T zu不定句


動詞は、文の中で使われるとき、主語の人称と数に応じて決まった形になり、これを定形と呼びます。それに対して、主語の定まっていないもとの形を不定形を呼びます(参照第二課)。不定形の動詞が他の語句とひとまとまりになったものを不定句と呼びます。ドイツ語の不定句は必ず動詞が最後に来ることが特徴です。
  不定句:mit Freunden Tennis spielen 友人達とテニスをする(こと)
  定形文:Er spielt mit Freunden Tennis.「彼は友人達とテニスをする」

不定句の中には、不定形の動詞の直前にzu をおいて作るものがあります。これをzu不定句と呼びます。「友人達とテニスをすること」というzu不定句はこのようになります。

zu不定句:mit Freunden Tennis zu spielen 友人達とテニスをすること

分離動詞では、基礎動詞部分の前にzuがおかれます。つまり、分離前綴りと基礎動詞部分でzuを挟み、かつ、1語で書くので注意が必要です。
 
um 7 Uhr aufzustehen 7時に起きること

 また、完了の不定句、受動の不定句、および、(英語と異なり)話法の助動詞もzu不定句にすることができます。いずれの場合も最後の助動詞の直前にzuがおかれます。

die Hausarbeit geschrieben zu haben レポート書いてしまったこと(完了のzu不定句)
mit dem Computer geschrieben zu werden コンピュータで書かれること(受動のzu不定句)
fließend Deutsch sprechen zu können流ちょうにドイツ語をしゃべれること(話法の助動詞のzu不定句)

[注]werdenを使った未来形(Er wird morgen kommen.「彼は明日来るだろう」)と話法の助動詞の主観用法(Das kann wahr sein.「それは真実かもしれない」)は定形しかないので、zu不定句にはできません。

 

II.zu不定句の用法

zu不定句は、動詞句に名詞句や形容詞句の役割を持たせたいときに使うものです。具体的には以下の用法があります。

名詞的用法
1) 主語および述語として:
 
Auf dem Bauplatz zu spielen ist verboten.「工事現場で遊ぶことは禁止されている」

auf dem Bauplatz zu spielenのzu不定句が全体として主語になっています。なお、このようにzu不定句が長いときは、esを文頭におき、zu不定句を後置することがよくあります。意味は同じです。

Es ist verboten, auf dem Bauplatz zu spielen.

zu不定句はまた「AはBだ」の述語部分(B)にも使われます。

Sein Ziel ist, Politiker zu werden. 彼の目標は政治家になることだ。 


2) 目的語として:

Ich hoffe, Sie bald wiederzusehen.「あなたにすぐに再会できるのを望んでいます」
Der Lehrer hat mir empfohlen, das Buch zu lesen.「先生は私にその本を読むことを勧めた」

上の文では、それぞれ、zu不定句はhoffen「望む」、empfehlen「勧める」の目的語になっています。
なお、前置詞句を目的語とする動詞の場合は、その前置詞にda-(その前置詞が母音で始まる場合はdar-)をつけて相関詞にします。(参照第五課発展

Er hat darauf verzichtet, den Plan zu verwirklichen. 「彼はその計画を実現するのをあきらめた」

形容詞的用法

1)名詞の内容を規定して
zu不定句は、Lust「(〜する)気」、Wunsch「望み」、Plan「計画」など特定の名詞の内容を規定する用法もあります。

Hast du Lust, mit mir ins Kino zu gehen?「僕と一緒に映画に行く気がある?」
Er hat den Wunsch, Arzt zu werden.「彼は医者になる望みを持っている」

3) etwas, nichts, vielと結びついて
etwas「何か」、nichts「何も...ない」、viel「多くのもの」とzu不定形が結びついてその内容を規定します。なお、この用法では動詞は単独でzuを伴い、目的語などは取らないのがふつうです。

Ich habe viel zu essen. 「食べるものはたくさんある」
Ich habe heute viel zu tun. 「今日はすることがたくさんある」

   

練習問題