Fuchu1
外国語教育学会 (JAFLE)
第19回研究報告大会

What's New
2015.6.18 日程決定
2015.8.24 研究発表応募開始
2015.8.25 誤植訂正 9月11日(金)
2015.9.11 発表応募締切
2015.9.30 プログラム(暫定版)
2015.10.1 文言修正
2015.10.24 プログラム(確定版)
2015.12.28 写真



Fuchu2
日時 2015年11月29日(日)
10:00-17:00
 (予定)
場所 東京外国語大学
今年も無事、大会を終わることができました。
関係者の皆さん、ありがとうございました!

受付では会費の徴収を行いません。会費はあらかじめ郵便局で振込ください。

入会手続き

年会費の振込




プログラム

会場 東京外国語大学
発表会場  アゴラグローバル3F 会議室 (予定)
理事会室   研究講義棟 語学研究所(419室)(予定)




10:00-10:10 第1会場 開会の辞  
10:10-1035 第1会場 初等、中等教育における英語以外の外国語教育
山崎吉朗(日本私学教育研究所)

no1
三位一体と言われる、高校教育、大学教育、大学入試改革が、中教審、文科省で進められている。その中でも先行しているのが英語教育改革である。4技能の学習、それを測る大学入試、外部テストの導入、さらに生徒のみならず、教員にも英検やTOEFL等の目標値が示され、改革が進められている。新学習指導要領も間もなく各教科での議論が始まる。そういった中で、他の外国語についての議論はほぼ皆無である。初等、中等教育は英語一色に染まってしまうのだろうか?第2外国語はともかく、第1外国語で学習することは不可能になるのだろうか?
発表では、英語教育改革、高大接続改革を概観し、その中での英語以外の外国語教育の現状と問題点を報告、分析する。
10:40-11:05 第1会場 教員免許状更新講習と外国語教育、その推移と課題
本間直人(日本大学非常勤講師)、山崎吉朗(日本私学教育研究所)
no2
本発表は、平成21、23、24、25、26年度の多言語教員免許状更新講習の調査、研究発表に引き続くものである。今年度(平成27年度)実施された全国の多言語教員免許状更新講習を概観するとともに、改めて過去6年間に実施された講習を振り返り、講習の課題を明らかにする。これまでの発表と同様に、言語に関する講習と異文化理解に関する講習についての分析を主とし、教員免許状更新講習そのものの今後の在り方と方向性について考察する。なお、5年目の見直しを経て、次年度(平成28年度)から、必修12時間が二つに分かれて必修6時間と必修選択6時間になる。この制度変更についても触れる。
11:10-11:35 第1会場 日本で教える母語話者教師が考えるよい外国語教育―自由記述データと捕獲率を用いた分析から―
高嶋幸太(立教大学)・大橋洸太郎(立教大学)
日本で教える英語母語話者教師、フランス語母語話者教師、中国語母語話者教師、朝鮮語母語話者教師、インドネシア語母語話者教師、スワヒリ語母語話者教師など11言語の母語話者教師25名を対象に、彼らがよいと考える外国語教育は何なのかを包括的に調査した。本発表では、調査協力者から得られた知見を、日本におけるよい外国語教育の要素として①授業運営、②教師の人柄・人間性、③教師の知識・技能・経験、④学習者理解、⑤外的要素・物質的要素、⑥その他の6つに分類し、考察を加える。また本研究では、調査で得られた知見の種類数が、推定される全知見数に対して、どの程度集まっているのかを表す統計指標「捕獲率」を用いて、知見が十分に収集し尽くされていることを量的に確認した上で考察を行う。
第2会場 アラビア語のイダーファ表現の習得:日本語の「の」との対照から
榮谷温子(慶應義塾大学非常勤講師)
前回大会において、“アラビア語初級学習者に対する「名詞+形容詞」と「名詞+名詞」との教授方法”と題して口頭発表を行ない、学習者がこれら2つの形式をより容易に理解するための教え方を考察した。今回、イダーファ表現の習得について、さらに詳しく考えたい。具体的には、
1)日本語の「の」の用法とアラビア語のイダーファ表現との対照分析を行なう、
2)イダーファ表現と形容詞による修飾に関する、日本語母語話者のアラビア語学習者へのテスト(特に、日本語の「の」を用いた表現を中心に)の結果を分析する、
というこの2つを柱に、イダーファ表現の教授と習得の際の問題点やその解決法を明らかにすることを目指す。
11:40-12:05 第1会場 学習者特性分析に基づく科目群別の履修者傾向分析
結城健太郎(東海大学)、白澤秀剛(東海大学)
発表者はコミュニケーションスタイルによる特性分析の一つであるCSI(Communication Style Inventory)テストをスペイン語関連科目等で実施した。その結果、初習科目と発展科目で履修者のタイプが異なり、発展科目には自己主張が弱い傾向の履修者が多くみられることがわかった。この結果はグループワークやペアワークの効果向上に重要な示唆を与えるものである。同様の調査をロシア語、コリア語でも実施し、比較した結果も含めて発表する。
第2会場 L2素性論:規範的素性とデフォルト素性の提案
ヴァフロメーエフ・アナトリー(東京外国語大学博士後期課程)
本研究は、日本語母語話者によるL2ロシア語およびL2英語の実例に基づき、素性理論に「L2素性論」を導入し発展させる可能性について議論する。L2素性論の提案にあたり、(i)規範的素性セットと(ii)デフォルト素性セットから構成される主要な枠組を導入する。(i)はターゲットの学習言語モデルに合わせた素性設定を可能にし、(ii)はL2の初期段階を予測することを可能にする。L1としての言語の音韻現象をもとに設定された素性体系がL2音韻論においてどのような有効性を持つか、またL2の理解のためにどのような拡大や修正の可能性があるかを論じる。
12:05-13:00   昼休み/理事会  
13:00-13:25 第1会場 ダイグロシア(二層言語)アラビア語の日常使用語彙中の文語体語彙について
長渡陽一(東京外国語大学特別研究員)
本発表では、エジプト映画のシナリオをコーパスとし、日常のアラビア語に使われている、口語体語彙の割合、文語体と共通の語彙の割合、および文語体そのものの使用状況を明らかにする。アラビア語は、会話では口語体が使われ、読み書きでは文語体が使われているとされているが、口語体語彙と文語体語彙には共通のものが相当数ある。これまで実用、学習用ともに、口語体語彙の語彙集と、文語体語彙の辞書はあったが、別々であったため、その全体像が示されたことはなかった。ダイグロシア(二層言語)アラビア語を教育するためには、実際の言語活動に立脚した語彙集がぜひとも必要であり、本研究はその本格調査ためのパイロット調査である。
第2会場 フォルマント移動に注目した英語母音発音指導方法の考察
石崎達也(東北大学博士前期課程)
英語母語話者による英語母音の認識において、フォルマント移動も関与していることをIverson and Evans(2007)などが指摘した。フォルマント移動は、フォルマント周波数の時間依存を指す。認識時に使用される音質変化は、/i/についてはF1 下降F2 上昇であり、/ɪ/についてはF1 上昇F2 下降である。本研究では、日本語母語話者に対する/ɪ/の発音指導方法の仮説をたて、上記2 特性を使用し妥当性検証を行った。
清水(2011)による/ɪ/の発音指導方法を踏襲しながら、仮説「口を横に開きながら『エ』を発音する」を構築した。大学生11 名による本仮説に基づいた音声は、/ɪ/に非常に近いフォルマント周波数を持ち、更に/ɪ/と同様なF1 上昇というフォルマント移動の傾向が見られた。
13:30-13:55 第1会場 英語を不得意とする大学生の語彙と読解力の関係
小西瑛子(東京学芸大学非常勤講師)
語彙とリーディングの関係を取り扱った研究は多い。語彙は第1言語においても第2言語においても重要な役割を果たしていることについては異論がないだろう。Laufer(1992)は学術的な文章を読むためには3000語(word family)が必要であるとしている。では、学術的な文章ではなく一般的なレベルの文章で、なおかつ英語を不得意とする学生はどうなのであろうか。今回は英語を不得意とする大学生の語彙数と読解力の関係を調査する。
第2会場 既習者の能力維持を図るe-learning教材開発の試み—音声習得の視点から—
楊ユーウェン(東京外国語大学博士後期課程)
筆者は先行研究において、日本語専攻の台湾人大学生初級、中級、そして、学習を終えた卒業生の上級学習者を調査対象に、学習者の発音問題点を明確にした。また、上級者は日本語力の向上とともに発音が上達していないこと、上級者でも発音練習を継続する必要があることもわかった(楊2015)。
本稿は以上の調査結果を踏まえ、①学習者の発音問題点を効率的に改善し、②発音技能練習を継続して支援するために作成した、e-learning教材を紹介する実践報告である。e-learning教材や学習支援活動は主に学習管理システム「Moodle」を導入して使用したが、「Moodle」は初級、中級者の在学生にも、上級者の卒業生にも簡単にアクセスして手軽に利用できるなどのメリットがあり、学校教育から離れていても、その能力維持するために実現可能な効率的なe-learningシステムといえよう。今後も既習者の能力維持のためのe-learning教材の開発を続けていく必要があると思われる。
14:00-14:25 第1会場 テキストタイプが理解に与える影響についての一考察―再話プロトコル観察を通して―
王睿琪(東京外国語大学博士後期課程)
再話は文章理解の深さと広さを評価する方法としてよく用いられる測定法の1つである。読解研究では、再話を用いて第2言語学習者が読み進む過程や、構築される記憶の表象について多くの蓄積が存在している。しかし、日本語教育における聴解研究では、再話を測定として検証している研究は少なく、日本語学習者が理解構築の過程については明らかにされていない点が多い。そこで、本研究ではテキストの長さ、リーダビリティともに同程度のテキスト2編(物語文1編、説明文1編)を用いて、テキストタイプが再話に与える影響を再生量を用いて量的に検証する。そのうえで、重要度評定の結果を用いて、テキストタイプによって再話時に産出される情報の重要度が異なるかを質的に検証する。
第2会場 受験者のテストに対する妥当性の評価、受験者の動機づけとテスト・パフォーマンスの関係
周育佳(東京外国語大学非常勤講師),吉冨朝子(東京外国語大学)
近年、コンピュータによるスピーキング・テストの使用が増加している。しかし、コンピュータに向けて話すことが日常会話と異なるため、受験者のテストに対する妥当性の評価が懸念されている。その理由は、テスト妥当性の低い評価が受験者の動機づけの低下に繋がり、次第にテスト・パフォーマンスに影響する恐れがあるからである。しかし、これらの関係に関する実証研究はまだなされていない。従って、本研究はコンピュータを利用するTOEICスピーキング・テストに焦点を当て、受験者のテスト妥当性の評価、受験者の動機づけとテスト・パフォーマンスの関係を明らかにすることを目的とした。54人の東京外国語大学の学生が、TOEICスピーキング・テストを受けた直後、テストに対する妥当性の評価と動機づけを尋ねるアンケートに回答した。本発表では、アンケートのデータ分析結果を報告する。
14:30-14:55 第1会場 第二言語学習における授業外多読活動の可能性―日本語多読セッション参加者へのインタビュー調査を中心に
高橋亘(東京外国語大学博士後期課程)、海野多枝(東京外国語大学)
日本語教育における多読の有効性が叫ばれて久しく、国内外での実践報告も増えつつある。しかし、従来、授業内での多読に主眼がおかれ、授業外多読は、多様な学習機会の提供や自律的多読へのステップとしても発展性が期待されるものの、実践例はいまだ少なく、理論化も進んでいるとは言いがたい。
授業外多読の体系化への第一歩として、本稿では、本学で実践中の授業外日本語多読活動の試みを取り上げ、教室を超えた学習形態の1つとして特徴付けを試みる。その上で、開始後8か月経過時点での参加者へのインタビュー調査結果を報告する。調査では、多読ルールの活用やファシリテーターの役割等への意識を中心に質的分析を加え、学習者の視点から、日本語学習全般における授業外多読の役割を考察するとともに、授業外多読を通じた教室外学習者オートノミー育成の可能性も検討する。
第2会場 日本人大学生の中国語学習者を対象にしたスピーキングテストの
評価尺度の開発
曲明(室蘭工業大学)
本研究では、日本人大学生の中国語学習者を対象にスピーキングテストの評価尺度の開発を試みた。4つのステップを踏み開発を行った。①スピーキング能力とは何かについて理論的な考察を行う。②日本国内外の中国語スピーキングテストの評価尺度をレビューし、日本人大学生の中国語学習者に相応しい評価尺度の下位項目及び評価観点を決める。③4人の中国語の教員に②の段階でできた評価尺度の実用性を判断してもらう。④暫定的な評価尺度を用い、30人の中国語スピーキングデータを2人の教員に評価してもらい、評価尺度の妥当性と信頼性を検証する。
スピーキングの能力を養うためには、よりよく評価する方法が求められているが、中国語教育の分野ではまだ確立されていない。信頼性・妥当性が高く、実用性もある程度ある評価法が必要だろう。今回はそのようなスピーキングテストの評価尺度作りを目標とする。
14:55-15:10   休憩  
15:10-15:35 第1会場 アジア諸語学習者における言語別CEFR自己評価の傾向と社会・文化的コミュニケーション能力の測定に関わる諸問題 ー学習者アンケート調査(2014)の分析からー
富盛伸夫(東京外国語大学名誉教授)、李迎日(東京外国語大学博士前期課程)
no3
CEFRのグローバル化に伴い、EUという言語・文化的に「均質な」土壌に育った言語能力評価指標は、その受容にあたっては世界諸地域の多様な言語の特質や社会・文化的コンテクストにどのように適応させるか否かが課題となっている。本発表では、2014年10月に東京外国語大学を含む4大学にて行った学習者アンケート(A1およびA2レベルの1476サンプルに記述式アンケートの回答を加えたもの)の分析を通して、EU言語とアジア諸語とを対照しつつ、言語類型の異なりや語用論的ストラテジーを配慮した「社会・文化的コミュニケーション能力」に対応した能力記述指標を提案するとともに、通言語的能力評価尺度設定の問題点を論じる。
15:40-16:05 第1会場 初級フランス語におけるスピーキング能力可視化の試み-CEFR-J自己評価、タスク評価、学習ストラテジー調査を利用して-
伊藤玲子(東京外国語大学博士前期課程)、関敦彦(東京外国語大学博士前期課程)、佐藤千秋(東京外国語大学博士前期課程)、川口裕司(東京外国語大学)
東京外国語大学でフランス語を専攻する2年生に、①CEFR-J自己評価アンケート、②第二言語学習ストラテジーに関するアンケート、③コンピューターを用いたスピーキング・タスクを実施した。CEFR-J自己評価については、5技能のレベル、26名のグループ化等を明らかにする。次に、学習者にスピーキング・タスクを課し、2名の母語話者が評価した。評価者の一致度が高い、語彙的適切性、流暢さ、文法性の観点から結果を分析する。そして、学習ストラテジーアンケートの結果について、学習者のグループ化、ストラテジーの種類等を定量的に分析する。最後に①~③を横断的に考察することで、スピーキング能力を多面的に記述し、教育への示唆についても言及する。日本人フランス語学習者に関して、こうした多面的な言語能力分析は、ほとんど先行研究がなく、本研究はその点でユニークな研究と言え る。
16:10-16:35 第1会場 CEFR-Jに基づくポルトガル語教材の目標習熟度の考察
鳥越慎太郎(東京外国語大学非常勤講師),山田将之(上智大学研究員)
本研究ではCEFR-Jのディスクリプタに基づき、市販ポルトガル語教材のタスクシラバス面における目標習熟度を評価、考察していく。日本の教育現場において英語以外の外国語の目標設定は学習指導要領で「英語に準じる」とされる程度で (馬場 2010)、具体的なシラバスは教員や教材作成者に一任されているような状況である。このような状況下、2010年代に入りポルトガル語教材が続々と出版されているが、ほとんどが初学者を対象としているうえ、最終目標も不揃いであり明記もされていない。本研究では目標設定基準としてCEFR-Jの「やりとり」の習熟度のディスクリプタを採用し、ポルトガル語教材各ユニットの場面・タスクの目標習熟度を複数の評価者によって評価し、国内の市販教材の現状を考察していく。
16:35-17:00 第1会場 総会/閉会の辞  

お知らせ

昼食

注意: 参加者の方は周辺のコンビニで各自昼食を用意してください。

懇親会

学会終了後に周辺で懇親会を行います。奮ってご参加ください。

年会費 一般会員 5000円,学生会員 3000 円,賛助会員 10000円

183-8534 府中市朝日町 3-11-1
東京外国語大学 外国語教育学会(川口裕司)
振込口座 郵便局 00120-6-33068