2015年度 第一回FINDAS若手研究者セミナーの報告

掲載日 | 2015年06月15日

研究会の様子

研究会の様子

5月24日に開催いたしました、第1回FINDAS若手研究者セミナーの報告です。

「近年のヒンディー語映画に見るナショナリズムの形態」と題する倉田報告では、前半に、国民国家概念に関する先行研究を検討し、電子メディアに属するとされる映画作品をつうじて、そこで喚起される国民国家のありようと、それを志向する観客の特性を考察した。参加者からは、議論の枠組みに関する質問、映画分析の手法、経済自由化以降のヒンディー語映画の独自性など、幅広い観点から今後の研究の進め方について論じられた。
 続く須永報告は、「マウラーナー・マウドゥーディーと東パキスタン独立」という題目で、マウドゥーディーの東パキスタン独立に関する思想形成について、マウドゥーディーの著作および東パキスタン独立に関する著作を概観したうえで、自著、講演録、新聞投稿記事など様ざまな史資料から、ベンガル語、東パキスタン独立運動前後にかんする発言を詳細に紹介した。マウドゥーディーがベンガル語の国語化に賛同していたこと、関心の推移と変わらぬ立場(バングラデシュの承認を否定)を指摘し、歴史社会的文脈を分析した。質疑応答では、当時の国際社会情勢など多くの質問が提起され活発な議論が行われた。

参加者18名

2015年度 第一回FINDAS研究会「テランガーナ分離運動を振り返る」の報告

掲載日 | 2015年05月27日

4月25日に開催いたしました、第1回FINDAS研究会の報告です。

◆山田 桂子(茨城大学)「テランガーナ分離運動を振り返る」

インド第29番目の州として、アーンドラ・プラデーシュ州から分離、創設されたテラン ガーナ州の分離運動を取り上げ、その系譜を短・中・長期的観点からに概観するととも に、運動体や活動家の特性を明らかにし、運動全体の歴史的意義を検討した。参加者か らは、新州設立という帰結が他州の分離運動に与える影響とインド政治の展望などにつ いて多くの質問が提起され、活発な議論が行われた。

IMG_0014 IMG_0015                                                                   参加者:43名

2014年11月8日 第2回FINDAS国際ワークショップ ”Rethinking Indian Cinema” の報告

掲載日 | 2014年11月09日

11月8日に開催いたしました、2014年度第2回FINDAS国際ワークショップの報告です。

全体テーマ:”Rethinking Indian Cinema”

アニール・ザンカル(フリーランス、ヴィッディヤ・コミュニケーションズ)
“The Innovative Parallel”

本報告は、メインストリームにあるヒンディー語以外のインド諸語の映画について、具体例を紹介しつつその歴史を描きだすものであった。ベンガル語映画のショトジト・ロイをパイオニアと位置づけ、その後につづく映画監督たちの作品について、それらを変革の歴史と評価した。ただし、その変革の流れは、1980年代半ばまでには収束してしまい、各言語における映画作品のテーマや形式は画一的なものが繰り返されるようになった。しかし、近年新進の映画制作者たちにより、地域映画は新たな展開を見せていることを示した。

押川文子(京都大学)
“Hindi Films in Multiplex Age: Citizenship and ‘Others’”

本報告では、近年ますます台頭しつつあるインドの中間層が、映画というメディアを通して社会をいかに表象あるいは認識しているかが論じられた。この作業を通じて、中間層というものそれ自体について再考することが試みられた。特に、複数のスクリーンを持つ、いわゆるマルチプレックスと呼ばれる複合映画館に焦点を当てた。これらは、地域や視聴者の属性によって差異はあるものの、教育を受けた中間層の若者を中心に、その多様な価値観が表出される場となっていることが論じられた。

ザンカル氏と押川氏の報告の後、コメンテーターの山下博司氏による議論の整理の後、多言語の映画の展開の特徴、中間層による映画の消費・活用のあり方などについて、フロアの参加者を含めて活発な議論が行われた。

2014年10月13日 第3回FINDAS研究会「Lindsey Harlanさん講演会」の報告

掲載日 | 2014年10月14日

10月13日(月)に開催いたしました、2014年度第3回FINDAS研究会の報告です。

講演:Lindsey Harlan(Professor of Religious Studies, Connecticut College)
“A Battle of Wits: The Jain Goddess Gevar Bai and the Great King Raj Singh”

本報告は、ラージャスターンにおけるジャイナ教女神信仰を中心として、当該地域における宗教世界の歴史の一端を明らかにしようとする試みであった。ジャイナ教女神信仰は、ラージプート王権とのあいだにとり結ばれた複雑な関係を背景に持ちながら、人々のあいだに連綿と生き続けてきた。報告では、人々のあいだに伝承されてきた、17 世紀以降の様々な伝説のヴァリアントが読み解かれた。さらに参加者から、ラージプート王権の与えた影響、口頭伝承におけるジェンダー性の立ち現れ方などについて問題提起がなされ、具体的な事例の紹介が行われた。

2014年7月5日 第2回FINDAS研究会「南アジア・市民活動のアクチュアリティ」の報告

掲載日 | 2014年07月06日

7月5日(土)に開催いたしました、2014年度第2回FINDAS研究会の報告です。

全体テーマ:「南アジア・市民活動のアクチュアリティ」

田口陽子(日本学術振興会特別研究員(PD)京都大学)
「「市民社会」と「政治社会」の相互関係――ムンバイの市民運動を事例に」

本発表では、ムンバイの市民運動を事例に、インド都市部における近年の市民運動についての議論が展開された。理論的枠組みとしてはパルタ・チャタジーのモデルを下敷きとし、「市民社会」と「政治社会」の領域を区別したうえで、その関係を事例の観察を通じて考察した。1990年代以降の新しい「市民社会」を体現するとされる「(新)中間層」の運動家たちは、「政治社会」の領域の「非・市民」と自らを対比することによって、「市民」としてのアイデンティティを獲得すると論じた。しかし、「市民社会」と「政治社会」の錯綜した関係の中で、事例における運動は必ずしもうまくいかず、運動家たちは社会に対する結果よりも市民的モラルの探求に向かったことを指摘した。

 

大橋正明(聖心女子大学)
「インドNGOの光と影」

本発表では、実務家として南アジアのNGO活動に関与してきた大橋氏が、NGOに関する俯瞰的な整理と各国間の比較を行った。特に、インドの西ベンガル州とバングラデシュにおける、マイクロクレジット関連の事業に従事するNGOについて重点的に比較を行った。バングラデシュでは開発NGOがマイクロクレジットの担い手となった結果それらの組織が金融機関化している一方で、インドでは開発NGOとマイクロクレジットを担う主体が分かれているため金融機関化はしていない。開発NGOが金融機関化したバングラデシュでは、マイクロクレジットに事業の重点が移り、本来の開発事業が疎かになっている危険性を指摘した。

2 / 1012345...10...最後 »