6200504
平成15年2月24日
竹田彩乃
理由を表す接続詞weilとdaの違い
<はじめに>
理由を表す接続詞といえばdenn,weil,daがよく用いられるが,辞書ではその使い分けが以下のように書かれている。
「daが相手も知っていることを理由とするのに対して,weilは相手の主に相手の知らない理由を表す。またweilは主文との因果関係を表すが,dennは前文で話者が述べた判断に対する根拠を補足的に表明する。」(三修社・アクセス独和辞典より)
上記から,dennの使い方は他のweil,daと明らかに異なっており,文を述べた後に理由を付け加えるための接続詞として使われる。しかし,da,weilの区別は,もう少しはっきりしないだろうか?相手が理由を知っているかどうかわからない場合の方が多いだろうし、区別の仕方として曖昧であるように感じる。そのため,今回はdaとweilに焦点をあてて、考察したいと思う。
<本論>
まずはweilの例文をいくつか挙げると,
・
Ich ging raus in die Küche , weil er
immer noch weinte , ich hörte ihn sogar ein bißchen schluchzen.
・
Es war schlimm , weil sich
herausstellte , daß wir in diesem Punkt fünf Jahre lang aneinander
vorbeigeredet hatten.
・
Ich würde froh sein , wenn mich Monika Silvs zum Kaffee einlud , nicht , weil es Monika Silvs war , sondern wegen des
kostenlosen Kaffees.
・
Sabine wird heimlich in Karls Manteltasche greifen , weil sie wieder ihr Taschentuch vergessen hat.
これらの文の場合,必ずしも聞いている相手がweil以下の理由を知っているとは限らない。ichが主語となっている文の場合は,weil以下は自分の考えであることが多く,むしろ知らなくて当然のような内容(理由)ばかりである。これらから,確かにweilは相手が理由を知らない,もしくは知らないと思われる場合に多く使われているようだ。しかし,自分が独作文をする際に使い分けるには,もう少し的確な説明がほしい。
次に,weilと比較するためdaの例文を挙げてみよう。
・ Besonders bedeutsam ist der regelmäßige Konsum von
Früchten und Gemüse, da diese
Nahrungsmittel viele Mineralstoffe, Spurenelemente und Faserstoffe enthalten.
・
Da die Universität Graz auf insgesamt 68 Standorte im
Grazer Stadtgebiet zersplittert ist, besteht unter einigen Universitätsbediensteten
schon lange der Wunsch nach Dienstfahrrädern.
・
Da auch die Heizölpreise zurückgingen, ermäßigte sich
die Heizrechnung der Verbraucher 1988 um 3,5 Mrd.
これらの文の場合,weilと比べると,da以下の理由は推測可能,もしくは当然の理由である場合が多いようだ。
このように見てくると,weilの場合は,事実に基づいた理由になっていることが多いといえるのではないだろうか。それに対して,daは論理的に説明できる理由になっているといえるだろう。したがって,weilは一般的な出来事に用いられ,daは理論に基づいた(または論理的な)理由を述べる場合に用いられる傾向にあるということになる。
また例文から,weilが後ろの文章に使われることが多いのに対し,daは前の文章に用いられることが多い。ドイツ語では重要なものが後置される傾向があることを考えると,weilで表現される理由のほうが,より強調される立場にあるということではないだろうか。daで表現される場合は理由よりも,その理由から起こったことのほうに主眼が置かれているように思う。なぜなら,daで表現される理由は上記のとおり,ある程度予測できるような印象の弱いものが多いと考えられるからである。
<まとめ>
weilとdaはともに理由を表す接続詞だが,weilは事実に基づく理由を,daは論理的な理由をそれぞれ表すことが多い。それにともない,比較的理由の内容が重視されるweilは後の文に置かれ,反対にdaは前の文に置かれること多いといえる。