動詞penserと従属節の法

 penserとは、フランス語に置いて、自分の主観的意見を表現するときに最も一般的かつ中立的に用いられる動詞である。この動詞をとりあげ、penser que以下の従属節に現れる法が、直説法、条件法、接続法のいずれであるかを研究し、それらの法が現れる条件を出来るだけ厳密に分析する。肯定文、否定文、疑問文といった要素や、会話であるか文語であるか、主語が1人称であるか否かによっても大幅な差異が現れることを発見した。今回はコーパスとして、文語はFRANTEXT、口語はL’echo de la Franceを利用し、集積する。直説法か接続法かの判別が出来ないものは対象外とし、時制の研究ではないため、直説法現在か直説法単純過去かの判別が出来ないものも細かく検証しない。しかしながら、条件法を分析するに当たっては、直説法単純未来が時制の一致を受けた可能性があるため、この限りではない。 直説法と接続法の比較による研究は昔からされているが、やはり法を持たない言語を母語とする者にとっては分かりづらいため、条件法も含めた上で、新たな法使用の判断材料を発見することを目的としている。