外国語教育学会 (JAFLE)
第21回研究報告大会

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プログラム(暫定版)掲載 11/12
文言の修正 11/12
文言の修正 11/13
お知らせ 11/14
司会 12/6
最終版 12/7

日時  2017年12月16日(土) 10:00-17:30
場所  東京外国語大学 本部事務棟  2F 大会議室・中会議室

研究発表者の留意事項
・発表者は年度会費を納入していることが条件になります。
・以下の機器が利用可能です。PC (Windows), プロジェクター, マイク。
・発表者はハンドアウト40部を持参ください。
・制限時間の30分(発表+質疑応答)を厳守ください。
・発表者はできる限り他の発表者の報告を聞いてください。


お知らせ
12月16日(土)は大学食堂1Fのミールが営業しています。


受付では会費の徴収を行いません。会費はあらかじめ郵便局で振込ください。

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プログラム

会場 東京外国語大学 本部事務棟  2F 大会議室・中会議室

発表会場 大会議室  
午前の部 タイトル  
10:00 開会の辞
 

司会 佐藤 玲子(亜細亜大学) 発表内容
10:10-10:40 中国語を母語とする学習者の日本語音声の特徴-上級と初級学習者の比較を通じて-

布村 猛(東京外国語大学博士後期課程)、
海野 多枝(東京外国語大学)
本発表では、上級(日本語能力試験N1)と初級(N5)の学習者の音声の誤用、特に分節音と韻律の誤用傾向と両者の比較を通じて、日本語の中間言語の音韻的特徴と音声の習得を考察する。従来、上級、初級のレベル分けは主に文法・語彙能力で判定されてきたが、両者の音声能力の差異を取り上げた研究は少ない。本研究では、特に特殊拍とフレージングで顕著な差が観察され、文法・語彙能力の向上が音声の習得にも寄与しうる可能性が示唆された。
10:40-11:10 英語発音習得と音韻記憶の関係

寺島 芙由(東京外国語大学博士前期課程)
本研究は、第二言語としての英語の発音能力と音韻記憶について調査した。音韻記憶は言語習得に影響を及ぼすとされているが、発音習得との関係では一貫した結果が出ていない。実験には38名の日本人大学生が参加し、2種類の発音能力と3種類の音韻記憶が測定された。その他の発音能力に影響を与える可能性のある要因も含めて重回帰分析を行った結果、言語的音韻記憶の成績は音素レベルの発音の成績に対する有意な説明変数の一つであることが示された。
  司会 馬場 哲夫(東京学芸大学)  
11:10-11:40
一般米語全13母音に聴覚的に対応する日本語の母音

野北 明嗣(国士館大学非常勤講師)

日本語の母音単独及び2拍の組合せを、16人のカナダ英語母語話者に聞かせ、英語の全13母音音素のうちどれに聞こえるかを答えてもらったところ、イー、エ、エイ、エー、エア、アー、ア、オウ、ウ、ウー、アイ、アオ、オイが、順に概ね英語の/iː, ɪ, eɪ, e, æ, ɑː, ʌ, oʊ, ʊ, uː, aɪ, aʊ, ɔɪ/だと知覚された。これを利用すれば、英語の母音は難しいという通説とは裏腹に、日本人英語学習者は少なくとも生成において、英語の全母音音素を日本語の音で代用できるわけである。
11:40-12:10
社会言語学的変異研究に基づいたウェブ英語教材の必要性とその活用実践例

矢頭 典枝(神田外語大学)


本報告では、東京外国語大学と神田外語大学が共同で開発してきた無料ウェブ教材「英語会話モジュール」を大学の授業で活用した例を紹介する。アジア英語を含む7つの英語変種の言語学的特徴を動画付きで学ぶことができる本ウェブ教材を活用することによって、アメリカ英語を規範とする従来の英語教育の方向性に風穴をあけ、多文化理解を前提とした英語教育を可能にすることを強調する。特に、アジア英語として開発したシンガポール英語に焦点を当てる。
昼休 理事会  
     
パラレルセッション1  
発表会場 大会議室  
  司会 本田 勝久(千葉大学)  
13:10-13:40 国内の日本語教育現場おける日本語非母語話者教師の特性―インタビュー調査の分析より―

髙橋 雅子(早稲田大学日本語教育研究センター)

日本国内の日本語教育機関では、非母語話者日本語教師(以下NNT)が雇用されている現場がある。NNTは自国では「学習者との共通言語」と「学習者と共通の社会的・文化的背景」があり、これらが日本語を教授する際の強みとなる。しかし、国内の日本語教育現場では、多言語・多国籍の学習者が在籍するクラスもあり、この強みが活用できない場合もある。本研究では国内の日本語教育現場に勤務するNNTを対象に調査を行い、NNTが自分の強みをどう捉えているのかを調査した。その結果、「自らの学習者としての経験」や「人間性」等を自身の強みと認識し、授業で活かしていることが明らかになった。
13:45-14:15 長期的な学習日記調査から見えたインドネシア人日本語学習者の日本語学習状況

ニ・ワヤン・プリリヤシンタ(名古屋外国語大学博士後期課程)

現在インドネシア人日本語学習者数は世界第2位にある。学習者数が多い中、インドネシアの日本語教育にはまだ様々な課題が残っている。問題改善のために、学習者の声に耳を傾け、学習者にとってより良い学習環境を提供する必要性がある。本研究は1学期(4ヶ月)にわたり、毎日学習者(大学生36名)に日記を書いてもらい、彼らの日々の学習状況と動機付けを質的に分析した。インドネシア人日本語学習者の学習状況やニーズを報告する。最後にインドネシアの日本語教育に対する提案を行う。
  司会 秋田 辰巳(山梨学院大学)  
14:20-14:50 異文化間能力における態度と複言語教育の関連―日本に在住するヨーロッパ人に対するインタビュー調査から―

胡 玉瑶(千葉大学教育学研究科研究生)

異文化間能力(Byram, 1997)の中でも特に態度に注目し、複言語教育と人や物事に対する考え方の関連を明らかにした。日本に留学もしくは就職しているイタリア人1名、フィンランド人2名、ロシア人1名にインタビューを行い、得られたデータをテーマ分析により分析した。その結果、ただ学校で言語学習を行うにしても、態度の変化に直接影響するわけではないことがわかった。また、外国で生活する経験や他者(他言語)と関わる意欲が態度の変化に影響することが明らかとなった。
14:55-15:25 韓国における第二外国語教育について

比嘉 夏希(千葉大学学部生)、
本田 勝久(千葉大学)

韓国では英語教育はもちろんのこと、第二外国語教育も進んでおり、現在8言語の科目が中学校・高等学校で開講されている。第二外国語の教員養成と日本語教育について韓国にてフィールドワーク調査を行った結果から、韓国の教育部が出している第二外国語の指導要領を中心に、第二外国語教育の全体像と日本語教育の現状について発表する。
  司会 佐野 洋(東京外国語大学)  
15:30-16:00 教員免許状更新講習と外国語教育、その現状と課題

本間 直人(日本大学非常勤講師)、
山崎 吉朗(一般財団法人日本私学教育研究所)

本発表は、平成21、23、24、25、26、27、28年度の多言語教員免許状更新講習の調査、研究発表に引き続くものである。今年度(平成29年度)実施された全国の多言語教員免許状更新講習を概観するとともに、過去8年間に実施された講習を振り返る。
教育振興基本計画と概算要求を通して、文科省の外国語教育政策について考察する。また、多言語教員免許状更新講習以外の講習における問題点などについても言及する等、これまでの研究発表とは違った角度からも教員免許状更新講習の意義について考える。言語に関する講習と異文化に関する講習の分析によって、現在、そして、これからの外国語教員に求められる講習とは何かについて検討したい。

パラレルセッション2  
発表会場 中会議室  
  司会 黒澤 直俊(東京外国語大学)  
13:10-13:40 アラビア語と日本語のアクセント対照

長渡 陽一(東京外国語大学特別研究員)

日本人アラビア語学習者が、アラビア語をアクセント規則を学ばずに、正しいアクセントで発話することを指摘し、これは両言語のアクセント付与規則(窪園 2006『アクセントの法則』)が共通しているためであることを約400語例によって示す。しかし、両言語の間には、この規則で説明できないアクセントの共通点がある。日本語では多くの単語で語末から3つめの母音にアクセントが置かれるが、アラビア語のCvCCvC型単語を日本語として発音する時、アラビア語のアクセント位置と同じ母音に、それが語末から4つめであるにも関わらずアクセントが置かれる。これを説明する新たな規則を提案する。
13:45-14:15 中級フランス語学習者によるテキスト朗読―経年的観察―

バルカ コランタン(東京外国語大学博士前期課程)、
伊藤 玲子(東京外国語大学博士後期課程)、
関 敦彦(東京外国語大学博士後期課程)、
川口 裕司(東京外国語大学)

日本語を母語とする中級フランス語学習者(CEFR B1相当)6名に対して、「現代フランス語音韻論」プロジェクト(PFC)のテキスト朗読タスクを、2016年と2017年に二度実施し、両者の間にみられる学習の進歩について考察した。朗読タスクにおける進歩には「規範内的進歩」と「規範外的進歩」がみられると仮定した。前者は主に、単音の発音、リエゾン、読み違い等に現れるのに対して、後者はアクセント配置、休止とリズム、イントネーションに現れると考えられる。上記の2つの観点から6名の学習者の経年的進歩を調査した。
  司会 川口 裕司(東京外国語大学)  
14:20-14:50 フランス語初中級学習者の受容語彙知識

杉山 香織(西南学院大学)

本発表の目的は、DELF A2-B1レベルのフランス語初中級学習者の受容語彙知識を測定し、分析することである。学習者はまずA1-B1レベルのテキストを読み、「1.見たこともない単語」「2.見たことはあるが、意味が分からない単語」「3.自信はないが意味が分かる単語」を選択する。また、「3.自信はないが意味が分かる単語」については、学習者は意味を書いたのち、正しい意味かどうかは調査者が判断する。測定後、受容語彙の深さと語彙の特徴を、品詞、頻度層、語彙が使用されているテキストのレベルなどから多角的に分析する。
14:55-15:25 ポルトガル語の単語集教材の分析―母語話者コーパスとの対照から

鳥越 慎太郎(東京外国語大学非常勤講師)

本研究では日本国内で流通するポルトガル語教材のうち、単語集の収録語彙を分析し、母語話者コーパスから得られた語彙頻度リストと対照して考察する。2010年代に入り急激なペースで初学者向けのポルトガル語教材が出版され、単語集型の教材も「基本」、「入門」、「初級」と題されたものが多く確認できるが、一部の収録語彙には直観的に難解な語彙が散見され、語彙の選定基準も不明瞭である。そこで、Corpus Brasileiroなどの大規模な母語話者コーパスの頻出語彙と対照することで、収録語彙の真正性(authenticity)を検証する。一方で、頻度中心主義では過小評価されてしまうような「基礎語彙」についても考察する。
15:30-16:00 学習者・教員のコミュニケーション特性に基づく学習方略分析

結城 健太郎(東海大学)、
白澤 秀剛(東海大学)

本発表では、第19回・第20回で報告したCSI(Communication Style Inventory)に基づく学習者のコミュニケーション特性とともに、教員のコミュニケーション特性が学習(指導)方略に与える影響についての調査報告を行う。CSIと学習方略の関係を調べた報告は過去になく、今回初めて調査報告を行う。分析対象となる学習言語は、スペイン語、朝鮮語、フランス語、ロシア語を見込んでいる。スペイン語については、教員・学習者のコミュニケーション特性と学習(指導)方略のマッチング度が、学習効果に及ぼす影響についても報告する。

発表会場 大会議室  
  司会 佐野 洋(東京外国語大学)  
16:05-16:35 日本人英語学習者の発音学習目標に関するビリーフの質的調査

山本 大貴(兵庫教育大学特命助教)、
大塚 清高(明治大学博士後期課程)

本研究では、英語学習者の「標準英語の発音を獲得することの必要性に関するビリーフ(発音ビリーフ)」に影響を与える要因と、発音ビリーフと発音学習行動の関係性を、日本人大学(院)生10名へのインタビューにより調査した。その結果、発音ビリーフは留学、多様な英語に触れた経験などに関わる様々な要因が複雑に影響し合って形成されること、発音ビリーフと学習行動の関係は必ずしも論理的に合致したものではないことなどが明らかになった。
     
16:50-17:20 総会  
17:20-17:30 閉会の辞  



お知らせ -懇親会-

昼食

お知らせ: 今年度は大学食堂1Fのミールが営業しています。

懇親会

当日の参加も歓迎します

年会費 一般会員 5000円,学生会員 3000 円,賛助会員 10000円

183-8534 府中市朝日町 3-11-1
東京外国語大学 外国語教育学会(川口裕司)
振込口座 郵便局 00120-6-33068