞典をひくと両者はともに「一緒に、ともに」という訳語で表現され、「(=together)」という表示がある。英語・日本語ではひとくくりにされてしまうzusammenとgemeinsamの違いを考えてみたいと思う。
本論
zusammenは副詞、gemeinsamには副詞と形容詞の用法がある。まずはzusammen、そしてgemeinsamの順にみていくことにする。
さて、zusammenの用例を挙げると、
“denn hier konzentriert sich mehr als die Hälfte aller Arbeitsplätze , zusammen
etwa 12000. ”
(WKB/FF3.13704,
Frankfurter Allgemeine (2. Hj. 1990), Unklare Eigentumsfragen behindern Wandel,
90.09.17, S. 5)
*その他の例文はtakeda11(4).htmを参照
上記の例文でzusammenは「あわせて」と訳すことができる。これは、ひとつひとつを重視せず、「最終的に全部で」という意味合いが強い感じを受ける。‘集計’とでもいうべきものである。
次にgemeinsamであるが、形容詞・副詞という順番でみていこうと思う。
<形容詞>
“ohne den gemeinsamen
Geist der Vertragstreue ist ein echter Vertrag und ein wirtschaftlicher Verkehr
nicht möglich , gar nicht im technischen Zeitalter.”
( MK1/WJA.00000,
JASPERS, DIE ATOMBOMBE UND DIE ZUKUNFT DES MENSCHEN, Sachbuch. Piper&Co.
Verlag, München, 1958, S. 131)
*その他の例文はtakeda11(2).htmを参照
上記の例文でgemeinsamはGeistを修飾して、「共通する、ともに同様な」という意味で使われていることがわかる。辞書で調べると英語ではcommonに相当するという表記がある。その他、参照例文にはKultur,Entstehung,Sprache,などとともに使われ、他の例文にもこの訳語であてはめることができるようだ。ここで気が付くのは、これらGeist,Kultur,Spracheなど‘個々の性質’(たとえばGeistは‘精神’であり、人が持っている精神はおそらく誰とも完全に一致するものはないだろう。)を持ち合わせるであろう言葉が多いということだ。‘gemeinsamen Geist’とはいっても‘同じ精神’ではなく‘共通する’とか‘(協力して)同様な’という具合に訳したほうが、正確さがでる。
gemeinsamは‐samの形からわかるように、もともと形容詞で、そこから副詞として使われるようになったのであろう。そのため副詞として使うときも基本的には同じような意味の文脈で使われると考えて差し支えないだろう。副詞の用例を挙げると、
<副詞>
Ironie der Geschichte : die Deutschen in der DDR und Gorbatschow sind dabei
, sich gemeinsam durchzusetzen.
(WKB/BL1.02423, Bild (2. Hj. 1989), Letztes
Gefecht, 89.10.13, S. 2)
*その他の例文はtakeda11(3).htmを参照
上記の例文では、「(それぞれが)ともに」と訳すことができる。この場合は、2つの主語に対してsich durchsetzen(自分の意志を押し通す)という動詞と結びついているため、おそらくzusammenと置き換えられないのではないかと思う。
例えば、
“wir
gingen gemeinsam zu unserem Chef Mr. High , der uns bereits erwartete. ”
(MK2/TRI.00001 Autor?: G-man Jerry Cotton. Ein Teenager soll
sterben - Trivialroman - Bergisch-Gladbach: Bastei-Verlag, o. J., Nr. der
Reihe: 565, S. 12)
この場合は、zusammenと置き換えても文脈によっては成立する。したがって、この2つの使い分けは、文脈・つかわれている主語と動詞の関係などから判断することが必要であるといえる。