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授業の目標
一年次で習得している基礎力を前提とし、その段階を、リライトされた学習用の文章ではなく、実際の思想的な論文を読めるレベルにまで橋渡しするための授業です。
授業の概要
ハンナ・アーレントの思想について論じたKarl-Heinz
Breierの小著を、文字どおり精読します。
授業の計画
例年Junius の思想家シリーズを使っていますが、今年も、亡命ユダヤ知識人のひとりであり、ヤースパースとハイデガーから強い影響を受けながら、「政治的なるもの」の本来的な意味を思索した思想家ハンナ・アーレントの巻をとりあげます。彼女は、『全体主義の起原』『人間の条件』『過去と未来のあいだ』などの著作群を通じて、二十世紀後半の政治と文化についてラディカルに考えようとする多くの知識人に決定的な影響を与え、現代思想のもっとも刺激的な参照点となりつつあります。この授業は、これをペースメーカーとして、みなさんが思想的な問題を論じた文章にこつこつと取り組む機会である、と理解してください。文法的にも、意味論的にも、分かるまで説明するというやり方をとっています。
成績の評価
出席と各回の小テスト、教場で訳読を担当したときの達成度、それに休み明けに提出する二回の課題で厳密に評価します。採点方法の詳細は、第一回目に説明します。
受講上の注意
かならず予習が必要です。ちゃんとした準備をしてきていることを前提にして、ランダムに指名した学生に長い箇所の訳読を担当してもらいます。そのときの出来不出来の評価が、他の授業などでの学年末試験の点数にあたると思ってください。また、毎回冒頭で、前の回に扱った語彙や文法などについて小テストをします。ともかく、学期末の試験を一夜漬けで乗り切ればなんとかなる、という性格の授業ではありません。
テキスト・教材
Karl Heinz Breier, Hannah Arendt, Junius
Verlag 2001. あらかじめamazon.deなどで購入しておいても構いませんが、希望者がいれば、年度初めに共同購入を試みます。価格は、本体が14ユーロほどです。
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