平成13年度林ゼミ後期課題:『トルコの娯楽』

「娯楽としてのmisafirlik(訪問)について」

(Tr3年 高井 博子)


ボスポラス海峡から眺めたイスタンブール旧市街。左からスルタン・アフメット・モスク、アヤソフィア・モスク、トプカプ宮殿。

 

「娯楽としてのmisafirlik(訪問)について」

私はトルコのmisafirlik(ミサーフィルリッキ)、つまり親しい近所の人や友達、親戚などを訪問することが果たして娯楽であるかどうか今回の発表で調査しました。

*調査の際には池袋のトルコ料理店「カッパドキア」のシェフ、イスタンブール出身のアルペル・デェルリさんにお話を伺いました。

 

1.misafirlikについて

misafirlik(ミサーフィルリッキ)という単語は「訪問」という意味ですが、この言葉は大抵は家にいる主婦たちが男性が仕事に出ている昼間に誰かの家に皆を招待して、話をしながら軽食を楽しむいわゆる午後の「お茶会」のことをさすようです。

日本では喫茶店など家の外でお茶やコーヒーを楽しむことの方が多いように思われますが、トルコの場合は街にカフェやファーストフード店も多いのですが、ほとんど家の中でお茶を飲んでゆっくり過ごすことが多いようです。

 

小田陽一「トルコの旅はバスがいい!」114pから抜粋。

木陰のカフェでくつろぐのはほとんどが男性客。女性たちは女性だけで家に集まってお茶を楽しんでいるのでは?

 

2.misafirlikはどのように行われ、人々に楽しまれているのか?

■時間帯■

婦人同士の集まりの場合→13:00〜16、17:00

    家族で親戚などを訪問する場合→19:00〜23:00

    一人暮らしの学生は時間に左右されないので→深夜1:00〜4:00

*話をしながら食べる、つまりゆっくりたくさん食べるので時間はとても長くなるのが普通とのことです。

■人数、メンバー構成■

婦人同士の集まりでは→ご近所の奥様同士、近くに住む親戚など

学生同士だと→2〜4人

家族連れでは子供が2人居る家庭が多いため8人程度に

*ホストになる家は全ての料理やお菓子を手作りするため、人数が増える程大変なので親戚などに手伝いを頼むこともあります。

■お土産■

仲が良ければ特に必要なし

*デザートにバクラヴァというパイを持っていったり、真面目な付合いには花を持っていったりします。

■出るメニュー■

サラダ→「羊飼いのサラダ」トマト、キュウリなどの新鮮な生野菜サラダ

パン→フランスパン型のパン

ライス→塩で炒めたバターライス

スープ→トマトやレンズ豆、ヨーグルトなどを使ったスープ

*この4つは必須!そしてメインディッシュはあくまでも家庭料理とのことです。 

オリーブオイルを使った料理→ピーマンのピラフ詰めなど

デザート→手作りのお菓子、お土産でもらったパイなども

食後のお茶→トルココーヒーも良く飲まれるが、

たくさんの料理やお菓子を食べながら飲むのにはトルコ紅茶・チャイ

■会話内容■

政治経済から家族・親戚の近況報告・噂話まで

非常に多岐にわたる世間話がおもな内容のようです。

 

3.おわりに −その娯楽性について−

調査を終えて、私はトルコのmisafirlik(ミサーフィルリッキ)が

果たして娯楽であるかどうかについて考えてみました。

気心の知れた親しい人同士が落ち着いて話せる自分たちの家で,

おいしいお茶やお菓子、料理を食べながら色々な話をすることによって

外で遊ぶより金もかからず、思う存分食べて話す事で身も心も満足する、

何より互いの親睦を深めるのにはとても良い娯楽と言えると思います。