高田文子

ドイツ科4年 6299477

★はじめに

 "aushalten"と"ertragen" の意味 を『新アルファ独和辞典(三修社)』で引いて見ると、

  ・aushalten―――耐える、我慢する、辛抱する、持ちこたえる

  ・ertragen―――耐える、我慢する、辛抱する

 とあり、違いがあまりハッキリしない。

 そこで、COSMAS(Mannheimer Korpus1&2)などを駆使してこのふたつの動詞の違いを使用法などに着目して分析してみた。

 

 

aushalten

 ◇22文中14文が「人」が主語。

  内3文が否定の副詞とともに使われている。

 ◇22文中8文が「もの」が主語。

  物、身体などが<持ちこたえる、耐え抜く>という意味で使われている。

 *特定の助動詞と頻繁に使われるということはないようだ。
  

 

 

ertragen

  ◇"ertragen"の使われる文章のほとんどが否定形である。

    57の文章のうち実に31文が"nicht"、もしくはそれにかわる否定の副詞("kaum"など)とともに使用されている。

    さらに、否定の助動詞が文章中に使われていなくても、

    〇MK1/LSO.00000, STRITTMATTER, OLE BIENKOPP, Roman. Aufbau Verlag, Westberlin, 1963, S. 134

      welche Frau wird hinnehmen und gelassen ertragen , wenn ihr Mann mit einer Axt zu ihr ins Bett kommt ?

    のように反語的な意味で使われている文章も合わせれば、57文中36文が否定文ということになる。

  

  ◇"ertragen"は"können"とともに使われることが多い。

     57文中16文。うち否定文で使われているのが11文。

 

  ◇肯定文で使われる場合

   "müssen"とともに使われている場合―――2文

   "können"とともに使われている場合―――5文

   今回の分析ではそれ以上に特にこれといった法則性は発見できなかった。

 

  ◇三人称が主語の場合

   Mannheimer Korpusで"erträgt"で検索にかけてみたところ、5件ひっかかったが、いずれも主語は「もの」ではなく「人」であった。

   "ertragen"は"aushalten"のように「もの」が「持ちこたえる」「耐え切る」という意味では使用できないようだ。

 

 

★結論

 "aushalten"と"ertragen"に最大の違いは、前者は「もの」が「持ちこたえる」という意味でも使用できるのに対して、後者は「もの」を主 語として使用できず、人が不快などに「我慢する」という意味に留まっているという点であろう。

 これで、どちらを使用するべきか迷ったときには何を基準に選べばよいかわかった。

 不快に耐えられない時は"ertragen"…Ich kann es nicht mehr ertragen, so schweren Aufgaben zu machen!!

 ものが持ちこたえられそうにない時は"aushalten"…Mein Kopf kann nicht diesen aushalten......er wird kaputt!!