(1学期・2学期とも共通)〈物語る〉こと、あるいは〈書く〉ことを主にメディア論的なコンテクストのうちにとらえる視点から、いくつかのベンヤミンのテクストを読む(基本的にドイツ語)。ベンヤミンの読解を軸としながらも、〈語る〉ことと〈書く〉こと(あるいは〈聞く〉ことと〈読むこと〉)が、それぞれの特質の(メディア論的な意味での)違いにともなって文学という枠組みの中でどのような意味をもってくるのか、ということについて、参加者の関心に応じていくつか実際の例を取り上げつつ考えていきたい。「文学」が自明のごとく存在しているかのようにそれに接するのではなく、メディアの展開の中で文学に関わる行為がどのような特質を持つものであるかを考察することが、ここでの基本的な立場となる。以下のベンヤミンのテクストを取り上げる予定(適宜抜粋する):「物語作者」、「小説の危機」、「模倣の能力について」、「フランツ・カフカ」、「生産者としての作家」、「一方通行路」その他。
Walter Benjamin, Medienasthetische Schriften. suhrkamp taschenbuch 2002. (STW1601) (各自事前に入手)できるだけマクルーハン『グーテンベルクの銀河系』(みすず)、オング『声の文化と文字の文化』(藤原書店)を読んでおいてほしい。その他の文献は授業中に指示する。
授業での発表や討論への参加、各学期のレポート等により総合的に評価する。
1学期のみの受講も可能だが、続けて受講することが望ましい。