学長メッセージ

 

 

東京外国語大学長

池端  雪浦

(歴史学 東南アジア史)

 

地球規模での一体化(グローバリゼーション)とさまざまな文化間の対立・交流を伴いながら激しく変動しつつある現代世界。東京外国語大学は、この現代世界を対象に教育・研究活動を行っています。  本学の歴史は、古くは1857年(安政4年)の蕃書調所にまで遡ることができますが、直接の前身は1899年(明治32年)に高等商業学校から分離独立して誕生した東京外国語学校です。第二次大戦後の1949年(昭和24年)に学制改革によって現在の4年制の東京外国語大学となり、今日に至っています。

しばしば誤解されるように本学は単に「外国語」の教育研究を行っているだけではありません。その英語名 Tokyo University of Foreign Studiesが示しているように、言語を核としながら、日本を含む世界各地の文化と社会に関して総合的な教育研究活動を行っているのです。本学は、26にのぼる言語と関連地域の文化について教授している外国語学部、欧米・アジア・日本など7地域を対象とする大学院地域文化研究科、「卓越した研究拠点(COE)」に選定された全国共同利用のアジア・アフリカ言語文化研究所、国費留学生の教育にあたっている留学生日本語教育センターを擁し、外国研究の総合大学とも言える独自の個性を持った存在です。カバーしている言語の数と対象地域の広さ、専門スタッフの層の厚さと多様さからみて、世界でも有数の地域教育研究の拠点であると言えるでしょう。

昨年(2000年)秋、本学は府中の新キャンパスへ移転しました。緑豊かな自然環境の中にあって、国内最高水準のコンピュータ・ネットワークシステムをはじめ、最新の情報教育設備を備えたキャンパスで、4500人を超える学生たち(そのうち約660名近くが世界各地からの留学生です)が学んでい ます。

今後、世界の諸地域がさらにいっそう密接に結びつき交流を深めていく中で、 本学は国際貢献に寄与する優れた人材を送り出す教育研究機関として、ますますその重要性を増していくものと確信しています。