■■ 語順について ■■


名詞を並べただけで形容詞の意味を出せるというのは......

 『語と品詞について』でも述べましたが、語それ自体の属性(例えば品詞)と、修飾・被修飾など語と他の語との関係は別のレベルであることに注意してください。
 形容詞は「名詞を修飾する」という働きがあるからといって、名詞を修飾するものは形容詞であるとは限りません。

助詞がなく語順が助詞まで表わしているというのにもおおっっと思わされました。
語順で助詞を表わすのは便利だと思う。

 「語順が助詞を表す」という表現は適切ではありません。より正確には、以下のコメントの赤字部分のように言うべきでしょう。

助詞が無く、語と語の場所関係によって、その役割をはたしているというのがとても合理的で面白いと思った。

 日本語の助詞(「の」)の機能をインドネシア語では語順が担っているということです。
 また、「で」「へ」などの助詞に相当する機能は、インドネシア語では一般に前置詞を用いて表します。

nama saya が「私の名前」なら、saya nama は「名前の私」ではないのか?

 「名前の私」がどういう概念を表すのかよくわからないのですが......
 それはともかく、saya (あるいは「所有者」を表す語句)は一まとまりのフレーズの中では、後に続く要素が限られており、一般的な名詞が後に続いて一つのフレーズを作ることはありません。したがって、saya nama と並んだ場合は、saya と nama はそれぞれ別個のフレーズ(の一部)になってしまうのです。

(「被修飾語+修飾語」の語順)インドネシア語には、上の形以外の修飾語順はないのだろうか。(英語には「修飾語+被修飾語」も「被修飾語+修飾語」(something cold) もある)

 「被修飾語−修飾語」の語順は、若干の例外を除いてかなり厳格に守られる文法規則です。例外として以下のようなものがあります。
 perdana menteri「首相」: perdana「主要な」,menteri「大臣」  ※サンスクリット語源
 tadi pagi「今朝」: tadi「さっき」,pagi「朝」  ※慣用句(テレビニュースでは pagi tadi と言う)

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