書評論文をどう書くか

 

■作業の進め方

パソコン(ワープロ)で二つのファイル(文書)を作る。

(1) 一つは、本の構成にそって、ページ順にその内容を要約していくファイル。

・まず本の目次を入力し、そこに一段落一行の要約を書いていく。

・その際に、思いついたこと、ひらめいたことがあったらそれも必ずメモしておく。

(2) もう一つは書評論文の基礎となるファイル。

・このファイルには下記の項目を立て、それぞれの項目に該当するデータを入力していく。

・はじめはメモ程度でよい。ある程度データが蓄積されたら、あるいは発想が湧いたら文章化してみる。

・「議論の展開」に関する項目(後述)では、第一のファイル(要約ファイル)での一段落一行の要約を土台にしながら読みやすい形に整形していく。

 

■書評論文の項目 書評論文には、最低限、以下の項目を含める。

◆自分がなぜこのテーマを選んだのか

◆どのような本を選んだのか

◇基本となるデータ(著者、タイトル、発行地、発行所、発行年)

◇どのような本か(単著か共著か、研究書か啓蒙書か、どのような経緯で本になったのか:もともと博士論文だった等)

◇著者は誰か、どのような人か:経歴、職業、他の著作、学界での評価

◆著者の問題意識(問い)は何か、著者は何を明らかにしようとしているのか

◇基本的な問題意識(問い)は何か

◇より個別的、具体的な問題意識(問い)は何か

◇著者はなぜそのような問題意識を持つにいたったのか、研究の動機、きっかけは何だったのか

◆研究史

◇これまで、こうしたテーマでどのような研究が行われてきたのか

◇著者はこれまでの研究をどのように評価しているのか

・到達点はどこか

・未解決な点、不十分な点は何か

◆著者はどのような結論(問いに対する答え)を出しているのか

◆著者はそうした結論をどのようにして導き出しているのか(=方法論)

◇データをどのように収集しているのか

a) フィールドワークによる場合:

・調査時期はいつか、調査地域はどこか

・標本調査なのか、参与観察なのか、インタビューなのか

b) 文献資料による場合:

・使用した資料・文献はどのような性格のものか(一次資料か、既存の研究書か)

◇どのような理論的な枠組を用いているのか

・理論的な枠組があるのか、それはどのような枠組か

・キーとなる概念は何か

◇どのように議論を展開しているか

・本の構成はどのようになっているのか

・各章はどのように展開されているか

◆評価

◇どれほど鋭い問題提起をしているのか

◇どれほど斬新な結論を出しているのか

◇論理の展開、実証の仕方はどれほど説得的か

◇研究史の中でどのように位置づけられるのか

・どのような点が新たに解明されたことなのか

・解明されずに残された課題は何か

・従来の見解の繰り返しに過ぎないのか、それとも定説を否定、修正するような新しい見解の提示があるのか