http://www.tufs.ac.jp/ts/personal/hirotate/

 

ΨNHK文化センター青山教室講座(近世ヨーロッパ人物伝―近世スペイン―)資料

 

(ベラスケス画『官女たち』、プラド美術館所蔵。画家自身が描かれている部分)

 

16世紀から18世紀にかけてのスペインは、「日の沈まぬ帝国」の時代から一転して「没落」の時代へと、そして「啓蒙改革」の時代へと目まぐるしい有為転変を経験した。そのなかで生きた人びとの多くは、政治と社会の激変に翻弄された。だが、時代の諸々の制約を逆手に取り、巧みに自己の可能性を切り拓いた人もいた。16世紀末の庶民の女性ルクレシア、17世紀の宮廷画家ベラスケス、18世紀のペルー生まれの改革派官僚オラビーデ、そして近世の黄昏に生きた画家ゴヤは、それぞれに「社会的・職能的に限定された役割」を課されつつも、当該社会の規定的・抑圧的な規範の体系をなんらかのかたちで乗り越えようとした人物であった。

 

     1022 国王フェリーペ二世を「予知夢」によって批判した女性ルクレシア

     1029 絵画を技芸から芸術へと昇華させた宮廷画家ベラスケス

     1112 教会や社会の蒙昧に立ち向かった啓蒙改革者オラビーデ

     1210 近世の黄昏と近代の夜明けの挟間を巧みに生きた画家ゴヤ

 

【基本参考文献】

     R.L.ケーガン(立石博高訳)『夢と異端審問――16世紀スペインの一女性』(松籟社、1994年)

     NHKプラド美術館 2 宮廷画家の夢、ベラスケス』(日本放送出版協会、1992年)

     立石博高編『スペイン・ポルトガル史』(山川出版社、2000年)、「第4 啓蒙改革の時代」

     J.A.トムリンソン(立石博高・木下亮訳)『ゴヤとその時代』(昭和堂、2002年)