仏友会について

田島 宏(仏友会会長)


 仏友会(正式には「東京外語仏友会」)というのは東京外国語大学(その前身の東京外国語学校・東京外事専門学校を含む)でフランス語を専攻し、卒業(中退)した人たちを会員とする親睦会です。昭和の始めに作られた大変古い会ですが、戦時中はほとんど開かれず、また戦後も長い間の中断がありました。現在の会は5年ほど前に再発足した集まりで、そのため今年行なわれた会合は第6回総会ということになっています。ご承知かと思いますが「東京外語会」というのが大学全体のいわば「公的」な同窓会で、この仏友会のほうは外語でフランス語のクラスに籍を置いた友達や先輩後輩の単なる親睦団体に過ぎません。しかし、それだけに、年1回、参加できる人が勝手に集まる、クラス会の延長のような自由な会です。年会費も徴収されません。そのため、会の案内なども全会員には送ることができず、前の会に出席された人々以外の会員には、いまのところ主として『東京外語会会報』にその案内の掲載をお願いしているような始末ですが、それでも、かなり多くの人が集まり、なかなかの盛会が続いているのを喜んでいます。
 今年は310日に昭和37年(1967年)卒の現日銀副総裁藤原作弥さんに「外語生、落第の記」というお話をしていただきました。また去年はノーベル平和賞を受賞した「国境なき医師団」の日本会長をやられている昭和50年(1975年)卒の寺田朗子さんのお話をお聞きしました。出席者は去年が70人以上、今年は100人以上でした。これからも、いろいろな卒業生の方にお話をお願いし、その後の懇親会は、クラス会代り、またはその前座の集まりとして利用されても結構ですし、同じ系列のお仕事をやっている人たちの情報交換の場だったり、逆にそこで、普段あまり接することのない世界に属する人たちの考えや生活に触れたりできるようになればと思っています。

 東京外語でフランス語を専攻した学生数は、専門学校時代が約1000人、大学になってからは2000人をすこし超えています(そのうち女性は、大学になってからだけですが、ほぼ1000人に達しています)。つまり仏友会の会員は、亡くなられた方々を除いても2000人前後になるのではないでしょうか。そしてその中には、戦前のごく一部を見ただけでも、例えば:

   無政府主義者 大杉栄(’1905年中退)、
   衆議院議長 増谷秀治(’09年卒)、
 
  仏文学者・翻訳家 山内義雄(’15年卒)、
 
  作家 石川惇(’20年卒)、
 
  興業銀行頭取 島田栄一(24、年卒)
   詩人 中原中也(33年選科卒)

 といった、皆さんもご存知の人たちが何人もいます。その他、外交官、銀行・商社関係、マスコミ関係、また学者・研究者・教育者など、各方面で活躍された方、現に活躍されている方々はとても数えきれません。
 もちろん、そういった「著名人」を先輩としてもっていることは私たちの誇りではありますが、仏友会というのは、戦争で死んだ人を始め、いろいろ苦労した人、今苦労している人たちも、それらの人たちと同じ教室で過ごした同じ仲間だということで集まろうという会なのです。参加者の中に先輩後輩の違いがあるとしても、そこでは一人一人が(仏友会なのでフランスのdevise を借用していえば) Liberté, Egalité, Fraternité》を大切にしている人たちだと確信しています。そして、そんな考えでやっていこうという仏友会ですから、私としては,できるだけ多くの方々(卒業生はもちろん、院生、学生も)が、自由に参加されるよう期待しています。特に、卒業年度の若い皆さん方にご出席いただけると幸いです。
 以上、仏友会についてあまりご存知でない卒業生の方もいらっしゃるかと思い、この場をお借りしてご案内させていただきます。
 なお、お問い合わせなどがありましたら、
  田島 宏(会長)   または 冨山 絢子(副会長)  まで
宛にメールをお送りくださるか、東京外語会気付(ただし5月から住所が変わります)で仏友会宛にご連絡ください。