ケベックフランス語における語彙特徴 宮坂 愛
序章でケベックの歴史とケベック・フランス語が概説されています。この論文は、Cl. Poirier, Dictionnaire du français
québécois (DFQ) (1985)の語彙を詳細に分析しています。第1章は、辞書の語彙を、Archaïsme、Innovation、Anglicismeというカテゴリーに分けて考察しています。Archaïsmeでは、Nouvelle-France期に入った船乗りの語彙が多いこと、Anglicismeは、アメリカ英語からの借用語が圧倒的であることなどが指摘されました。第4章では、語彙の使用地域の特徴が考察され、DFQの語彙は、セント・ローレンス河の北岸に集中しているものが多いことがわかりました。これはDFQが、Montreal、Trois-Rivières、Québecといった、北岸を中心とする標準ケベック・フランス語を収録し、Sherbrookeのような南岸に特徴的な単語を収録していないからだと思われます。