2012年11月17日 第3回FINDAS研究会「インド、『食』をめぐる断章」の報告

掲載日 | 2012年11月29日

11月17日に行われました2012年度第3回FINDAS研究会「インド、『食』をめぐる断章」の報告です。

テーマ「インド、『食』をめぐる断章」

報告者1: 小磯千尋 Chihiro KOISO(大阪大学)

報告者2: 井坂理穂 Riho ISAKA(東京大学)

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報告者1: 小磯千尋 Chihiro KOISO(大阪大学)
「マラーティー語料理本に見るヒンドゥー儀礼食と『マハーラーシュトラ料理』」

本報告は、マハーラーシュトラ州とりわけプネーの高カーストのヒンドゥー教徒にとっての、断食の意味とその内容について考察を行うことを課題とした。報告ではまず、1990年代以降に数多く出版された、マラーティー語のレシピ本を紹介するとともに、その中に必ず断食用の食事の章があることを指摘した。そうした食事内容について、報告者のフィールドから実際の儀礼食を紹介するとともに、その意味するところを事例を交えながら具体的に考察した。

小磯氏配布資料

報告者2: 井坂理穂 Riho ISAKA(東京大学)
「植民地期インドのミドル・クラス家庭における『食』」

本報告では、植民地インドのミドル・クラスにおける「食」をめぐる観念・慣習、さらには「西洋」に対する認識がどのように変化したのか、またその変化の過程において、地域・宗教・カースト等の「コミュニティ」をめぐる議論や運動とどう絡み合っていったのかということを、インド西部の知識人の記述に焦点を当て考察した。植民地期のミドル・クラスの社会的地位やアイデンティティといった自己認識、それと食の関連とその変化、それを取り巻く政治的・社会的文脈、これらについて総合的な検討を行った。

井坂氏配布資料

報告に引き続き、フロアからはインド各地の事例の紹介を伴う、情報内容の豊かな討論が積極的に行われた。また、植民地期からの連続性や変化について、さらには食文化の歴史研究の方法論的な可能性についてまで広範な議論が行われ、今後のインドの食文化研究の展開に資すると期待される様々な論点が提出された。