最近の研究課題
- イスラーム期のペルシア語文化圏内の知識人に関する史的研究の一環として、現在は、特に、西暦12世紀のハマダーンで政治的
謀略によって処刑されたアイヌル・クザート・ハマダーニー(1131年処刑)に関する研究を進めている。イスラーム哲学とカラーム(神学)の分野でも独創
的なディスクールを残しているが、何といっても彼の場合、神秘学的な側面で、他に類を見ない言説を展開しており、ペルシア系知識人の独自の表現世界の呈示
という観点でまとめようと思っている。
- イランの文学史的な眺望を、中世、前近代、近代とたどっていく際にいくつかの分岐点となる指標があるが、その一つがイブン・
アラビー以前と以降という設定である。現在は、主として、イブン・アラビー以前の世界観を体現している神秘家に特徴的な思考様式を検討しており、アシュア
リー派の考え方がどうしても支配的な世界であるのでこの方面の研究もすすめている。中世期の神学的世界観の中から生み出された文学可能性の追求が最近の
テーマとなっている。ルーミーの父親のバハーワラドのMa'arefなども一種のシュールレアリスム文学として現代的に再解釈できるとみている。
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