2020年度 第2回FINDAS研究会「南アジアの農村社会と出稼ぎ労働者」の報告

掲載日 | 2020年07月08日

2020年度 第2回FINDAS研究会「南アジアの農村社会と出稼ぎ労働者」

2020年6月13日(土)14:00~17:00

ZOOM(オンライン)会議

参加者数: 35名

 

報告1

藤田幸一・小茄子川歩・Muniandi Jegadeesan

「アラブ首長国連邦(UAE) における南アジア系労働者の就労事情について」
On the working conditions of South Asian migrants in UAE 

 

アラブ首長国連邦(UAE)は多くの外国人労働者を抱え、総人口の88.5%を外国籍が占める。その中でも南アジア系の労働者は総人口の54%と、突出している。本報告では、UEAに住む外国籍の約3分の2を占める南アジア系労働者たちの置かれた、出稼ぎのルートやビザ事情といった就労に至るまでの過程、そして実際の就労環境等が、多くの事例調査、写真をもとに紹介された。特に非熟練・半熟練労働者は低賃金、劣悪な環境(住居・食事)の中で生活費を抑え、そのほとんどを自国に送金していることが調査に基づくグラフによって示された。それに対し、就労開始年が早い熟練労働者や大卒以上の高学歴労働者は月収も高く、生活環境にも比較的恵まれていることが指摘された。報告の最後では、ケーララ州出身の出稼ぎ労働者について触れた。UEAのケーララ州出身の出稼ぎ労働者は、インド出身者の約3分の2を占めるほど多いとされる。1990年代末頃までは非・半熟練労働者が主であったが、近年、大卒以上の比率が高くなり、それに伴って家族を呼び寄せて一緒に住むケースも増えているなど、労働事情に変化が見られてきたことが報告された。

 

報告2石坂貴美
 「バングラデシュ農村における女性の貯蓄活動の事例報告」
A case study of women’s savings groups in rural Bangladesh

 

本報告では、バングラデシュノウガ県マンダ群で行った現地調査をもとに、女性による二つの貯蓄グループの活動が報告された。第一のグループは、農村のムスリム女性による現金貯蓄型グループである。2007年に立ち上げられたこのグループは、同国でNGOとして活動するBRAC (bangladesh rural advancement committee) のマイクロファイナンスを模倣する形で始められた。彼女たちは独自のグループにのみ頼るのではなく、グループとBRACなどマイクロファイナンスのもつ長所と短所をよく理解し、うまく併用していることが指摘された。第2の例として、同地区の少数民族(クリスチャン)にみられる現物貯蓄(一握米)が挙げられた。集められた米はメンバーに貸し出されるほか、市場で販売し現金資本を有することで、現金融資も可能となっている。興味深い点は、どちらのグループも女性が主導していること、さらに女性たちの活動をみて男性たちが模倣し始めたことにある。女性たちが内発的に開始した相互扶助の仕組みがセーフティーネットとしてどのように機能しているのか、収集した帳簿のデータ化と分析とさらなる聞き取り調査を行う予定である。

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