2010年度シラバス(欧米第一・第二・南西アジア地域社会論*2年生から受講可能)
国際関係とアフリカ地域
前期 月曜日 4限 14時50分~16時20分
115教室 (101教室から変更)
講師:舩田クラーセンさやか
授業やアフリカ情報に関するブログ http://afriqclass.exblog.jp/
【背景】
2010年は、アフリカ諸国が次々と独立を達成した「1960年=アフリカの年」から50周年目にあたる節目の年である。と同時に、サッカー・ワールドカップが史上初めてアフリカで開催されるという記念すべき年となっている。
ここ数年、アフリカでは、中国やインド、ブラジルなどの新興諸国の経済進出が活発となっており、資源価格の世界的な高騰などもあり、目覚ましい経済成長を遂げている。「資源産出地」、「地球最後の新興市場」として、アフリカは経済界などから熱い視線を集めつつある。
一方で、アフリカでは、今でも貧困状況下で暮らす人が人口の半数を超え、HIVエイズ・マラリア・結核などの三大感染症の感染率、妊産婦の死亡率、初等教育を受けている子どもの割合、5歳までに生き延びる可能性など、いずれも世界最悪となっている。これらの問題の克服は、2000年の国連ミレニアムサミットで、国連ミレニアム開発目標(MDGs)と名付けられ、2015年までの達成に世界が努力することが国際的に合意されている。しかし、後5年と迫った現在、世界の中でアフリカだけがこの目標達成を絶望視されている状態にある。
本講義は、このような矛盾を抱えながら、日々急速に変貌を遂げるアフリカに接近するための、入門となっている。
【授業の目的~アフリカ研究、国際関係論研究の入門編として】
本授業では、以上の世界・アフリカを取り巻く状況の変化をおさえつつ、そもそも以上のMDGsに代表される「アフリカ問題」と呼ばれる「問題」の本質について、多角的な視点から再考する機会を設ける。
「アフリカは本当に貧しい」のか?「貧しい」とはどのような意味においてか?国際関係に占めるアフリカの「低位置」はいつ始まったのか?その背景には何があるのか?などについても取り上げ、表面上の傾向の把握にとらわれない深い理解を獲得できるよう、歴史・社会に軸足を置いた授業を目指す。
アフリカについて学ぼうとするとき、アフリカだけを見つめていても、本当の意味でアフリカを学ぶことにならない。それは、この地域が国際関係に翻弄されてきたからであり、本講義が「国際関係とアフリカ地域」という枠組みで開講される背景となっている。また、本講義は、アフリカ以外の地域あるいは国際関係論を学びたい学生も対象としている。それは、アフリカから考えることは、我々が陥りがちな「欧米中心主義」的な世界観を乗り越える手助けとなるからである。
「遠いアフリカ」をより身近に感じてもらうため、内外のゲストを招く他、参加型学習・視聴覚教材を多用する。
【公開講演会(予定)】
l 「映画インクビタスを通して考える南アフリカの今~サッカー・ワールドカップ南アフリカ大会に向けて』
by 山本めゆ(京都大学)
l 「ケニア・キベラスラムの子どもたちのエンパワーメント~マゴソTVの試み」 by 早川千晶氏(ナイロビ在住フリーライター)
l 「アフリカ報道について考える」
by テレビ関係者
【授業計画】
(1)
アフリカ地域をめぐる世界の2000年から現在までの動きをおさえる。
(2)
世界史に占めてきたアフリカ地域の「位置」、アフリカへの「視座」についてふり返る。
(3)
「アフリカは本当に貧しいのか?」について考察する。
(4)
「アフリカ地域の実態」に触れる機会を設ける。
(5)
現在の国際関係におけるアフリカの「位置」を再考するとともに、この背景について検討する。
日程
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内容
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概要
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参考資料
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4月12日
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オリエンテーション
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【参加型】各自の持つアフリカのイメージと関心事項を確認しつつ、現在のアフリカの課題について知る
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ブレーンストーミング
「アフリカ零年」(NHK ETV特集)
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4月19日
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現代アフリカと私たち~距離を見つめる
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【参加型】【講義】 アフリカ報道の今
身近なアフリカリサーチ
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2008年~2009年までの新聞・雑誌のアフリカ特集を概観する
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4月26日
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現代世界における「アフリカ」と「アフリカ問題」の位置~日本の関わり
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【パワポ】【報道番組鑑賞】
世界・日本におけるアフリカの位置づけの確認
現代アフリカの抱える問題 (特に、「貧困」)
2005年から現在のアフリカと世界をめぐる動き
①
G8サミット
②
ほっとけない世界の貧しさキャンペーン
③
国連MDG中間レビュー
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・国連開発計画(UNDP)『人間開発報告書2009』
・国連ミレニアム開発目標(MDGs)パンフレット
・外務省『ODA白書(日本)』
・『開発教育ジャーナル』
・NHK報道番組など
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5月10日
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5月17日
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【パワポ】【報道番組鑑賞】 前週の続き
④
中国とアフリカ
⑤
TICAD IV(第四回アフリカ開発会議)
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5月24日
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現代世界における「アフリカ」の位置づけとその歴史的背景~視座再考のために
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【講義】【ビデオ鑑賞】 西欧世界・日本のアフリカに対する「視座」を再考し、その背景を学ぶ
①
古代アフリカ文明
②
大航海までのアフリカ
③
征服されるアフリカ
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Basil
Davidsonをナビゲータとするアフリカ史のBBC番組
5月31日
*課題提出(アフリカ報道)
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5月31日
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【講義】【ビデオ鑑賞】
④
抵抗するアフリカ
⑤
アフリカの解放
⑥
現在からふり返る
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6月7日
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私たち、日本社会の眼差しの確認と分析
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【参加型学習】
提出した課題に基づき、グループワーク&発表
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模造紙・マジックペン
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6月14日
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現在の世界、アフリカ、日本の関係
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【講義】日本・アフリカ間関係の歴史を知る (1)
~歴史を遡る
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『アフリカの日本人』
*教科書が出来ていれば
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6月21日
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【講義】日本・アフリカ間関係の歴史を知る (2)
~日本の対アフリカ援助
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『アフリカ政策市民白書』
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6月28日
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【講義】日本・アフリカ間関係の歴史を知る (3)
~TICAD IV・G8北海道洞爺湖サミットの検証
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『アフリカ政策市民白書』
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7月5日
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ふたたび足元から考える
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【参加型学習】 本当にアフリカは貧しいのか?
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課題文 ビデオ「ぶらぶら歩き」
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7月12日
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【公開講演】
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調整中
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7月26日
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期末試験
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8月2日
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解説&講演
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成績評価:出席(3割*毎回取ります)、感想文(1割)、課題レポート(2割)、期末試験(4割)
*毎年単位を落とす人が3割はいます。とりあえず登録するのではなく、やる気のある人だけ登録してください。
*言うまでもないですが、授業中の私語・携帯利用は禁止です。授業中の携帯利用者は、その場で不合格です。
*また、ペーパレス授業を目指すため、なるべく配布資料は電子ファイルで対応します。
【課題】「アフリカ報道」リサーチ
5月31日(月)授業の最初に、以下のイ)~ニ)までを書いて提出(A4x2枚以上+スクラップ)
(1)
ある1週間(7日間)、①日本で発行された日本語の新聞(紙媒体、コピー可)と②外国で発行された外国語の新聞(OnlineでもOK)を、毎日継続して隈なく読んで、アフリカについての報道をスクラップする
(2)
スクラップをもとに、報道の傾向(量・体裁・中身)を日本・その他の新聞それぞれについて分析
(3)
日本とその他の新聞の記事を比較して分析
(4)
このリサーチをしての感想
*このレポートは、参加型学習で使う他、コメントして返却いたします。
【教科書】
● 舩田クラーセンさやか(編)『アフリカ学入門』明石書店
<=出版は6月中になるので、それ以降に購入のこと。教科書は前半の復習に役立つようになっています。
【参考文献一覧】
● 宮本正興・松田素二『新書アフリカ史』講談社
● 大林稔・石田洋子『アフリカ政策市民白書2005』~『アフリカ政策市民白書2008』晃洋書房
● 勝俣誠『アフリカは本当に貧しいのかー西アフリカで考えたこと』朝日新聞社
● 中村香子「おカネはミルク、おカネは水」小馬徹(編)『くらしの文化人類学~5.カネと人生』雄山閣
● 宇佐美久美子『アフリカ史の意味』世界史リブレット 山川出版
● アイリス・バーガー&フランシス・ホワイト『アフリカ史再考―女性・ジェンダーの視点から』未来社
● 青木澄夫『日本人のアフリカ「発見」』山川出版
● 青木澄夫『アフリカに渡った日本人』時事通信
● アフリカ理解プロジェクト『アフリカン・ドレス』『アフリカ・キッチン』明石書店
● 国連開発計画UDNP『人間開発報告書』
● 『世界60カ国価値観データブック』
【今年度本学で履修できるアフリカ関係の授業】
1.
地域基礎 欧米第二課程 「ポルトガル・アフリカ研究入門ⅠⅡ」(前期・後期)(舩田)(114号室)
2.
専修専門
(ア)
グローバルガバナンス研究「人間の安全保障と開発」(峯陽一先生/同志社大学/JICA研究所)(後期集中)
著名な開発経済学者であり、南アフリカ研究者の第一人者である峯先生の授業。
教え方も上手く、人柄も素晴らしく、後期のしかも集中ですが履修して絶対損はしません。
*アフリカ・ゼミ生は要履修。
(イ)
アフリカ地域研究「現代アフリカ紛争論」(後期月4限)(115号室)
レポートの書き方・プレゼンの仕方も教えているので、演習として履修してもらえればと思います。また、後期のアフリカ関係の公開講座は、この授業で行います。
*ゼミ生は必修。
(ウ)
アフリカ地域研究「アフリカ文化論」(鈴木裕之先生/国士舘大学)(後期金2限)(101号室)
もう外大の伝説になっているほど人気の授業です。毎時間爆笑(?)の渦で、立ち見も。
*ゼミ生は必修
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