2014年6月3日 第1回FINDAS研究会「Dalit Studies Today」の報告

掲載日 | 2014年06月04日

2014年6月3日に、科研「近現代インドにおける食文化とアイデンティティに関する複合的研究」(基盤(B)代表:井坂理穂)との共催による、FINDAS研究会「Dalit Studies Today」を開催しました。

発表者1: Ramnarayan RAWAT (University of Delaware)
“Parallel Public and Dalit Genealogies of Indian Democracy”

本発表では、20世紀初頭のダリットの運動組織と思想家の実践に注目しながら、ダリット組織が重要な民主主義的実践の形式を形成するのに重要な役割を果たしたことが示された。様々なダリット運動は、国民会議派のアジェンダに抵抗しつつ、自らの独自のアジェンダを提示した。中でも、アディ・ヒンドゥー・マハーサバーは、権力に対する政治的な批判を、出版物を通じて展開した。こうした運動を、国民会議派を中心としたインドの主流な民主主義と並行して存在した、ダリットの公共的実践として捉え直した。

発表者2: Shahana BHATTACHARYA (Kirori Mal College, University of Delhi)
“Labour as Caste or Caste as Labour?: Tannery workers’ organisations Madras and Calcutta c. 1930-1970”

本発表は、20世紀初頭から1960年代前半にかけての皮なめし産業にみられた政治関係を観察することによって、労働者およびカーストのアイデンティティの錯綜した関連を考察した。具体的には、マドラスとカルカッタという、当時の皮産業の2大中心地における、皮なめし業の労働組合に注目した。これらふたつの地域において、カーストと階級のアイデンティティ、そして労働の過程が相互に影響を与えあった結果、初期の労働組合が形成されたことを論じた。

2014年2月11日 第3回FINDAS若手研究者セミナー「南アジアにおける女性参加の可能性」の報告

掲載日 | 2014年02月12日

2014年2月11日に行われました第3回FINDAS若手研究者セミナー「南アジアにおける女性参加の可能性」の報告です。

テーマ:「南アジアにおける女性参加の可能性――主体化・ガバナンス・エンパワーメント」

発表者1:
中村雪子(お茶の水女子大学)
タイトル「インドにおける開発プログラムとしての女性酪農協同組合の再検討:ガバナンスとエンパワメントの視点から」

発表者2
Momotaj Begum (Hiroshima University)
Title: “Creative Subject and Collective Agency among the Female Tablighi Activists in Bangladesh”

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発表者1:
中村雪子(お茶の水女子大学)
タイトル「インドにおける開発プログラムとしての女性酪農協同組合の再検討:ガバナンスとエンパワメントの視点から」

本報告は、ラージャスターン州において1992年から展開してきた村落/集落レベルにおける女性酪農協同組合(女性のみで構成・運営)設立によって農村女性のエンパワメントを目的とする開発プログラムを、酪農協同組合上部組織のガバナンスへの女性の参加の側面から再考するものであった。まず、近年、組合組織における法改正や酪農政策の変化によって酪農協同組合に参加する女性のために開かれた政治空間が生じていることを示した。同州でのフィールド調査から、県・州レベルの酪農協同組合組織意思決定機関である理事会に選出された女性理事の選出過程や理事としての実践は、ジェンダー、社会関係、政党政治などの諸要素によって複雑に構成されていることが明らかになった。

 

発表者2

Momotaj Begum (Hiroshima University)
Title: “Creative Subject and Collective Agency among the Female Tablighi Activists in Bangladesh”

近年イスラームの諸運動への女性の参加が進んでいる。本報告は、これらの運動への彼女たちの参加が、新しい政治空間・関係を生成する可能性について論じたものである。特に、インドから始まった、女性のタブリーギー組織であるマスーラテ・ジャマーアトをとりあげた。報告では、タブリーギー運動における女性の主体形成の過程に注目した。男性のイスラーム学者たちが形成してきた言説では、運動において女性の参加は受動的なものにすぎない。しかし、実際の女性たちは、タブリーギー運動において、積極的に主体形成を行ない、自らの言説や行為に意味を与えていることが論じられた。

2014年1月25日 第5回FINDAS研究会 「映画から解く社会運動―その可能性」の報告

掲載日 | 2014年01月26日

2013年1月25日に行われました2013年度第5回FINDAS研究会「映画から解く社会運動―その可能性」の報告です。

発表者:ラーム・ドヴィヴェーディ氏
タイトル:『SATYAGRAHA: Social Movement & Cinema(サッティヤグラハ:社会運動と映画)』

ディスカッサント:深尾淳一氏

本報告では、2013年8月に公開された映画『サッティヤーグラハー』を中心に、近年のインドの政治と映像表現の関係が考察された。インドでは、2011年から翌年にかけてのアンナー・ハザーレーの反汚職運動や、関連するアーム・アードミー党などが広く支持を集めてきたという社会的状況がある。2013年公開の『サッティヤーグラハー』もこうした政治状況を反映している。映画のいくつかの場面は、サッティイェーンドラ・ドゥーベーの殺害やディネーシュ・ヤーダヴの焼身自殺といった実際の出来事に対応している。また、映画全体のコンセプトも反汚職運動の近年の動きを反映しており、タイトルはM.K.ガーンディーの思想を想起させるものとなっている。こうした社会問題をとりあげた映画が、都市を中心に社会制度の問題に意識的な中間層のオーディエンスを集めていることが論じられた。

2013年12月17日 第4回FINDAS研究会 Dr. Ghanshyam Shah Economic Growth and Social Inclusion: A study of Gujarat の報告

掲載日 | 2013年12月18日

2013年12月17日に行われた2013年度第4回FINDAS研究会の報告です。

Dr. Ghanshyam Shah
Economic Growth and Social Inclusion: A study of Gujarat

2013年度第4回FINDAS研究会では、ICSSRより社会運動研究家としても著名なDr. Ghanshyam Shahの講演会を行った。

本講演では、1990年代の経済自由化以降の約20年間のインドにおける政治経済状況に関する考察が行われた。この間の経済政策の結果として、経済成長が達成された一方で、富がアンバランスなかたちでしか分配されていない。この状況に関する分析が、本講演での議論の中心として設定された。シャー氏は、グジャラート州の事例を分析し、成長によってもたらされた富の分配は、政府にとって中心的なアジェンダとはされてこなかったことを示した。また、不平等な分配は、コミュニティ間というよりもそれぞれのコミュニティ内で進行していることも指摘された。シャー氏の講演は、経済成長と同時に、富の平等な分配に基づく公正な開発が必要であることを強調して締めくくられた。

shah

2013年11月4日 第3回FINDAS研究会 「歴史から紐解く現代インド:象徴とテクスト」の報告

掲載日 | 2013年11月06日

2013年11月4日に行われました2013年度第3回FINDAS研究会の報告です。本研究会は基盤研究(A)「多言語重層構造をなすインド文学史の先端的分析法と新記述」(代表:水野善文)との共催でした。

全体テーマ: 歴史から紐解く現代インド

発表者1:水野 善文
発表者2:太田 信宏
発表者3:高島 淳

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発表者1:水野 善文(東京外国語大学 総合国際学研究院)
「極楽・龍宮・錬金術」
本報告は、仏教文献、二大叙事詩・プラーナ、その他各種の説話文学を検討し、極楽浄土・龍宮・そして錬金術/長生術というテーマが交錯するあり様を描き出した。仏典に見られる極楽浄土と地下/海底世界としての龍宮とが重なり合うものであったこと、地下世界からもたらされる錬金術が長生術と融合するものであったことを、多様な文献からの例を示しつつ明らかにした。

発表者2:太田 信宏(東京外国語大学 アジア・アフリカ言語文化研究所)
「植民地期南インドにおける歴史記述をめぐる諸問題」
本報告は、マイソール藩王チャーマ・ラージェンドラ(在位1868-94)没後に書かれた歴史記述の内容と形式を比較検討するものであった。マイソール王国史の概略と、チャーマ・ラージェンドラ王の位置づけについて説明が行なわれた後、20世紀前半におけるマイソール王国史の編纂・出版の流れが示された。本論では、Em. Simgrayya と Sosale Ayyasastri というふたりの著者による歴史の叙述を比較分析した。いわゆる「近代的な」歴史叙述が、植民地化によって一様に移植されたのではなく、前植民地的な形式と新たな形式が混在していたことが示された。

発表者3:高島 淳(東京外国語大学 アジア・アフリカ言語文化研究所)
「ラームモーハン・ロイとタントリズム」
本報告は、ラームモーハン・ロイによるタントラの利用のしかたについて、具体的な文献の検討を通じて考察するものであった。『クラールナヴァ・タントラ』などの文献を参照しつつ、『マハーニルヴァーナ・タントラ』とロイの関係の検討を中心に行なった。ロイが学問的にどれほど深いタントラ理解を有していたかについては疑問を示しながらも、彼の思想にタントラが重要な影響を与えていたことを確認した。

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