スィンド地方を旅する

このページでは、これまであまり紹介されてこなかった、スィンド地方を旅するための情報を提供します。
ここで紹介するのは、主として『内陸スィンド(Interior Sindh)』と呼ばれる、カラーチー市以外の地域です。
なお、治安が不安定な地域もありますので、実際に行かれる前に、必ず最新の情報を入手するようにして下さい。
このページで用いられている地名など固有名詞のカタカナ表記は、あえてスィンディー語による発音に近づけてあります。したがって、日本国内で通用している表記とは異なる場合があります。混乱を来す可能性がある場合は( )内に日本で普及していると考えられる表記を並記しました。
例)タットー(タッター)
それでは、奥の深いスィンド地方へ出かけることにしましょう。

事前準備

内陸スィンドでは、カラーチーやラーホールなどの都市部ほど、英語が通じない場合があります。また、上で指摘したとおり、治安が不安定な地域がありますので、出発前に必ず最新の情報を確認するようにして下さい。
2012年6月時点では、ビザ以外に別途入域許可等が必要な場所はありませんが、今後の状況によっては変化することがあります。一年を通じて、日本に比べると高温、乾燥気候の地域です。服装などに注意が必要です。
携帯電話は、ほぼ全域で通じますが、インターネット回線はそれほど普及していません。なお、内陸部では、国語ウルドゥー語が通じにくい場合があります。

ハイダラーバード حيدر‌آباد (ḥaidarābād) とその周辺

ハイダラーバードは、内陸スィンドを旅する場合の拠点になる都市です。人口約200万(1998年国勢調査)を数え、第5番目に大きい都市です。パーキスターンが英領インドから分離・独立する1947年までは、スィンド地域の首都でした。
この街から北へ向かって、インダス河の東西を国道が伸びています。交通量が多いのは、東岸を走るナショナル・ハイウェイ、新しく整備されたのが西岸を走るインダス・ハイウェイです。数年前にハイダラーバード市街を経由しないバイパスが整備されカラーチーと内陸スィンドの距離が縮まりました。
また、この街から東側には広大なタル砂漠が広がっています。道路と鉄道とが東へ向かって伸びています。
ハイダラーバード市郊外のジャームショーロー地区には、スィンド大学、メヘラーン工科大学、リヤーカト医科大学のキャンパスがあり、一大学園都市を形成しています。中でもスィンド大学附設のスィンド学研究所(Institute of Sindhology)には、スィンドに関するあらゆる情報が集中し、図書館や博物館などを通してそうした情報に触れることができます。

ビットシャー ڀٽ‏ ‏شاھ (bʰiṭ šāh)、ハーラー ھالا (hālā)(Bhitshah, Hala)

スィンド文化の中心に位置づけられる、シャー・アブドゥッラティーフ・ビターイーの廟があることで知られています。
また、かつての藩王国の1つであるハイルプール(Khairpur)にも近く、北部観光の際には必ず通る場所です。カラーチーや、ラーホール、イスラーマーバードとは空路でも結ばれています。

サッカル سکر (sakkʰar) (Sukkur)

スィンド州北部を旅する場合の拠点になる都市です。
近くには、鉄道の分岐点となるローホリー・ジャンクション(Rohri Junction)があり、スィンドと、パンジャーブ、バローチスターンとを繋いでいます。
また、かつての藩王国の1つであるハイルプール(Khairpur)にも近く、北部観光の際には必ず通る場所です。カラーチーや、ラーホール、イスラーマーバードとは空路でも結ばれています。

ラールカーノー لاڙڪاڻو (lāṛkāṇō)(Larkano)

北部最大の都市サッカルから、インダス川を西に渡り少し南に下ったところにある街です。インダス文明の有名な遺跡モーハンジョーダローへ行く際の拠点になります。パキスタン人民党(Pakistan Peoples Party)を創設した、ズルフィカール・アリー・ブットー(Zulfikar Ali Bhutto, -1977)やその長女ベーナズィール・ブットー(Benazir Bhutto, -2007)を輩出したブットー家の拠点でもあります。遺跡モーハンジョーダローまでは、タクシーなどで行けます。

ジャイコバーバード (Jacobabad)

シカールプール(Shikarpur)

スィンド州東部、タル砂漠を旅する場合の拠点になる都市です。
パーキスターン側ミールプール・ハースとインド側ジョードプル(Jodhpur)とをつなぐ鉄道は今もあるが、2012年6月現在、国境(パキスタン側コークローパール(Khokhropar)、インド側ムーナーバーオー(Munabao))を越える旅客列車の運行は一時停止中です。

モーハンジョー・ダロー موھن‌جو‌دڙو (mōhanjōdaṛō) (Mohenjodaro)

ラールカーノーから約○kmの距離に位置する、言わずと知れた、インダス文明を代表する都市遺跡です。近年、観光地としての整備が進みつつありますが、宿泊施設などは整備されていません。したがって、ラールカーノーやサッカルなどの近郊都市を拠点にする必要があります。
航空機を利用しても、カラーチーからの日帰り往復はできません。
敷地内に日光を遮るものはないので、夏の間の観光には気をつけてください。季節を問わず、水分補給は必須です。また、説明や案内標識などが整備されているとは言いがたいので、行く前の下調べが必須と言えます。

ダードゥー(Dadu)

セヘワーン سيوھڻ (sēwʰaṇu) (Sehwan)

パキスタン国内はもとより、インド亜大陸各地から宗教を問わず参拝者がある、ラール・シャハバーズ・カランダル(Lal Shahbaz Qalandar, 11??-1206)廟があることで有名です。ハイダラーバードから、インダス・ハイウェイ(インダス川西岸)を上るバスで約4時間かかります。付近には『ホテル』と呼べる宿泊施設はないので、ハイダラーバードからの日帰りをお勧めします。なお、ウルス(命日祭)の前後には、多くの宿泊者が訪れるので、臨時の宿泊施設ができることがあります。

ミールプール・ハース ميرپور‏ ‏خاص (mīrpūr xāṣ) (Mirpur Khas)

スィンド州東部、タル砂漠を旅する場合の拠点になる都市です。
パーキスターン側ミールプール・ハースとインド側ジョードプル(Jodhpur)とをつなぐ鉄道は今もあるが、2012年6月現在、国境(パキスタン側コークローパール(Khokhropar)、インド側ムーナーバーオー(Munabao))を越える旅客列車の運行は一時停止中です。

ウマルコート(Umerkot)

ムガル王朝第3代皇帝アクバル生誕の地として知られています。

ミッティー(Mithi)

タル・パールカル県の中心となる街です。バスで移動する場合、カラーチーから、ハイダラーバードを経由して約8時間かかります。

ナガルパールカル(Nagar Parkar)

パキスタンとインド国境付近に位置する集落です。パキスタンで通常入手できる地図では、もっとも国境に近い集落です。付近には、ジャイナ教寺院跡や、グジャラーティー文字で書かれた表札などが残されています。