「現代のトルコにおける行楽:レジャー、旅行について」

                          トルコ語科3年 森 かおり

 

○はじめに

 現代のトルコにおける娯楽について考える過程の中で、私はトルコで暮らす人々にとって行楽はどのような位置にあるのか、またどのような種類があるのかと疑問に思った。そこで、トルコ国内の旅行会社のホームぺージを検索しながら、行楽の中でも主にトルコのレジャーと国内旅行、海外旅行に焦点をしぼり、特に海外旅行事情に関しては、日本のそれと比較しながらトルコ人の行楽について調べた。

 

1.トルコ国内の旅行・レジャーについて

 トルコ国内の旅行会社のホームページを開くと、殆どの会社で黒海、地中海、エーゲ海沿岸都市、そして日帰り、週末、バイラムというように行く地域、時期別のツアー、また、季節ごとのレジャーが掲載されている。ここでは、日帰り、週末、バイラム時のツアー、季節ごとのレジャーについてその種類や価格を記す。

 まず日帰りツアーとは、主にハイキング・散歩をすることを指し、初級、中級、上級に分けられている。所要時間や歩く距離、そのコースの難易度がそれぞれ異なっている。初級コースは所要時間が平均2−4時間で歩く距離が平均8−15kmであり、主に湖の周りや高原を散歩するものが多いようである。(Poyrazlar Gölü İnönü Yaylası中級コースは所要時間が平均3−5時間で距離が平均15−20kmであり、初級コースと同じように湖の周りや高原を散歩するもの。このコースの例としては、ヤロバ温泉の近くに位置する      Üvezpınarから歩き始めるSudüşen Şelalesiや、Hanyatakから歩き始めるAcella Yaylasıがある。上級コースは所要時間が平均3−5時間、距離が平均13−20kmと中級コースとあまり変わらないが、滑りやすい渓谷を歩くHamamdağı Transや、険しい上り坂と下り坂があるKurbandağı Transなどといった少々危険を伴うコースであるようだ。これら日帰りツアーの平均価格は、散歩だけのツアーが15,000,000TL20,000,000TL、交通費・食事・ガイドが含まれているツアーは25,000,000TL30,000,000TLとなっている。

 次に週末に行くツアーについてだが、このツアーはある地域に行ってハイキングあるいはキャンプをするというものが多い。例をあげれば、KarabükBartınにかけてハイキングをするSafranboluや、BoluにあるSünnetgölYedigöllerでキャンプ・ハイキングをするものがあげられる。これら週末に行くツアーの平均価格はだいたい60,000,000TL90,000,000TLであるようだ。

 そしてバイラム時のツアーについては、Şeker BayramYılabaşKurban Bayram               の三つの項目に分けられており、それぞれの時期に見合ったツアーを掲載している。まずŞeker Bayram 時には、カッパドキア観光、Ispartaでのハイキング、地中海沿岸都市(AntalyaSide)でのラフティング、ジープサファリ、ハイキング。次にYılbaş時にはBoluKartalkayaでのスキー・スノーボード、カッパドキア観光。そしてKurban Bayram     時には、Erciyesでのスキー・スノーボード、エーゲ海沿岸都市(BodrumKuşadasıMarmaris )、地中海沿岸都市、カッパドキア観光などが旅行会社お勧めのツアーとして掲載してある。

 最後に、トルコにおける季節ごとのレジャーとしては、3月に冬キャンプ(BoluKartalkayaAladağlar)、1月〜3月はクロスカントリー(SultanpınarAbantDomuzderesi)、冬期はスキー・スノーボード(BoluKartalkayaBursaUludağ)、6月〜8月にはトレッキング、ラフティングがあげられている。それぞれの平均価格は、スキー・スノーボードが60$、日帰りのラフティングが60,000,000TL、クロスカントリーが40,000,000TLとなっており、スキー・スノーボードに関しては、交通費・リフト券・指導・食事込みのパック料金である。

 ここまで記してきたツアーは旅行会社のホームページに記載されているものである。その他のツアーとしては、トルコ政府観光省のホームページにおいてAv TurizmiKış Turizmi      İpek Yolu Turizmi Golf TurizmiYat Turizmi Sağlık Turizmi などがあげられている。特にSağlık Turizmi に関しては、日本の旅行業界でも今後最も注目されるものとして考えられている。また、2002年は国連がエコツーリズムの年と定めている年である。エコツーリズムとは、エコ(エコロジー)、つまり自然を観察したり体験しながら、それらの仕組みを学んだり、生き物や自然環境を保護する活動に参加したり、昔の貴重な遺跡を知り、それを大切に守ったりする自然に優しい旅行や、“地球と仲良くする”旅行のことをいう。社団法人日本旅行業協会の調査によれば、このような「自然に親しむ旅行」は日本の中高年市場の共通指向になっているようである。これらのことから、今後トルコにおいても、自然や環境に優しく人々が健康でいられるようなツアーが発展していくのだろうと思われる。

 

2.トルコにおける海外旅行事情

 ここでは国家統計局の統計をもとに、1998年のトルコにおける出国者状況について国全体の総数と地域別に分けて、トルコにおける海外旅行事情について分析した。この年のトルコ全体の出国者の総数は4,670,004人となっている。前頁にある表は地域別に見たときの一部地域の出国者数であり、アンカラが561,789人、エルズルムが1570人、ディヤルバクルが4480人、イスタンブルが1,743,728人、アンタリヤが141,441人、そしてアルトヴィンが81,195人となっている。また、海外に行く際に使用する交通手段は、出国者総数に対して、空路が2,979,500人、鉄道が25,423人、海路が381,644人、道路を使う人が1,283,437人である。地域別にみた時の出国者数に関しては、空港がある場所に人数が集中しているように思えるため、トルコ全体として考えるには難しいと思われる。

 

○おわりに

 全体的にトルコで暮す人々は、レジャー・旅行を娯楽として考えていないということも、アンケート結果などから明らかである。しかし、旅行会社などは日本の旅行会社と同じように、充実した多種多様なレジャー・旅行を提供している。将来的には日本人と同じようにトルコ人の中でも行楽を娯楽と考える人が増えるのではないだろうか。海外旅行に関しては、以前は比較的安い料金で海外旅行ができたが、現在は経済危機によりその価格が高くなっているため、海外旅行をしていた人々は、海外よりも国内の旅行に目を向けるようになっているというのが現状である。しかし、長期的にみると旅行・観光業はトルコ経済の中で、今後最も成長する産業であるだろうと思われ、その発展が注目されるところである。

 

<参考資料>

トルコ国内の旅行会社ホームページ

Tempo Tur, http://www.tempotour.com.tr

Ogzala turizm, http://www.ogzala.com

Buklamania, http://www.buklamania.com

その他

Hürriyetim, http://gezi.hurriyetim.com.tr

            http://arsiv.hurriyetim.com.tr

トルコ観光省、http://www.turizm.gov.tr

トルコ国家統計局、http://www.die.gov.tr

社団法人日本旅行業協会、http://www.jata-net.or.jp