会話のフランス語

熊田知子

はじめに

 

フランス語には、いろいろな言語レベルniveau de langueがある。それは、語彙、文法構造、動詞など多岐にわたる。フランス語話者はそれを理解した上で、多くの場合無意識のうちに、その時と場に合わせた用法を取っている。よってフランス語話者も同様に、それを考慮に入れて学習しなければならない。

 

バリエーションの三側面

 会話・書き言葉

 その場の形式の高さformality

 話者の社会的レベル

 

formalityと社会的バックグラウンドは別。普段uneducatedで話している人でもmiddle-class式に話すこともできる。

 例)インタビュー時、書面上

 

文法構造は地域によって異なる

 例)南仏でêtreを助動詞にとってJe suis été.と言うところがある

 

語彙レベルの方が、文法事項よりも社会の違いを超えて変化しやすい。

 例)language des jeunes/cités/banlieues

   verlanで単語の前半分と後半分を逆にする femme –> meuf

verlanという言葉自体もverlanである。もともとはa l’envers

動詞の語尾活用をしない

 

言語レベル

soigné – courant – familier – populaire

最も丁寧なのがsoignéで、以下言語レベルは下がっていく。これらの用語は対照的であり、絶対的な定義はない。またsoignésoutenu, cultivé, chatîné, littéraireのように、courantcommun, standardのように呼ばれることもある。

 

言語の変異に対する二つの見方

Normative view – standardフランス語から外れるものは誤りと考える見方

 Purist – 言語の変異に積極的でない人、貴重な言語の増産を壊すことになる

 

Descriptivist view – 変異は言語の自然な進化と考え、変わって当然とする見方。大学研究者に多い。

 

Français avancé

フランス人自身、フランス語は難しいと思っていて、「正しく話」していない。フランス語学習者には一般的用法を提示しなければならない。学習者はpopulaireを避ける傾向にある。どのようなレベルで話せば良いか、年齢、親密度など。その場にいる他の人と同じように話すといい。

 

調査方法

 

研究対象の幅は広い。調査方法としては以下のようなものが挙げられる。

 

(1)文献調査(おすすめの文献参照)

  問題は資料が少ないこと。最新のデータは入手困難。映像(テレビ、ラジオなど)は有効な資料になるだろう。

(2)現地調査:現地に赴く。年齢、性別、社会的背景ごとに、あらゆる場面を想定して調査。インタビューまたは書面による。

 

現状を把握するには多くの調査が必要となる。もともと興味のあったフランス語教育との関連も含めて、この研究を活かせたらと思う。

 

参考文献

『ロワイヤル仏和中辞典』(1998) 旺文社

Colloquial French Grammar (2000) Rodney Ball, Blackwell Publishers

La grammaire du français parlé