学生からのメッセージ 07 April  2000

アジア言語研究(朝鮮語学演習)ゼミについて

松澤明子(まつざわ・あきこ) 
外国語学部 朝鮮語専攻 3年 
(交換留学生として現在韓国のソウル大学に留学中)

 初めて野間先生のゼミに参加した日のことは、今でも鮮明に覚えています。
独特の雰囲気にまず圧倒され、さらに、授業中に行なわれた議論に自分がまったくついて行けなかったことに、衝撃を受けました。ここに自分も混ざってやって行けるのかと不安になりましたが、同時に、先生や先輩方の議論に、自分も積極的に参加できるようになりたいという、意欲のようなものも感じたものです。
 1・2年次の授業も楽しいものでしたが、この「ゼミ」というものには、それとはまたひと味違ったおもしろさがあります。それは、自らが考え、発表し、討論することで、自分が知りたいと思う答えに少しずつ近づいていくということです。それまでの授業が比較的「受動的」なものだとすれば、ゼミは大いに「主体的」なものだといえるでしょう。
 わたしは現在、韓国のソウル大学に留学中です。ゼミには約3ヶ月しか参加できずにこちらへ来てしまいましたが、それまでの短い期間にも、わたしはいろいろなことを得たと思います。特に、ゼミでの発表や討論の経験は、こちらでレポートを作成するときや、韓国語で進められる講義を聞くときなどに大いに役立っています。
 自分の発表の準備中など、何度も行き詰まり、本当に大変でした。つらくて、不安になることもしばしばです。しかし、つらい分、得ることもたくさんあると思います。おそらく、学部において先生方のあれほどに熱心な指導を受けられる授業は、ここソウル大にもないのではないでしょうか。ゼミを離れて留学中の今、なぜか、ときどきあの雰囲気が懐かしくなることがあります。
 これから自分の進むコースを決めようとしている方の中に、朝鮮語の研究に興味を持っている方がいるようであれば、ぜひこのゼミの一員に加わってみてください。貴重な経験になることは間違いありませんよ。

小嶋 愛子(こじま・あいこ)
外国語学部 朝鮮語専攻 2000年3月卒業

 朝鮮語を専攻し、言語学に関心があるのなら、是非、朝鮮言語学に取り組むことをお勧めします。3年生から参加できる火曜日のゼミを通して、思う存分研究に打ち込めるのです。
 3人の熱心な先生方、立派な先輩方、優秀な韓国人留学生達の、親切かつ厳しいアドヴァイスを受けながら、論文を仕上げて行く過程は生涯忘れがたい思い出となることでしょう。
 ゼミでは、毎回誰かが発表し、質疑応答する、という形で進められていきます。発表にそなえて入念な下調べ、明瞭な報告文の作成をしなければなりません。しかし、ここまではどのゼミでも当然なされるべく作業でしょう。野間先生のゼミでは、さらに「朝鮮語」での発表というおまけがつきます。質疑応答も朝鮮語です。まるで韓国の大学に留学に来ている気分になります。
 正直のところ、毎回毎回楽しいことばかりではありません。発表の内容はもちろん、自分の話す朝鮮語も乏しいとむなしくなります。さらに朝鮮語での質問が聞き取れないということもあります。しかし、場合によっては日本語で直接怒られるよりも朝鮮語で怒られるほうが、部分部分聞き取れなくて、衝撃が緩まるという利点もあります。
 2年間のゼミを通して、朝鮮語に対する知識だけでなく、人前で何かを発表する度胸、書類作成の基本が身につき、互いに励まし合う友達を得ることができました。このような機会を与えてくださった野間先生をはじめとする皆様に感謝致します。
 これから言語学に取り組もうとしている皆さん、せっかく朝鮮語を専攻しているのなら、このチャンスを是非いかしてください!
 

波戸村 茜(はとむら・あかね)
外国語学部 朝鮮語専攻 2000年3月卒業
 

−第一印象−
 3年生になったばかりの私がドアの向こうで見たものは、今まで受けてきたどの授業ともちがう濃厚なゼミでした。(1・2年生の時はひたすら朝鮮語を覚え、テストをクリアすることのみで済んできたわけですが、そうした学習とは全く次元の異なる授業だったのです。)
 まず、出席者の半分は韓国人で、発表も質疑応答も全て朝鮮語という特殊な雰囲気に圧倒されました。
 次に、3人もの先生方をはじめ20人近くになるメンバーによる、白熱した議論を通じて、発表者の論文が、より良くなって行く過程は、とても興味深いものでした。

−ゼミに参加して−
 そして今、学部卒業をひかえた4年生の私は、この2年間で、多くのことを得たと考えています。
 第一に、3年の前期から継続して卒業論文に取り組んできたことにより、ひとつのことをコツコツと研究する姿勢を身につけました。
 第二に、研究の成果をいかにわかりやすく論文という形にまとめるかということを学びました。各々が個別のテーマに取り組んでいるゼミですので、初めて聴く人にも理解しやすいように工夫することはとても大切なことでした。
 第三に、ディスカッション能力を養いました。質問や意見の意図を明確にとらえ、自分の言葉できちんと受け答えしようとする姿勢。初めは話の流れについて行くので精一杯でしたが、今ではとても面白い時間だと思っています。
 第四に、研究が行き詰まった時に、共に励まし合い、刺激し合う友人を得ました。特に、韓国人留学生の方々の場合、母語話者として、協力をお願いすることが多くありますが、こうした中で、日本にいながらにして沢山の韓国人の良き友と出会えたことは、本当に恵まれていたと思います。
 以上、4つのことを挙げましたが、私はこのゼミにおいて、学生時代のみならず、社会に出てからも役立つことを学んだと思っています。
 
 

 アジア言語研究(現代朝鮮文法論)受講して

山口 寛子
外国語学部 朝鮮語専攻 3年

  私は1年間、野間先生の「現代朝鮮文法論」の講義を受講しました。
このクラスは一説によると野間先生のゼミよりも人数が少ないらしく、非常にアットホームな雰囲気の中で進められました。
  前期では語彙・文法研究をする上での入門的な事柄を学び、後期では野間先生による大きな論文を読みながら、言語学の様々な概念や、現在の朝鮮言語学が抱える面白い問題点などを学びました。単に講義を聞くばかりではなく、学生による質問も活発に出され、そ
の議論が多いに盛り上がったことも数多くありました。
  また、この授業のクラスメイトに誘われ、「朝鮮語研究会」に出席したこともあります。朝鮮語研究における大変高名な先生方がそろって出席され、日本でもトップということのできるこの研究会では、「ここが最先端」という雰囲気があり、とても刺激的でした。
  このような講義内容に加え、クラスの雰囲気もとてもよいものでした。まず留学生が非常に多かったことがあげられます。日本人学生5人ほどに対し、留学生が12、3人で、あっというまに留学生と友達になりました。また、後期になると、ほとんど朝鮮語で授業が行われていましたが、時には話がそれて、「イソラがね…」という雑談もあったため、週に一コマずつですが毎週必ず出席したことはヒアリング力の向上にもつながったことはいうまでもありません。
  次に、クラスの中には学部2年生から大学院生までいたことです。講義では、2年生の私にとって分からない所が沢山ありましたが、その都度先輩に質問できたのは幸いでした。
  800字という短い字数では、この講義の良さが伝わったかどうか自信がありませんが、要はやる気さえ持って行けば楽しい世界が開けることうけあいです。
 

朝鮮語1年の専攻語の授業を受講して
堀越亮平
外国語学部 朝鮮語専攻2年
   野間先生の文章にもある通り、東京外大には韓国人を始めとして韓国語/朝鮮語を母語とする留学生が沢山います。ネイティヴの活きた会話を聞ける機会の多さは他の専攻語とは比べものになりません。国内で韓国語・朝鮮語を学ぶ環境としても非常に恵まれている方だといえるでしょう(だから朝鮮語を始めろというのはナンセンスですが)。その気になればすぐに韓国人の友達・先輩ができます。様々な価値観を持っている彼らと交流することはとても有意義であるということは今更言うまでもありません。
 彼らと話すときも、別に朝鮮語専攻だからといって無理に韓国語/朝鮮語で話さなくても、ここの留学生は日本語で講義を受けて理解できるだけの十分な日本語運用能力を持っているわけですから、色々関心のあることについてそのまま日本語ででも話ができます。
 但し、基本的に朝鮮語科の学生と留学生が学校の制度として交流する機会は特にありません。かといって、講義やゼミで共同作業をするというのでなければ(一年生のうちはこういうのはほとんどありません)キャンパスで韓国人を見かけたからというだけで話しかけるのはどう考えても不自然ですし、向こうにとっても傍迷惑な話です。しかし、「機会」の制度自体はありませんが機会の発生する余地ならいくらでも存在します。
 手前味噌で申し訳ありませんが、例えば私がドラマーとして参加している『ソウル牛乳』という韓国のロック・ポップスを専門に演奏するバンドの公演では、外大の内外から多数の韓国人のお客さんも見に来るのでその打ち上げの席に出ればいろんな話や交流ができます(外大の外から来る人の中には日本語を習い始めて間もない人もいるのでこの場合は日本語・韓国語のチャンポンで話す事になりますが)。
 また、自ら進んで自分の興味のある様々な会合等に出ると自ずと自分と興味を同じくする人と出会える確率もぐっと上がります。
 基本的に大学というのは学問の場であるとされていますが、一人きりでできることなどたかが知れています。その研究をともに進める仲間とめぐり合う媒体というのもまた、大学の大きな役割のひとつではないでしょうか。
 二年生に進級できると分かったとたん、こんな先輩風吹かせた文章を書いてしまって恐縮ですが、新入生・朝鮮語科志望の皆さん、とにかくいろんな人といろんな話をしてみてください。そうすればきっと自分の必要とする人、自分を必要とする人にめぐり合えるはずです。一緒に楽しく有意義な大学生活を送りましょう。