講義

 

2010年度の主な授業


◆大学院地域文化研究科博士後期課程


【授業科目】グローバルスタディーズ特論 / Globalstudies(advanced)

【講義題目】法と生命 / Law and Life

【授業の目標】

 広範な問題を扱うために必要な、諸知の分節と、典拠の精確な把握、および論理構成に習熟する。

【授業の概要】

 人間の概念そのものが希薄化する現代世界で、それを再考するために「法と生命」を軸として取り上げ、関連する重要文献を原書(主としてフランス語)で精読し、トピックとなるテーマについて解説・議論する。

【授業の計画】

 さしあたり、Pierre Legendre, L'inestimable objet de transmission, L'enfant du Texte を読む。あるいは、Martin Heidegger の技術論に関する論議、Georges Canguilhem, Ecrits sur la Medecine, La connaissance de la Vieなどを読む。 

【テキスト・教材・参考書等】

 Pierre Legendre, L'inestimable objet de transmission, Faillard, 1985-2004; L'enfant du Texte, Faillard, 1992. など。

【オフィスアワー】

nstn@tufs.ac.jp


◆大学院地域文化研究科博士前期課程


【授業科目】グローバルスタディーズⅠ/ Globalstudies I (夏学期)

【講義題目】制度空間としての〈アメリカ〉/ "America" as institutional space

【授業の目標】政治学、歴史学、国際関係論といった従来のディシプリンの前提を取り払い、現代世界を生成的に考察するグローバルスタディーズのひとつの方法を学ぶ。

【授業の概要】

 われわれが〈アメリカ〉と呼ぶものはどのようにして形成されたのか、その形成の事情とプロセスは〈アメリカ〉なるものをどのように規定しているのか、そして世界の流れをどのように方向付けてきた(いる)のか。従来の歴史学や政治史などが、その方法自体によって見落としてきた観点から、地理的実体でも政治的単位でもない、制度空間としての〈アメリカ〉のあり方を考察する。

【授業の計画】

1)〈アメリカ〉のない世界(過去と未来)

2)「新大陸発見」と偶発的名づけ

3)〈自由〉と所有権--〈アメリカ〉という制度空間

4)〈合州国〉と〈自由〉の天命

5)〈アメリカ〉と民主主義

6)ウーンデッドニーと〈アメリカ人〉

7)「丘の上の町」--〈自由〉と信仰

8)移民の世界

9)〈西半球〉--〈自由の新世界〉

10)膨張する〈自由〉の空間

11) 〈アメリカ〉と20世紀、世界の改造

12) 〈アメリカ〉と国際社会

13) 〈アメリカ〉の原罪

14) 〈自由〉の運命

15) まとめ



【授業科目】グローバルスタディーズⅡ/ Globalstudies II (冬学期)

【講義題目】〈世界史〉とキリスト教/ "Universal History" and Christianity

【授業の目標】政治学、歴史学、国際関係論といった従来のディシプリンの前提を取り払い、現代世界とその認識論的枠組みを生成的に考察する。これもグローバルスタディーズのひとつの方法である。

【授業の概要】

 グローバリゼーションの現状や内容を扱うのではなく、この状況をもたらした運動を始動すると同時に、われわれの認識の枠組みを規定している〈世界史〉という観念の成立ちと機能、およびその鋳型を造り出したキリスト教の役割を検討する。

【授業の計画】

1)〈歴史〉とは何かを考える。

2)〈世界史〉の観念の成立ちを、歴史的かつ構造的に把握する。

3)〈普遍〉の観念の由来をたどる。

4)西洋的世界記述の中心的言説の推移をたどる。

5)グローバル化の三段階(宗教・政治・経済)を描き出す。

6)近代における〈戦争〉と〈経済〉との関係をたどり直す。

7)世俗的〈近代〉とキリスト教との関係を解きほぐす。

8)〈時間〉観念からみる科学とキリスト教

等々の課題について順次検討する。



◆外国語学部


【授業科目】グローバルスタディーズⅠ(講義)/ Globalstudies I (夏学期)

【講義題目】戦争・経済・メディアⅠ/ War, Economy and Media I

【授業の目標】

 人文科学と社会科学の枠を超えて、 現代世界を包括的な視点から、歴史的かつ構造的に把握する方法にふれる。

【授業の概要】

 現代のグローバル化した世界の諸相を戦争・経済・メディアという三つの軸を立てて考える。前期は主として戦争と経済をとりあげ、現代世界の成立ちを史的・構造的に分析する。国家、主権、国際秩序、自由、人権、ナショナリズム、生と死、統治性、国民経済、市場社会、自由主義、宗教/政治、政治/経済、戦争/平和、例外状態 etc. がキータームとなる。

【授業の計画】 

1)  導入:グローバルスタディーズとは?

2)  戦争の定義

3)  戦争の近代

4)  宗教と政治

5)  世界戦争Ⅰ

6)  世界戦争Ⅱ

7)  戦争の不可能性

8)  非対称的「戦争」

9)  市場と国家

10) 経済と自由の観念

11) 経済と戦争機械

12) 総動員と総力戦

13) グローバル経済と戦争

14) 戦争の民営化

15) まとめ



【授業科目】グローバルスタディーズⅡ(講義)/ Globalstudies II (冬学期)

【講義題目】戦争・経済・メディアⅡ/ War, Economy and Media II

【授業の目標】

 人文科学と社会科学の枠を超えて、 現代世界を包括的な視点から、歴史的かつ構造的に把握する方法にふれる。

【授業の概要】

 われわれの思考を支える言葉から出発し直し、名付け、論理化、概念化、翻訳などの問題を通して、われわれがどのような言語によって世界を構想し理解しているのかを検討し、そのうえで、現代のグローバル世界をわれわれに「媒介する」メディアの働きを批判的に分析し、メディア環境を考える。

【授業の計画】

1) 導入

2) 思考の言語と近代日本語(翻訳論)

3) 近現代の知(西洋)とその標準化

4) グローバリゼーションの3段階

5) 世界を表象する(地図の歴史)

6) メディアの変遷

7) 戦争・民主主義・メディア

8) グローバル化とメディア

9) 知のデジタルシフト?

10) 現代メディア研究①

11) 現代メディア研究②

12) 現代メディア研究③

13) メディアのジオポリティクス

14) オルタナティヴ・メディア

15) まとめ

 


◆東京医科歯科大学大学院MMAコース集中講義(11/22-26)


科目名:医療思想史


1)授業の目標・概要

(1)授業の目標

現代医療を生み出しその枠組や方向を規定している西洋医療の考え方の歴史を掘起こし、現代医学あるいは医療がどのような思想的伝統のうえに成立つものかを知るとともに、人間にとって〈医〉とは何かを根本から考えなおし、現代医療のあり方を照らし出す上で指標として役立つと思われる医療思想の基本的知見を身につける。

(2)授業の概要

西洋における〈医〉の考え方を、ギリシア時代からキリスト教の時代、そしてルネサンス以降の近代、一九世紀の科学技術と産業化の時代、二十世紀の世界化と原子の時代と、いくつかの大まかな時代区分に従って医学の歴史とともに振り返り、それぞれの節目で生じた〈病〉に関する考え方やそれに対応した〈医療〉のあり方の変化とその意味を検討する。それを通して、〈医〉とは何か、治療と癒し、医と宗教、信と効能など、〈医〉のよって立つ関係、その特殊な意味を把握する。また、現代医療の諸条件を、医学の科学史的なコンテクスト、および産業システムの歴史的展開と照らし合わせて検討し、産業化やマネージメント思想がもたらした〈医療〉体制の諸問題などを視野に入れながら、現代医療を考えるうえで必要と思われる知的な見とおしを提示する。時間軸に沿った歴史的変化の解説と、そこから引き出せる諸テーマの考察とを組み合わせた講義となる。


2)授業計画

 第1回 〈医〉とは何か、医術、医療、医学、アスクレピオスとイエスから

第2回 近代の転換と〈身体〉の分離、西洋の心身二元論と機械論

第3回 近代における〈医療〉と〈科学〉、および社会の産業化

第4回 〈生命科学〉の文明史的位置、〈医療〉と現代社会シテスム

おおむね以上のような配分を予定しているが、各回、講義と質疑応答で授業を進める。

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