2014年7月5日 第2回FINDAS研究会「南アジア・市民活動のアクチュアリティ」の報告

掲載日 | 2014年07月06日

7月5日(土)に開催いたしました、2014年度第2回FINDAS研究会の報告です。

全体テーマ:「南アジア・市民活動のアクチュアリティ」

田口陽子(日本学術振興会特別研究員(PD)京都大学)
「「市民社会」と「政治社会」の相互関係――ムンバイの市民運動を事例に」

本発表では、ムンバイの市民運動を事例に、インド都市部における近年の市民運動についての議論が展開された。理論的枠組みとしてはパルタ・チャタジーのモデルを下敷きとし、「市民社会」と「政治社会」の領域を区別したうえで、その関係を事例の観察を通じて考察した。1990年代以降の新しい「市民社会」を体現するとされる「(新)中間層」の運動家たちは、「政治社会」の領域の「非・市民」と自らを対比することによって、「市民」としてのアイデンティティを獲得すると論じた。しかし、「市民社会」と「政治社会」の錯綜した関係の中で、事例における運動は必ずしもうまくいかず、運動家たちは社会に対する結果よりも市民的モラルの探求に向かったことを指摘した。

 

大橋正明(聖心女子大学)
「インドNGOの光と影」

本発表では、実務家として南アジアのNGO活動に関与してきた大橋氏が、NGOに関する俯瞰的な整理と各国間の比較を行った。特に、インドの西ベンガル州とバングラデシュにおける、マイクロクレジット関連の事業に従事するNGOについて重点的に比較を行った。バングラデシュでは開発NGOがマイクロクレジットの担い手となった結果それらの組織が金融機関化している一方で、インドでは開発NGOとマイクロクレジットを担う主体が分かれているため金融機関化はしていない。開発NGOが金融機関化したバングラデシュでは、マイクロクレジットに事業の重点が移り、本来の開発事業が疎かになっている危険性を指摘した。