インターネット講座
「メディア・情報・身体―メディア論の射程」

はじめに

この「インターネット講座」は、大阪市立大学が1996年度以来行っている企画の一環として、1998年度に文学部の担当する講義として提供されたものです。

インターネット講座は、その名称のとおり、インターネット上で講義を行うものですが、これが開催された年度においては事前に受講者が募集され、基本的にはその「受講者」を対象にして、毎月1回「講義」をアップロードしていきました。もちろん、この「講義」はどなたでもご覧にになることができますが、この年度においては「受講者」とのあいだでメーリングリストによってやりとりを行い、それによって受講者からの質問を受け付け、年度内に2回のレポートを提出してもらうというかたちで「講義」は進行していきました。

それ自体として「インターネット講座」という形式は非常に興味深い試みでしたが、実際に進めてみていろいろとまどうことなどありました。また、進めて行くにつれ、反応その他のことのために書き方が変わっていくということもありました。そういったことについては「あとがき」をご覧ください。

「受講生」を対象とした「インターネット講座」が終わって数年たった今でも、この「講義」はこのようにサーバ上に残され、どなたでもご覧いただくことができます。今となっては不十分と感じられるところも多々ありますが、現在でもとりあえずほぼもとのかたちのまま掲載されています。2001年1月に私のホームページの体裁を大きく変更したことに伴い、この「インターネット講座」もこれまで見ることができたものとはかなり異なった装いをとることになりましたが、今のところ変更は主にデザイン上のものです。しかし、これから内容的にも多少手を加えていくことになるかもしれません。

12回の講義は内容的に大きく3つのグループに分かれます。もし書物という形式をとるのであれば、第1回は序文に当たるもので、そのあとのグループがそれぞれ章をなすものとなっているといえます。第2回から第6回では、マクルーハンを出発点としてメディア理論において論議されているものの枠組みを概観を行っています。第7回から第9回までは「メディアと身体」という共通したタイトルが付けられていますが、いわゆる「身体論」の文脈からメディアの問題を扱っています。そして「デジタル技術時代のテクスト」と題された第10回から第12回では、文字文化のテクスト的思考に対置される技術メディアに基づく思考のあり方を主題としています。とりわけ最終回で取り上げた「ハイパーテクスト」が私の関心の行き着くところですが、このテーマは現在の私の研究にもそのまま引き継がれています。

(このページは2001年1月21日に書かれたものです。)