平成15年度 基盤研究(A)(1) (海外学術調査)
研究課題:北部ルソン島ラロ貝塚群の発掘調査−先史狩猟採集社会と農耕社会の相互関係の解明
研 究 組 織 (研究代表者及び研究分担者) |
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氏 名(年齢) |
所属研究機関・部局・職 |
現在の専門 |
学 位 |
役 割 分 担 |
平成15年度 |
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(本年度の研究実施計画に対する分担事項) |
研 究 経 費 |
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小川英文(47) |
東京外国語大学・外国語学部・助教授 |
考古学 |
文修 |
研究総括及び遺跡発掘、 狩猟採集社会民族考古学調査 |
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青柳洋治(62) |
上智大学・外国語学部・教授 |
考古学 |
文修 |
遺跡発掘及びフィリピン先史文化の 編年構築と他地域との比較研究 |
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小池裕子(56) |
九州大学・大学院・比較社会文化研究院・教授 |
先史人類学 |
理博 |
貝塚自然遺物・安定同位体分析 による食性分析 |
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富岡直人(38) |
岡山理科大学・理学部・助教授 |
古環境学 |
理博 |
動物骨分析による先史生業復元 |
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奥野 充(37) |
福岡大学・理学部・講師 |
炭素14年代学 |
学術博 |
AMS14C年代測定、古環境・古流路・古気候復元 |
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海外共同研究者 |
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ウイルフレド・ロンキリオ(55) |
フィリピン国立博物館・考古学部門・部長 |
考古学 |
理修 |
フィリピン側研究統括・現地政府機関との交渉 |
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ユセビオ・ディソン(48) |
フィリピン国立博物館・考古学部門・首席研究員 |
考古学 |
文博 |
鉄生産に関する研究・周辺地域との文化的関連についての研究 |
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エンジェル・バウティスタ(46) |
フィリピン国立博物館・考古学部門・ |
考古学 |
理修 |
動物考古学的研究による生業復元・人骨研究 |
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アメ・ガロン(33) |
フィリピン国立博物館・考古学部門・ |
考古学 |
理学士 |
貝層形成過程復元研究・動物考古学研究 |
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合計 5名 (うち他機関の分担者 4 名) |
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基盤研究(A) |
研究機関名 |
東京外国語大学 |
研究代表者氏名 |
小川英文 |
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研究目的:
@本研究は、東南アジア考古学において未だ解明されていない、狩猟採集社会の今日までの存続という問題に説明を与えようとするものである。調査地であるフィリピン、北部ルソン島カガヤン河下流域では、互いに生業技術が異なる狩猟採集社会と農耕社会とが日常的な交流を保持している。このような状況を助長してきた要因がどのようなものなのか、先史時代にまで遡り、当該地域4000年の歴史過程のなかで、考古学・古環境学・先史人類学の方法を用い、資源利用と生業技術の側面から諸要因を特定し、文明へとは向かわなかった狩猟採集社会の人類史の一面を明らかにすることを目的とする。
A東南アジアにおいて狩猟採集社会が今日まで現存する問題は、考古学において人類史の大きな課題として長い間取り組まれてきた。かつては他集団からの隔離によって説明されてきたが、最近では狩猟採集社会と農耕社会間の経済的・社会的相互依存関係によってこの問題を説明しようとするモデルが提示されている。これら両者の関係が歴史的にどのくらい古いものであり、歴史の過程においてどのように変化してきたかを明らかにし、狩猟採集社会の歴史がなぜ、文明へとは向かわず、人類史のもう一つの方向性となったのかを解明するには、人類の過去の問題を総合的に取り扱う考古学の方法が必要不可欠である。本研究の目的である狩猟採集社会と農耕社会の相互依存関係の歴史を解明するためには、一つの地域の遺跡全体を総合的に調査する必要がある。しかし従来の東南アジアにおける考古学調査では、ひとつの遺跡を集中的に調査することはあっても、ひとつの地域全体に分布する遺跡群全てを総合的に調査した例はほとんどない。本研究は東南アジア考古学自体にも新たな方法を提起することによって、研究目的を達成するものである。この方法に基づいて低地と山地の遺跡群を発掘調査し、考古学の成果と古環境復元や狩猟採集社会と農耕社会との関係に焦点を当てた民族考古学調査の結果を総合して、狩猟採集社会の外部世界からの隔離あるいは農耕社会との相互依存の問題を考古学的に検証し、どのような要因が狩猟採集社会に文明とは異なる道を歩ませたのかを解明するという研究成果が期待できる。
B本研究に関連して日本東南アジア考古学会では93年度から2年間にわたって東南アジア貝塚研究プロジェクトを組み、2回の大会と1年間の月例研究会をつうじて東南アジア全域の貝塚の遺跡立地・編年・遺物の種類・貝種名・絶対年代・報告書および研究論文をまとめた『東南アジア・南中国貝塚遺跡データ集』を刊行した。これによって当該調査地ラロ貝塚群が東南アジア最大規模をもち、現在でも貝採集が行われている貴重な遺跡であることが確認された。また96年ハワイ大学、97年マニラでの東南アジア先史学会議で本研究の成果を発表し、南中国海沿岸とオセアニア地域との先史文化的関連が議論された。こうした研究の成果を受け、99年度から台湾との先史文化の関係を調査するために台湾中央科学院が、2000年度からはオセアニアのラピタ土器の源郷問題に関連してANUの調査隊がラロ貝塚群での調査に参加している。また狩猟採集社会と農耕社会との相互依存関係の歴史過程の研究については、94年からブッシュマン、イヌイト、アボリジニ、アイヌの研究者と共同研究を開始し、狩猟採集社会の外界からの自律性・純粋性の問題について議論・研究を続けている。そしてこの問題の解決には時間的深度を取り扱う考古学の方法以外にないことを確認し、文化人類学から寄せられる期待の大きさを認識した。文化人類学との共同研究の成果として96年に『採集狩猟民の現在』、2000年には『交流の考古学』を刊行した。今年度からはラロ地域の先史社会を広域的・多角的に理解するため、先史資源開発技術に関して科研特定領域研究を分担し、またオセアニア地域との環境利用の比較研究についての民博の共同研究に、さらにモンゴロイドの適応・拡散という観点から日文研の共同研究に参加し、他地域の先史考古学者、文化人類学者、そして自然人類学者との意見交換のなかで当該研究を位置づける試みを継続している。本研究のように、一地域内における、生業技術が異なる集団間の相互依存関係の歴史をたどる研究プロジェクトは東南アジア、あるいは世界にも例がなく、調査成果に対する内外からの期待も大きい。
従来の研究経過・研究成果又は準備状況等:
I. 1.文部省科学研究費補助金(国際学術研究1995〜1997年度)
研究課題:「ラロ貝塚群の発掘−東南アジア島嶼部先史時代の考古学的調査−」
研究経費:18,000千円
当初の研究計画:
80年代のラロ貝塚群予備調査の成果を踏まえ、本格的な発掘調査実施のため、考古学者と自然科学専門家とからなる調査隊を編成し、人工遺物と自然遺物の両面から学際的・総合的な研究を計画した。具体的には、北部ルソン島カガヤン河下流域50km四方を調査範囲に定め、河岸に立地する貝塚遺跡群出土土器による地域的編年体系の確立、貝採集技術の民族考古学的調査、丘陵地帯の洞穴分布・発掘調査と狩猟採集社会の民族考古学的調査、動物骨同定による狩猟行動のパターン復元とその変化、花粉分析による植生復元、地質学調査による河川古地形と海水面変動復元、人骨の安定同位体分析による古食餌復元、遺物同定の基礎資料としての魚骨・植物種子のリファレンス採集、C14年代測定の調査項目を設定した。
研究経過と成果:
1.自然科学分野の専門家を調査に編入し、動物学、地質・花粉学、先史人類学、形質人類学の各班を編成し、それぞれの分析結果を総合的に解釈して、紀元前2000年期以降から現在に到る当該地域の熱帯雨林の消長・古環境(古地形・海水面変動)、古食餌についての基礎データの収集と分析が行われ、貝塚の形成と生業活動戦略の変化を復元する基礎資料となった。
2.未調査地域について遺跡分布調査を行い、新たに3カ所の伸展葬墓地遺跡、3カ所の沖積平野内貝塚、1カ所の洞穴遺跡を発見し、それぞれ発掘調査を実施した。また出土遺物による編年体系の精緻化、先史時代貝採集社会の生業戦略解明のため、河岸段丘上の貝塚を中心に発掘を実施した。その結果、河岸丘陵、河岸段丘、沖積平野、丘陵地帯のそれぞれに立地する貝塚群がグルーピングでき、立地条件によって出土遺物の時期が異なることが明らかとなった。
3.これら発掘調査の結果、遺物による相対編年がより精緻なものとなり、C14年代測定の結果とあわせ、無土器時代→有文赤色土器群(紀元前2000年期)→無文赤色土器群→有文黒色土器群→無文黒色土器群(1000年BP)→14世紀以降中国陶磁器という遺物と遺跡の変遷を明らかにした。また埋葬人骨には無文黒色土器群と中国陶磁器を副葬品とする2時期にわたることが明らかとなった。河岸段丘上貝塚下のシルト層中文化層として無文赤色土器群が確認された。
4.同文化層中からは河岸から直線で10km離れた丘陵地帯洞穴遺跡出土のものに類似する剥片石器が少量出土した。同時に発掘調査された洞穴遺跡からも剥片石器群とともに少量の無文赤色土器群が出土した。このことから低地農耕民と山地狩猟採集民との交流を考古学的にあとづけることが可能となった。
5.貝採集民の民族考古学的調査を実施し、先史時代における貝採集・漁撈の生業戦略のモデル化、貝採集量の推定と産業的・商業的貝採集活動と食料としての貝の交易の存在を予測することが可能となった。
2.文部省科学研究費補助金(海外学術研究1999〜2001年度)
研究課題:「カガヤン河下流域の考古学調査−狩猟採集民と農耕民の相互依存関係の歴史過程の解明−」
研究経費:19,470千円
当初の研究計画:
前年度までの科研調査の成果を踏まえ、引き続きラロ貝塚群出土遺物の編年体系の精緻化、民族考古学的調査、地質・生態調査を継続し、低地と丘陵の遺跡の比較による遺物や遺跡立地に時代的な出現パターンを見出す調査・研究を企図した。具体的にはカガヤン河河岸段丘上の貝塚を中心とする集落址、墓地遺跡の分布・発掘調査を継続するとともに、東岸丘陵地帯の洞穴・開地遺跡の分布発掘調査をとおして、低地と丘陵地の遺跡の人工・自然遺物資料を比較検討し、各遺跡とその遺物を編年の枠組みに組み込みながら狩猟採集社会と農耕社会との相互関係の変遷を追求する。また低地貝塚採集社会の生業活動として重要な位置を占めたと考えられる水田稲作の証拠を掴むため、水田址検出とプラントオパール分析の方法を用いた調査を策定した。
研究経過と成果:
1.前回の科研調査に引き続き、カガヤン河下流域に分布するラロ貝塚群の発掘調査を続行した。カガヤン河両岸の河岸段丘上に立地する8貝塚12ヵ所および1つの内陸貝塚の発掘調査を行い、出土土器群をもとに4000年以上にわたる貝塚形成の時期を6期に画し、ラロ貝塚群を中心とするカガヤン河下流域の地域的土器編年体系を確立した。
2.ガヤン河西岸サンロレンゾ貝塚において900uの発掘調査を継続し、貝廃棄、貝塚形成過程パターン解明のための資料を得ることができた。また1500年〜500年前の3期にわたる墓葬を確認しそれぞれ異なる埋葬形式を明らかにした。
3.遺跡から得られた人骨・動物骨・炭化物資料の放射性炭素年代測定を九州大学・福岡大学・名古屋大学の協力により実施し、より精緻な年代計測値が得られた。その結果、ラロ貝塚群の編年は、無土器時代(紀元前三千年期)→有文赤色土器群(紀元前二千年期前半)→無文赤色土器群(紀元前二千年期後半)→有文黒色土器群(2000〜1500BP)→無文黒色土器群(1500〜1000年BP)→貿易陶磁器群(14世紀以降)という変遷で捉えることが可能となった。
4.貝層出土人骨の安定同位体分析による古食餌分析の結果からは、無文黒色土器文化層期の人々は食料資源としてのシカ、イノシシなど陸棲動物への依存度が高かったとの結果を得ることができた。これは貝塚を形成した人々が水産資源に拠っていたという予想を覆した。
5.先史貝採集社会の生業基盤復元のために貝塚後背地で水田址調査を行った。そのため弥生時代水田址調査の経験をもつ専門家が参加し、3ヶ所で複数枚の水田面を検出した。さらに各水田面からイネのプラントオパールを採取し、分析中である。
6.これまでの調査成果を総合して、小川は狩猟採集社会と農耕社会との相互依存関係の歴史プロセスについて、田中(研究協力者)は低地農耕社会の政治的統合過程についての理論構築の研究を行い、成果を公刊した。
研究の今後の発展:
狩猟採集社会と農耕社会との相互依存関係の歴史過程を考古学的に探るには、一定の広さをもった調査域のなかにある遺跡総体を調査し、時代ごとに編年し、遺跡の消長を相対的に捉え、変化の理由を説明する必要がある。そのため、これまで低地に集中してきた調査を現在でも狩猟採集民が生活する丘陵地へと移動し、洞穴遺跡の発掘調査を継続する。同時に現在の狩猟採集社会の民族考古学的調査を実施し、資源利用と農耕社会との交換モデルを構築して先史時代における両者の関係の解釈に努める。また遺跡の変化に対応する生業変化を捉えるには、考古学以外の自然科学諸分野との学際的・総合的な研究が必要である。安定同位体分析による古食餌の実態と資源利用の解明、動物骨の分析による生業活動の実態解明、そしてAMS14C年代測定法による各遺跡の編年作業をさらに推し進めていく。考古学と自然科学との成果を総合し、熱帯雨林環境における先史狩猟採集社会の自立の可能性、農耕社会との関係の歴史的深度、技術的背景が異なる集団間での共生の社会的・経済的・政治的諸条件の特定化をめざすものである。
研究計画の準備状況
本研究の準備調査は研究代表者がフィリピン国立博物館留学中の1985年から開始され、3年間にわたって調査地に住み込み、カガヤン河下流域の貝塚分布調査と3遺跡の発掘調査、貝採集民の生業活動に関する民族考古学調査、および貝・魚類の標本収集を実施した。平成7年度から13年度までの2次6年間にわたる科研費補助金により、フィリピン国立博物館考古学部門との共同で、12回にわたる調査を実施し、10遺跡の発掘調査と遺物の整理・分析作業を行ってきた。調査地には住民の協力によって通年で調査団のベースとなる宿舎を確保し、調査・分析器材を保管して、常時調査が可能な状態となっている。またカガヤン州知事が本調査に理解を示し、ラロ貝塚群内に調査・研究・展示のスペースとして、フィールドミュージアムを建設する資金援助を提供し、フィリピン国立博物館ラロ分館として来年度オープンする。これにより当該研究に大きな便宜が与えられた。調査実施時には考古、動物、植物、地質、形質人類、先史人類学などの各分野の専門家が日比双方でペアとなって調査を行い、十分な意見交換を行い、成果を共有できるよう配慮してきた。またフィリピン大学大学院考古学専攻学生の発掘実習も毎回の調査時に実施している。これらは今後も継続して実施する予定である。本調査の許可取得に関しては、許認可機関であるフィリピン国立博物館が、本研究を当該博物館自身の研究課題として位置づけているため、今後とも問題はない。ビザ取得に関しても同様である。また調査成果の報告と論文の公表に関しては、『東南アジア考古学』をはじめとする学術雑誌に掲載してきた。その際には若手フィリピン人研究者の発表の機会を増やす配慮をしている。
II. 科研費補助金以外の研究費による研究
1.経団連石坂記念財団海外派遣助成(1985〜1987年度)
研究課題:「フィリピン、ルソン島カガヤン河下流域の考古学的総合調査」
研究代表者:小川英文 研究経費:3,000千円
2.三菱財団在外研究助成(1985年度)
研究課題:「フィリピン、ルソン島カガヤン河下流域の考古学的総合調査」
研究代表者:小川英文 研究経費:1,000千円
3.高梨学術奨励基金研究助成(1985年度)
研究課題:「フィリピン、ルソン島カガヤン河下流域の考古学的総合調査」
研究代表者:小川英文 研究経費:1,500千円
研究経過とその成果:
同一の研究課題に対して以上3件の研究助成を受けた。本研究課題の最初の研究段階として、以下の調査・研究を3年間当該地に住み込んで実施し、以下の成果を得た。
1.カガヤン河下流域50kmにわたる貝塚遺跡の分布調査を行い、河岸段丘上、石灰岩台地上、沖積平野、海岸砂丘という異なった立地条件をもつ貝塚遺跡18カ所を発見した。遺跡規模の測量結果からこれらの貝塚群には立地条件と年代を異にする大小の貝塚が形成されており、最大のもの(500m×100m×深度2m以上)は東南アジアのみならず世界有数の規模をもつ貝塚遺跡であることを明らかにした。
2.分布調査によって採集された遺物の整理・分析、遺物の編年研究と報告書の作成を行った。その成果として沖積平野は無土器、石灰岩台地上は赤色土器、河岸段丘上は黒色土器、海岸砂丘は17世紀以降の中国陶磁器を出土する遺跡が営まれ、これら遺跡の立地条件の違いが遺跡形成年代の違いを反映することを明らにした。
3.大規模貝塚の貝採集社会の生業技術や活動内容に関する民族考古学的調査・研究を実施し、現在の貝採集活動の実態から先史時代の生業戦略を説明するためのモデル構築を行った。
4.現生貝種・魚種の標本作製とその生息域、回遊魚の季節性、水質、塩分濃度などの基礎資料を収集し、先史時代の貝塚資料との比較資料を作成した。
5.河岸石灰岩丘陵上貝塚遺跡(マガピット貝塚)の発掘調査を実施し、有文赤色土器群の器種構成、共伴するその他の人工・自然遺物の構成を明らかにした。さらにこの遺跡のC14年代が3000年前であり、この土器文化が台湾、オセアニア地域の当該期の諸先史文化と関連をもつことを明らかにした。特に当該遺跡出土の有文赤色土器群については、モンゴロイドのアジアからオセアニアへの拡散の初期段階にみられるラピタ土器との関係が世界的に注目され、モンゴロイドのオセアニア進出源郷問題では必ず言及されるようになった。
6.河岸段丘上貝塚遺跡2地点の発掘調査を行い、これらの貝層が有文赤色土器文化の後、紀元後1000年前後の無文黒色土器文化層として位置づけられることを明らかにした。さらに貝層形成過程解明のため日本の縄文貝塚研究で開発された発掘方法を用いて発掘を行い、一時に大量の貝が採集され、消費・廃棄されたことを明らかにした。
4.高梨学術奨励基金研究助成(1998年度) 研究課題:「ラロ貝塚群墓地遺跡の考古学調査」
研究代表者:小川英文 研究経費:400千円
5.高梨学術奨励基金研究助成(2002年度) 研究課題:「カガヤン河下流域における貝塚遺跡群出土土器の編年的研究」
研究代表者:小川英文 研究経費:400千円
研究経過とその成果:
上の2件については、貝塚出土土器群の地域的編年体系確立のための調査・研究であった。2件のいずれもその前年度まで実施した科研調査の成果を補う年にあたり、土器編年データを補足する調査を行った。98年度は墓地遺構から無文黒色土器群の完形土器を検出した。2002年度は、すでに昨年度までの科研で明らかとなっていた当該地域の編年体系、無土器時代(紀元前三千年期)→有文赤色土器群(紀元前二千年期前半)→無文赤色土器群(紀元前二千年期後半)→有文黒色土器群(2000〜1500BP)→無文黒色土器群(1500〜1000年BP)→貿易陶磁器群(14世紀以降)のうち、やや曖昧であった有文黒色土器群から無文黒色土器群への変化を確定する調査を実施し、その結果、この変化を層位的に確認することができた。これらの研究の結果、ラロ貝塚群全体の遺跡を4000年前から今日に到るまで6期に分類できることが判明し、今後の調査・研究に重要な時間的尺度を得ることができた。
研究計画・方法:
研究目的を達成するため、本研究では3年間にわたって、フィリピン、ルソン島北東部カガヤン河下流域ラロ町域に分布する貝塚、洞穴遺跡群の発掘調査と狩猟採集社会の民族考古学的調査、そして地質学的調査を実施し、そこから得られた人工・自然遺物等のデータを、考古学・古環境学・先史人類学の各分野の専門家によって分析・研究を行うものである。具体的には、考古学は未だ調査が行き届いていない丘陵地帯での洞穴遺跡調査と狩猟採集社会の民族考古学的調査、そしてすでに土器編年体系が確立したカガヤン河河岸段丘上の貝塚遺跡群の発掘による動・植物遺体の検出、先史貝採集社会にとって貝以外の生業手段と考えられる鉄鍛冶工房址の検出、さらに貝塚の後背低地に展開していた水田址の検出を中心課題とする。古環境学の立場からは、ボーリング調査資料の分析を中心とする、貝の生息条件であるカガヤン河の古地形・古流路復元調査、狩猟採集社会が生業基盤を置いた丘陵地帯熱帯雨林の古環境、古気候復元を行う。また貝塚・洞穴遺跡出土の動物骨の分析による生業復元、さらに検出した水田址をイネ栽培と確定するためのプラントオパール分析、そして遺跡出土の人骨・動物骨・炭化物によるAMS14C年代測定を行う。先史人類学は、発掘された人骨からコラーゲンを抽出し、安定同位体分析を行って古食餌復元を行う。同時に人骨・動物骨から抽出したコラーゲンはAMS14C年代測定に用いる。さらにGIS(地理情報システム)を導入して、丘陵地帯の遺跡の位置を正確に記録し、古地形・古植生・古流路を復元し、近年の開発による熱帯雨林環境の変化を予測する。またGISにこれまでの成果である遺跡情報データを入力し、2次元、3次元の地図情報として記録・表示し、当該地域6期の文化期にわたる遺跡分布と環境利用の特徴とその変化を追及する。このような調査によって各分野で得た分析結果を総合的に解釈し、当該地域先史時代における狩猟採集社会、農耕社会の生業実態を解明するために、国内で年2回、フィリピンで年1回の研究会を実施する。以上の調査・研究方針にしたがい、平成15年度の計画は以下のとおりである。
1.ラロ町域、カガヤン河東岸丘陵地帯の洞穴遺跡群の分布調査を行う。これまでの調査で人間居住の痕跡を残す洞穴はマバゴッグ洞穴一ヵ所だったため、雨林内洞穴の管理を行っているフィリピン天然資源省の助力を得ながら、居住に適した洞穴遺跡を発見し、遺物を採集する。その際にはGPSを用いて、雨林内の洞穴の正確な位置を特定する。
2.貝塚形成過程、貝の廃棄パターンを特定化するため、数年来調査を実施してきたサンロレンソ貝塚シリバン遺跡の発掘を継続する。当該貝塚では埋葬遺構が検出されており、人骨は古食餌分析と年代測定のための資料とする。
3.水田址発掘を継続し、貝採集以外の生業の実態を明らかにする。水田址を確定するため土壌サンプルを採取し、プラントオパール分析を行う。水田面の時代を特定するために炭化物の検出に努め、C14年代を特定する。
4.地形・古環境・古気候復元のためにボーリング調査を遺跡周辺で行い、コア・サンプルを分析する。
5.これまでの発掘調査で得られた動物骨の種同定、齢構成復元を行い、時代ごとの生業活動の実態を明らかにする。
6.ラロ町域丘陵地帯に生活する狩猟採集民イタの民族考古学調査を実施する。今年度は狩猟採集社会と農耕社会の交流の現状をテーマに調査を行う。
7.ラロ貝塚群の南部では昨年、3000〜4000年前に遡る有文赤色スリップ土器群が表採されているため、この遺跡の位置・範囲を特定化する。ラロ貝塚群の早期土器群が南部中心に分布していたとすると、貝の生息域とカガヤン河の古環境の変化を考える上で重要な資料となる。
8.調査資料の分析は、考古学はマニラのフィリピン国立博物館で行い、古環境学と先史人類学は日本で実施する。その成果を総合的に解釈するために、分担者・協力者による研究会を国内とフィリピンで開く。
平成16年度
前年度に引き続き、考古学(洞穴・貝塚・民族考古)、古環境学(ボーリング・C14年代測定・動物骨分析)、先史人類学(古食餌)の各班に分かれて調査を継続する。調査項目は以下のとおりである。
1.カガヤン河東岸丘陵地帯の洞穴遺跡の発掘調査を行う。洞穴遺跡からは剥片石器群と4期にわたる土器群の出土が予測され、これらをもとに遺跡の編年を行う。また動物骨の検出に努め、生業復元の資料とする。また同時に民族考古学調査も継続する。
2.サンロレンソ貝塚シリバン遺跡の発掘を継続し、貝の廃棄パターン復元と貝の廃棄と居住の空間配置復元の資料をもとに、1集団の貝採集活動における貝の採集から廃棄までの一連の行動を復元し、資源と空間の利用のあり方を特定化する
3.貝塚中から出土する鉄滓の存在から予測される鉄鍛冶遺構を検出するため、ラロ貝塚群北部のドゥゴ貝塚イベ遺跡の発掘を行う。これによって農耕社会の貝採集と水田稲作以外の鉄生産という資源利用のあり方の実態を明確にする。また遺跡出土鉄滓とカガヤン河西岸丘陵に分布する鉄鋼石を分析し、鉄の産地を同定する。
4.遺跡周辺のボーリング調査、水田址調査、動物骨の検出を継続し、古環境・古地形・生業の復元のための調査を継続する。
5.これまでの調査成果をGISにデータベース化し、当該地域6期にわたる遺跡分布の変化のパターンを明確にし、ラロ町域における狩猟採集社会と農耕社会の環境利用の変化を考察する。
6.各班それぞれが分析した成果を国内とフィリピンでの研究会に持ち寄り、狩猟採集社会と農耕社会との経済的・社会的関係の変化の実態を復元する。
平成17年度
調査・研究の最終年度にあたり、各班は成果の総合的解釈と報告書の作成に向けて資料の分析・統合に中心を置き、調査は資料補足的に継続する。
1.丘陵地帯洞穴遺跡の発掘調査を継続し、低地農耕社会との交流を示す土器群を当該地域編年の6期のなかで特定し、各時期の交流の実態を明確にする。
2.狩猟採集社会の民族考古学調査を継続し、考古資料に則したかたちで、過去から現在までの低地農耕社会との経済的・社会的交流の実態をモデル化する。
3.貝塚遺跡における貝採集、漁労、水田耕作、鉄生産、域内交換、域外交易などの資源利用・生業活動の実態とその変化を、当該地域編年の時期ごとに特定し、モデル化する作業を行う。
4.古環境学、先史人類学の調査・分析を補足的に実施し、これまでの分析結果を総合して、ラロ町域全体の資源利用と生業活動の実態を過去4000年にわたって特定する。
5.各調査班の成果を統合して、当該地域における狩猟採集社会と農耕社会との経済的・社会的・政治的交流の歴史過程について総合的なモデルを構築する。
本研究では海外共同研究者として、フィリピン国立博物館考古部門の考古学者の協力を必要としている。すでに80年代から本研究では、フィリピン人考古学者と調査・研究の方法について意見交換し、いかに成果を共有するかという問題について共に話し合ってきた。その結果最も望ましいかたちとして、本研究はフィリピン国立博物館のプロジェクトとして位置づけられることとなった。そして調査隊の構成は、フィリピン人発掘主任のもとに調査員が編成され、われわれ日本人考古学者もその隊に隊員として参加するかたちをとっている。その隊のなかで分野の日本人専門家とフィリピン人研究者が2人一組でチームを構成し、ひとつの問題や調査に取り組んできた。このような日比両国の調査・研究チームの構成は今後とも当該研究にとって、調査・研究を推進し、成果を共有するうえで必要欠くべからざるものとなっている。
研 究 業 績 |
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小川英文 (東京外国語大学・外国語学部・助教授) 青柳洋治 (上智大学・外国語学部・教授) |
Ogawa,
Hidefumi (ed.) 2002a Archaeological
Research on the Lower Cagayan River- Study on the Historical Process of Hunter-Gatherer/Farmer Interdependent
Relationship (『カガヤン河下流域の考古学調査―狩猟採集民と農耕民の相互依存関係の歴史過程の解明―』)、平成11〜13年度文部省科学研究費補助金(基盤A(2))研究成果報告書、232
pages. Ogawa,
Hidefumi 2002b Chronological Context of Non-Decorated Black Pottery Phase of
Lal-lo Shell Middens – Analyses on the Black Pottery from Conciso Site in the
Lal-lo Shell Middens, Northern Luzon, Philippines -, In H. Ogawa (ed.) Archaeological Research on the Lower
Cagayan River-: 103-115, 平成11〜13年度文部省科学研究費補助金 (基盤A (2))
研究成果報告書 Ogawa,
Hidefumi 2002c Archaeology and
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2001b 「フィリピン民族博物館」、「暮らしの断面」、大野拓司・寺田勇文編『現代フィリピンを知るための60章』: 55‐60、106‐109、明石書店 Ogawa,
Hidefumi (ed.) 2000a Excavation of the
Lal-lo Shell Middens – Archaeological Research on the Prehistoric Insular
Southeast Asia-. (『ラロ貝塚群の発掘調査−東南アジア島嶼部先史時代の考古学的調査−』)
、平成7〜9年度文部省科学研究費補助金(国際学術調査)研究成果報告書、269 pages, In English. Ogawa,
Hidefumi 2000b Introduction: The Excavations of Lal-lo Shell Middens –
Research Rationales and Brief History
the Project, In H. Ogawa (ed.) Excavation
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2000c 「貝塚洪水伝説-フィリピン、ルソン島北部カガヤン河下流域における貝採集民の民族考古学-」、 In H.
Ogawa (ed.) Excavation of the Lal-lo
Shell Middens – Archaeological Research on the Prehistoric Insular Southeast Asia-: 220-263、平成7〜9年度文部省科学研究費補助金(国際学術調査)研究成果報告書 Ogawa,
Hidefumi 2000d Discussion and Conclusion, In H. Ogawa (ed.) Excavation of the Lal-lo Shell Middens –
Archaeological Research on the Prehistoric Insular Southeast Asia-: 264-269、平成7〜9年度文部省科学研究費補助金(国際学術調査)研究成果報告書 小川英文
2000e 「狩猟採集民」、安斉正人編『用語解説 現代考古学の方法と理論III』:
131-141、同成社 小川英文
2000f 「ナショナリズム」、安斉正人編『用語解説 現代考古学の方法と理論III』:187-198、同成社 小川英文
2000g 「文明」、安斉正人編『用語解説 現代考古学の方法と理論III』:
227-234、同成社 小川英文
2000h (編著)『交流の考古学』、朝倉書店 小川英文
2000i 「総論 交流考古学の可能性」、小川英文編『交流の考古学』: 1-20、朝倉書店 小川英文
2000j 「狩猟採集民と農耕民の交流−相互関係の視角−」、小川英文編『交流の考古学』: 266-295、朝倉書店 小川英文
1999a 「自然と生業」、上智大学アジア文化研究所編『新版 入門東南アジア研究』: 23-35、めこん 小川英文
1999b 「東南アジア 発掘の歴史と考古学の課題」、吉村作治編『東南アジアの華 アンコール・ボロブドゥール』:
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Hidefumi 1999d Excavation of the
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「考古学者が提示する狩猟採集社会イメージ」、『民族学研究』63-2: 192-202 Ogawa,
Hidefumi 1998 Problems and
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「クメールとチャンパの陶磁−生産と流通」、第15回「大学と科学」公開シンポジウム組織委員会編『東南アジア考古学最前線』:
120-128、クバプロ 青柳洋治 2001
「黒潮文化」、『海のアジア』6、岩波書店 青柳洋治
1999a 「南海の陶磁貿易」、『季刊 考古学』66: 55-59 青柳洋治
1999b 「陶磁貿易史からみた東南アジア」、上智大学アジア文化研究所編『新版 入門東南アジア研究』:
75-87、めこん |
小池裕子 (九州大学・大学院・比較社会文化研究院・教授) 富岡直人 (岡山理科大学・理学部・助教授) 奥野 充 (福岡大学・理学部・講師) |
小池裕子2000 『環境と人類』、朝倉書店(小野らと共著) 小池裕子1998 「古人骨から知られる食生活」、『考古学と人類学』、同成社 MIHARA,
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2002c 『名古屋大学タンデトロン加速器質量分析計による妙音寺洞穴遺 跡出土人骨の14C年代測定結果報告』、4pp. 三原正三、奥野充、小川英文、田中和彦、中村俊夫、小池裕子 2001 「フィリピン・カガヤン河貝塚群出土遺物のAMS14C年代.」、『名古屋大学加速器質量分析計業績報告書(XII)』: 205-213 三原正三、奥野充、中村俊夫、小池裕子 2000 「名古屋大学タンデトロン加速器質量分析計による放射性炭素年代測定」、『考古学資料集15 福岡県岐志元村遺跡』:
114-116 富岡直人
浅利洋美 2002 「元屋敷遺跡出土動物遺存体の分析」、『元屋敷遺跡』、朝日村教育委員会 富岡直人 2001
「動物遺存体出土遺跡の形成過程分析」、『新石器時代の貝塚と動物遺体』: 69-83、韓国新石器研究会・日本九州縄文研究会 富岡直人 2001
「上東遺跡出土動物遺存体と骨角製品」、『岡山県埋蔵文化財発掘調査報告 157 下庄遺跡、上東遺跡』:
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