I., 動詞の三基本形

Er kaufte ein Buch. 彼は1冊の本を買った.
Er hat ein Buch gekauft.

動詞の不定形,過去基本形(過去のichに対する形),過去分詞の3つを動詞の三基本形(三要形)と言います.動詞は過去形および過去分詞の作り方によって,大きく規則動詞と不規則動詞とに分類できます.

  規則動詞 不規則動詞
不定形 kaufen kennen finden
過去基本形 kaufte kannte fand
過去分詞 gekauft gekannt gefunden

【メモ】不規則動詞は辞書の見出し語にふつう*印がつけられています.また,辞書の巻末の不規則動詞変化表に語形があげられています.

 

II. 規則動詞 

規則動詞の過去形は語幹に-teを付けて作ります.過去分詞ではge--tという形になります.

    言う 待つ 雨が降る 研究する
不定形 -en sagen warten regnen studieren
過去基本形 -te sagte wartete regnete studierte
過去分詞 ge- -t gesagt gewartet geregnet studiert

【メモ】
・口調上のeの入る動詞(参照第二課発展)は過去形,過去分詞でもeが挿入されます.
・--ieren, --eienなど,語頭音節にアクセントのない外来系の動詞には,過去分詞にge-がつきません(参照第一課発展).

 

III. 不規則動詞

不規則動詞は大きく以下の3つのタイプに分類できます:
(1)強変化動詞
強変化動詞は語幹の母音(幹母音)を交代させて過去形,過去分詞を作ります.過去基本形は語尾がなく,過去分詞はge--enの形になります.

    話す 歌う 来る 書く
不定形 -en sprechen singen kommen schreiben
過去基本形 -x- sprach sang kam schrieb
過去分詞 ge-X -en gesprochen gesungen gekommen geschrieben

【メモ】
・現在人称変化でdu, erのところで幹母音が変わる動詞(fahren, essenなど:参照第二課発展)はすべてこのタイプです.
・語源的に対応する英語の動詞が不規則動詞ならば,ドイツ語でもおおむね不規則動詞になります.kommen: come, sprechen: speak, schlafen: sleepなど.ただし歴史的過程で両言語間で相違が出たものもあります:helfen: help, waschen: wash


(2)混合変化動詞
混合変化動詞は過去基本形,過去分詞を作るの枠組みは規則動詞と同じですが,幹母音が変わります.

  呼ぶ 送る もたらす 考える できる 知っている
不定形 nennen senden bringen denken können wissen
過去基本形 nannte sandte brachte dachte konnte wusste
過去分詞 genannt gesandt gebracht gedacht gekonnt gewusst

【メモ】
・幹母音がe→aと変わるだけの動詞はnn, ndを含む次の6語です.ndの2語は意味によって規則変化になります.
brennen「燃える」, kennen「知っている」, nennen「名づける」, rennen「かける; senden「送る」, wenden「向きを変える」
・bringen「持ってくる」, denken「考える」の2語は子音も変わります.
・不定形でウムラウトのある話法の助動詞(dürfen, können, mögen, müssen)は過去基本形,過去分詞でウムラウトがとれます.mögenは子音も変わりmochte, gemochtとなります.不定形でウムラウトのないsollen, wollenは規則変化です.話法の助動詞と同じタイプに属するwissen「知っている」も混合変化です.
・話法の助動詞が本動詞をともなって助動詞として用いられたときには,過去分詞は不定形で代用します.(詳しくは4ページの発展を参照)
Er hat gut Tennis spielen können彼は上手にテニスをすることができた.

(3)sein, haben, werdenの三基本形

  ある・いる 持っている なる
不定形 sein haben werden
過去基本形 war hatte wurde
過去分詞 gewesen gehabt geworden

練習問題