プロヴァンス地方における地域フランス語に関する一考察 前田 健志
プロヴァンス語の概説にあてられた第1章の後に、Cl. BouvierやPh. Blanchetによるプロヴァンス語の分析とその方法が検討されています。第3章で、ALP(プロヴァンス地方民俗言語地図)の分析が行なわれます。筆者は、言語地図を3つに分類します。A.標準語と地域フランス語が競合している地図、B.ほぼ全域に地域フランス語とその変異がみられる地図、C.その他、です。それぞれのカテゴリーについて、特徴的な数枚の地図が分析されています。第4章は、音声特徴の分析にあてられ、A.語末子音の脱落・保存、B.KAの保持と口蓋化、C.GAの保持と口蓋化について、数枚の言語地図を分析しています。結論としては、Cl. Bouvierが指摘するように、北部と南部をわける方言境界、山岳部とそれ以外の地域をわける方言境界の重要性が追認されています。最後の第5章では、形態論的な特徴として、複数形の-sとその脱落、定冠詞の複数形を調べています。著者はいま、東京学芸大学附属高等学校でフランス語を教えています。