総合科目Z
東京外語会(同窓会)寄附講座
地球社会に生きる ─ 社会人からのメッセージ (国際協力)
第1回目(2005年4月15日)
講師: 高橋 正明
■この寄附講座の由来
この授業科目は本年度から新たに開講されるものです。授業科目概要には次のようにあります。
「この授業は、本学卒業生の同窓会である東京外語会による寄附講座である。」
東京外語会とは本学の同窓会組織です。詳しくは会のホームページをご覧下さい。このような会報を出しています。
つい最近まで、この外語会は同窓生の親睦団体としての性格が強い組織でした。日本各地、世界各地に卒業生が作っている支部があり、会報でも、こうした支部での集まりに関するニュースとか、会員の近況報告とかが中心だったと思います。
しかし、最近、会の性格がかなり変わってきました。もちろん、親睦団体としての性格は相変わらず持っています。しかし同時に、母校の大学をさまざまな形で支援しようという取組が急速にこの数年間で増えてきました。 最近では、大学と東京外語会の合同協議会という会議の正式に設けられることとなり、昨年12月に第一回目が開かれた後、2月に第二回目、4月に第三回目が開かれました。 そこでは、大学と同窓会組織が協力して、大学をもり立てていこう、そのために何が出来るのかを話し合っています。前回は学生の企業におけるインターンシップについて話し合われ、この問題をより詰めて検討し、具体策を打ち出していくためのワーキングを設置することになりました。 将来的には、外語会の協力によって独自の奨学金制度を設けてはどうかといった話も、まだ可能性の段階ですが出ています。
そうした訳で、これまで外語会の存在は在学生にとってほとんど関係のない話であったのですが、さまざまな形で在学生が外語会の支援を受けるということが今後増えていくものと思います。この寄附講座もそうした支援の一つです。
「寄附講座」というのは、授業を開講する上で必要な経費を大学が負担するのではなく、寄附として資金によってまかなう、というものです。 すでにこうした寄附講座は、昨年から、朝日新聞社が総合科目Z「平和構築論入門」で始まっています。 この寄附講座は東京外語会の経済的支援を受けて開講することができたわけです。
ですから、皆さんも、卒業後はこの同窓会組織である外語会に入って、今度は後輩たちを支援していっていただけたらと思います。
■社会講座
この寄附講座は本年度から、総合科目の中の正式な授業科目として開始されますが、実は突然生まれたものではありません。 最初は、2002年に、東京外語会の社会講座という形で始まりました。2002年には1学期、2学期あわせて9回、2003年、2004年には10回、商社、銀行、ジャーナリスト、作家、大使、議員、企業コンサルタント、国際機関職員などの経験を持つ卒業生から経験を話していただきました。今回の講座は、こうした基礎の上に、これをさらに発展させて大学の授業の一つとして開講する、というものです。この間、私と外語会の皆さんと何度も相談会を重ねながら準備してきました。
■なぜこうした講座を設けたのか。─ 「社会の中の大学」、「社会に開かれた大学」─
この授業科目が新設されたことの意味は、この授業科目だけに限られてのことではありません。もう少し広い意味、大学全体が新たな方向に向かって動き始めている、その動きの一環です。 ではいったいどのような動きなのでしょうか。 一言で言えば、「社会の中の大学」、「社会に開かれた大学」ということです。
かつて大学は、「象牙の塔」と言われていました。「象牙の塔」とは本来は、「参加したり譲歩したりすることのない孤高の存在」という意味だとのことですが、しばしば皮肉を込めて「(現実社会から遊離した)学問・思想・芸術の世界」といった意味を込めて使われています。
確かに、大学は一面では「孤高の存在」でなければなりません。時の権力、あるいは目先の利益の追求とはいったん身を切り離す。何の役に立つのか、ということを考えることなく、学問をそれ自身を目的に研究する場でなければなりません。権力の走狗になってはならないし、その時々の、いわば世俗の実利的な思惑に左右されてもいけない。
しかし「孤高の存在」ということの意味が、時には、社会の常識とはかけ離れてもかまわない、自分の好きな研究を好き勝手にやっていればいい場である、という安易な受け止め方をされる傾向もありました。 また教育は二の次であり、まずは研究を優先する、という考えも少なくありませんでした。教室での教育は研究を主要な任務とする教員の片手間の仕事である、という発想です。 そうなると、休講は多いし、そもそも授業時間も10分、20分と遅れて始まる。そんなわけですから、学生が大学を卒業して以後のことなど自分とはまったく関係ない、就職は学生のプライベートな問題であり、教師はそんなことに関わり合う必要はない、という考え方がむしろ主流であったといってよいでしょう。
しかし大学も社会の公的な機関であり、社会の中でその役割を果たしていくべき存在です。どのような役割でしょうか。
それは第一に「新たな知の創造」。つまり研究ですね。これまで知られていなかった、これまで存在していなかった新たな知的資産を生み出す役割です。
第二に「知の継承」。これは教育です。これまで蓄積されてきた知の体系を新しい世代に受け継いでもらう、そして次の時代を担う人材を養成することです。
そして第三に「知の社会への還元」。すなわち大学での知的活動の成果を広く社会に還元していくことです。
大学は公的な機関としてこの三つの役割を果たしていかなければならないことが、現在、あらためて強調されているのです。
今日は、この第二の役割、すなわち「知の継承」、次の時代を担う人材を養成するための教育について話しましょう。
教育それ自体は以前から、すなわち「象牙の塔」の時代から大学では行われてきました。そうした意味で、今更何を、という風に皆さんは考えるかもしれません。 しかし、「社会の中の大学」、「社会に開かれた大学」であることを強く意識したときの教育のあり方は、象牙の塔の時代の教育の姿とは当然変わってきます。
象牙の塔の時代には、教育はともすれば教員の片手間の仕事でした。その場合、教員が考えればいいのは、せいぜい「教室の中で教える」ことだけでした。教室の中での講義。これが教育でした。
これに対して、「社会の中の大学」、「社会に開かれた大学」であることを強く意識したときの教育に対する考え方、それは、一言で言えば、教育を「教室」の中だけに閉じこめない、教室の壁を越えて、より広い社会的な広がりの中で考えていく、ということです。 考えるだけではない。そうした社会的な広がりをもった教育体制を創り出すのは大学の責任である、ということです。
そうした教育体制を創り出すために、本学はいくつかの試みを始めました。正直言って、まだ始めたばかりですけれど、しかし、そうした方向に歩み出しました。具体的にどのような試みか、についてはこの後すぐ述べることとして、まず、次のことを確認しておきましょう。
社会的な広がりと言った場合、二つの軸で考えることができると思います。 一つは、横への空間的な広がりです。そしてもう一つは縦への時間的な広がりです。
まず、横への空間的な広がりのための大学の試みについてご紹介しましょう。 教育を教室の中だけに閉じこめるのではなく、キャンパス全体へと、地域へと、そして日本全体、さらには世界へと広げていくための試みです。
■横への空間的な広がり ─ 多文化コミュニティ教育支援室
皆さんは、この研究講義棟の2階に、「多文化コミュニティ教育支援室」の看板を掲げた部屋があることに気がつきましたか。多磨駅から来て、正面入口から入らずに手前の屋外の階段を上って2階から建物に入るとすぐ掲示板が並んでいるコーナーがあります。そこからずっと廊下を行くと、右手に「多文化コミュニティ教育支援室」の部屋があります。廊下の壁に大きな掲示板が架かっていますし、今は廊下に机を出してそこにチラシやパンフを並べているのですぐ分かります。今、この大学で一番活気があるのがこの支援室です。
今日はチラシとリーフレットを持ってきました。室についての詳しい情報は、お配りしたリーフレットをお読みいただければと思います。 また『外大ニュース』の119号にも紹介があります。
ではこの支援室ではどのような活動をしているのでしょうか。
この10年ほどの間に定住外国人の数が急速に増え、日本社会の多言語多文化化が進んでいます。それに伴って起きているさまざまな問題の一つに外国人児童生徒の教育問題があります。 日本語が分からず、授業についていけなかったり、いじめの対象となる。そして不登校、非行へと走る子供も少なくない。
こうした状況に対して、本学では学生が行動を起こした。2003年、ポルトガル語の20数名の学生たちが、大学で学んだことを活かしながらこれらの子供たちの力になりたいと、「アミーゴス」(スペイン語、ポルトガル語で友だちという意味)というグループを結成して、ボランティア活動を始めたのです。彼らは首都圏の自治体に問い合わせを行い、自分たちに何ができるのかを調査しました。その結果、川崎市の小学校から支援の依頼を受け、学生たちは毎週一回、小学校を訪問してボランティア活動を始めました。授業で横に座って通訳してあげたり、教材の翻訳をしたり、日本語の不自由な保護者と学校の間でコミュニケーションの仲立ちをしたり、といった活動です。
こうした活動を進める中で、学生たちは自分たちではなかなか解決が難しい課題を大学に訴えてくるようになりました。フィリピン語、中国語、朝鮮語などを理解する学生も派遣して欲しいという要請を受けたけれど、自分たちでは対応が十分にできないといった声。あるいは、活動をおこなうためにはさまざまな知識が必要であることが分かった。専門家に指導して欲しいという要望。子供たちの気持ちをよりよく理解するために青少年心理学の知識が必要だし、算数を母語で教えるにはどうすればいいのか、など、と言った問題です。さらにまた、学生たちは川崎までの交通費を自分で負担していました。その負担はかなり重たい。そのほか、他のボランティア団体とのネットワークづくり、そのための印刷物の発行、ホームページの開設、イベントや講演会の開催などもやりたいけれど、それには出費がかかるということもあります。
こうした要望や要請を受けて、大学が立ち上げたのが、この「多文化コミュニティ教育支援室」でした。そして文部科学省の「現代的教育ニーズ取組支援プログラム」にも採択されました。
活動の柱は4つあります。
1.学生ボランティア活動のフォローアップ
2.教育研修プログラムの実施 (チラシの裏面を参照)
3.調査研究
4.国際理解を深めるための各種講座
私たちは、この多文化コミュニティ教育支援室の活動を、大学教育の一環と考えています。支援室に触れた『外大ニュース』には以下のような言葉があります。
重要なことは「知」というものが大学の教室の中だけで学ぶものではないということです。大学で学んだ知識や理論は、社会と接点を持つことによって発展します。教室の中で学んだ事を社会で活かし、それを再び教室へ持ち帰り、新たな知に発展させる、そうした大学と社会の往復運動によって知は高められていきます。 ◇また、支援室のホームページには以下のような室長の言葉が掲載されています。 この社会との新たな結びつきが、本学の教育研究そのものにもまた新たな生命力を吹き込むことになるのではなかろうか。
あるいは、支援室の室長(私ですけれど)は次のように言っています。
社会での活動を通じて学生たちは、大学で自分たちの学んでいる事柄が単に頭の中だけの知識や理屈にとどまるのではなく、社会的な存在の意味と重みを確かに持っていることを実感し、学習への意欲をさらに高めていくに違いない。そしてわれわれ教師たちは、支援室において、さらにはまた教室において、そうした学生たちの意欲と熱意をしっかりと受け止め、これに応えていくことを強く要請されているのである。
支援室の活動はあくまでも学生の課外活動への支援ですが、大学が始めようとしていることは課外活動だけに限りません。本年度、10月からの2学期には、「多言語多文化共生学」を半年のリレー講義で開講します。今、講師や毎回のテーマなどについて検討するなど、その準備を進めています。この科目も、実はこの多文化コミュニティ教育支援室の活動と同じプログラムです。
このようにして、教室の壁を越えて、教育の場をキャンパス全体に、地域に、社会に、さらには世界に広げていこう、という模索が今始まっているのです。
■縦への時間的な広がり
そうしてようやくこの授業科目についてです。
といってもその前に、この本を紹介させてください。村上龍が作った『13歳のハローワーク』と言う本です。ベストセラーになりました。
この本の「はじめに」で村上龍はこう書いています。
「いい大学に行って、いい会社や官庁に入ればそれで安心、という時代が終わろうとしています。」
そうした時代にどう生きればいいのか、それは難しい問題だけれど、「ここにシンプルで、わかりやすい事実があります。それは、すべての子どもは大人になって、何らかの仕事で生活の糧を得なければならないということです」。
村上龍は続いてこういいます。
「私は、この世の中には2種類の人間・大人しかいないと思います」。それは「自分の好きな仕事、自分に向いている仕事で生活の糧を得ている人と、そうではない人のことです。そして、自分は何が好きか、自分の適性は何か、自分の才能は何に向いているのか、そういったことを考えるための重要な武器が好奇心です」。
そして言います。
「この本は、好奇心を対象別に分けて、その対象の先にあると思われる仕事・職業を紹介しようという目的で作りました」。
この授業科目もこれとまったく同じ意図から設けられています。 今の自分の勉強、関心。それをずっと将来に延ばしていったその先にあると思われる仕事にはどのようなものがあるのか。それを紹介する、ということです。今の自分を出発点に、それを将来の自分にまで視野を広げていく。大学に入った今から、大学卒業後の自分の将来の進路と生き方について考え、そうした長期的な目標設定の中で自分の進路を描いていく。そして将来へと広がったパースペクティブの中で、またもう一度今の自分に戻って、この大学での勉強も位置づけ直してみる。
これまでそうしたことはすべて学生個人個人に任されていました。もちろん、そうした将来の設計を考えるのは学生諸君あなた方一人ひとりです。でもそうしたことを考える教育の場を大学は準備する。 その一つの試みがこの授業です。
■ 2005(平成17)年度入学者アンケートより
学生諸君は、どれほど自分の将来について考えているのでしょうか。それを今年度の入学者について行ったアンケートで見てみましょう。
27. 本学を卒業した後の進路をどう考えていますか。
回答
|
人数
|
%
|
@就職する |
348
|
45.5%
|
Aわからない |
267
|
34.9%
|
B国内の大学院に進学する |
83
|
10.8%
|
C海外の大学院に進学する |
52
|
6.8%
|
Dその他 |
15
|
2.0%
|
合計 |
765
|
100.0%
|
25.1 本学には、学部・大学院一貫5年制の5つの「特化コース」が開設されています。特化コースの履修社は、2年生の秋に選抜されることになっています。応募したいですか。
回答
|
人数
|
%
|
@入学後に考える |
359
|
47.3%
|
A応募するかもしれない |
159
|
20.9%
|
Bぜひ応募したい |
145「
|
19.1%
|
Cコースがあるのを知らなかった |
69
|
9.1%
|
D応募したくない |
27
|
3.6%
|
合計 |
765
|
100.0%
|
(本日配布した資料には誤りがあり、@とBの人数が逆になっていました。)
以上から明らかなように、まだ多くの学生諸君が自分の将来について白紙の状態です。 それに対して、私から何かを言う代わりに、ネットで見つけた雑誌の記事から紹介しておきましょう。
あと、進みたいコースとしては国際協力コースがトップですね。そして、本年度のこの授業も、国際協力がテーマです。
25.2 (25.1で@又はAを選択された方へ)どの特化コースに応募したいですか。
回答
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人数
|
%
|
@国際協力コース |
116
|
38.9%
|
A国際コミュニケーションコース |
113
|
37.9%
|
B日本語教育コース |
35
|
11.7%
|
C英語教育コース |
18
|
6.0%
|
D言語情報工学コース |
16
|
5.4%
|
合計 |
298
|
100.0%
|
■講師の皆さんには次のようなことを話してもらおうと思っています。
1.そうした職業につくにはどのような道筋を辿っていけばいいのか。自分はどのような努力をしたのか。どのような勉強をしたのか。
2.◇そうした職業にはどのような素晴らしいことがあるのか。
3.そうした職業についてどのような豊かな経験をしたのか。
4.そうした職業について、どのような困難を経験したのか。それをどのようにして乗り越えたのか。
■成績評価
レポートを提出してもらい、それをもとに私が成績評価をします。
それでは今日はこれで。来週のトップバッターは講師陣の中で一番お若い中村さんです。
■資料 ネットで見つけた雑誌から
「座談会 学生へのキャリア支援の取組と課題」『Between』(2002年9月)での発言から(相模女子大学、立教大学、聖学院大学、國學院大學のキャリア支援担当者)
◇私たちが通常対応するのは3年生で、時期は秋頃ですが、その時点で、何の目的意識も持っていなかったら話になりません。本学では、3年前から3年生の最初に学生を20人程度の小グループに分けて面談を行っています。「今まで何をやってきたか」を問い、何もやっていなかったら「3年の秋までに何かをやりなさい」と。その後、自己PR文などを書かせるのですが、何もやっていない学生は書けない。
◇本学でも企業面接のポイントとなる志望動機と自己PRを学生に書かせていますが、自己PRとなると、筆が止まる学生が多い。自分自身のことを掘り下げて考えるという訓練をしてきていないんですね。
◇高校生も受験が近づいてくると、受験対策ばかり考えてしまうのでしょうが、決して自分なりの夢や考えを持っていないわけではない。たぶん大学生も同じで、いざ就職の時期が近づいてくると採用試験ばかりに頭がいき、自分が何をやりたいのか考える時間がなくなるんでしょう。
◇(「高校までは自分の将来を具体的に考える時間がなくて、大学で初めてそうした夢に向き合ったりするのかもしれない。」との発言を受けて)彼らにとってはあくまで夢のレベルなのです。低学年にみられる傾向として、なりたいものはあるのですがそれについて調べていない。自分で判断し、行動するというレベルまでは達していないんですね。
◇今の学生に必要なのは、自己判断して自己決定するということです。高校までは偏差値という物差しで評価されてきたのが、大学では何もかも自由で、自分の判断で決定し、やっていかなければいけない。大学卒業後の人生すべてにおいても同様です。長い目で見れば、その次の人生を踏まえて常に自己判断し、決定する力を身に付けさせることが大きな意味でのキャリア支援なのだと思っています。
◇本学の学生の傾向を見ていると、私たちから見ても「この学生はいい」と思う学生はあらゆる会社から内定をもらっています。つまり、企業が欲しい人材は同じということ。どの会社も求めるコンピテンシーのコアには共通しているものがあるのだと思います。学生生活の実績を踏まえて自信を持って自分の可能性を示せれば、どんな企業でも採用したいと思うのです。苦労する学生は、表現がうまくないこともありますが、やはり学生生活の実績とその裏付けが弱い部分を感じます。
◇就職で苦労する学生は、伝えるものがない学生と伝えるスキルがないものの二通りがあると思います。
◇(「採用時に企業は何を見ているのでしょう?学生は学業よりもアルバイトやサークル活動の経験をアピールすると聞きます。」との発言に対して、学生時代に打ち込むものは何でもいいと思うのですが、やはり自発的に動いているかということと、常に問題を解決しながら、自分の目標を達成しているかというところでしょう。最近、授業の内容を突っ込んで聞く企業が増えていませんか? ある企業の面接でも、「自分の勉強の領域でプレゼンテーションしてください」と言われたといいます。ですから、今までは「体育会出身です」というだけで受け入れられていたものが、これからは学問の領域と両立させていることも求められてくると思います。
◇キャリア開発というのはあくまで学生が中心で、私たちがサポートできる部分は限られています。でも、支援者として自分たちが何をすべきかはしっかり把握していなければなりません。先ほどの話にも出ましたが、これからのキャリア支援に必要なのは自己発見力、自己判断力、自己決定力を付けさせることです。就職しても3割の人は3年で転職するという時代ですから、常にキャリア開発をする必要がある。そうした力を付けてあげる。