[[コーパス言語学集中講義]]
[[自己紹介]]

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-名前:金田 拓 (KANETA Taku)
--かね「た」なのです。「かねだ」じゃないのです。
-出身:北海道旭川市
--日本で史上最低気温(−41℃)を記録した街です。
--最近は動物園でフィーバーしてます。ウインタースポーツもお勧め。
-現住所:府中市多磨町
--大学まで徒歩10分以内です。
--目の前は墓地です。教会も近くにあるので、神にも仏にも祈り放題。
-学術的興味:目指すは「数字と機械に強い文系」!!
--語学全般、言語学、応用言語学(特にコーパス言語学)、英語教育学 他
-趣味: 
--断続的に続けているピアノ
--どれをとっても半端な腕前のスポーツ
--最近めっきり量の減った読書
--英米Comedy鑑賞(LondonにてSilly Walkしてきました)
--「以食為天」永遠に修行中な料理
--ゲームをひとつまみ
-よく更新の途絶えるブログ→[[Pearls for Swine: http://cestlaventure.blog101.fc2.com/]

 

[[修士論文研究計画・進捗状況]]

*研究計画 [#ub82f485]

**目的 [#k5d7c6ac]
日本の和英辞書の例文(日本語)を語彙、表現側面より分析し、テキストがどのような特徴を帯びているのか調査する。~
コーパスを構築する際、どのようなテキストを集めるかによって語彙には大きな差が生まれる。~
もしも収録される用例が、日本語の話される環境で使われるAuthenticな用法と異なっているとすれば、日本語から発想する学習者にとって、当然使い勝手は良くないと予想できる。
 学習者用和英辞書に収録されている用例は、自然言語としての日本語、英語から見て、typicalな用例であるといえるかを検証する。
~

**仮説 [#fd4d4885]
1、和英辞書の用例は、書き言葉的語彙、表現に偏り、話し言葉的な表現は少ない傾向にあるのではないか。~
2、Politenessの観点から見て、敬語(honorifics)が不自然に多用されているのではないか。~
**研究設問 [#fd4d4885]
1.和英辞書の用例(日本語部分)と、日本語コーパスの発話では、語の共起関係、N-gramは異なるか。異なるとすれば、どのような差異が観察されるか。~
2.比較検討した場合、和英辞書の用例は日本語としてtypicalなものといえるか。~
3.和英辞書の用例(英語部分)と、英語コーパスの発話では、語の共起関係、N-gramは異なるか。異なるとすれば、どのような差異が観察されるか。~
4.比較検討した場合、和英辞書の用例は英語としてtypicalなものといえるか。
~

**コーパス [#b825e067]
和英辞書より用例(日本語)を集めたコーパスを研究のために作成する。~
比較対象には、日本語の話し言葉、書き言葉が得られる国立国語研究所の日本語コーパスを用いる。
学習者用和英辞書より用例(日本語)を集めたコーパスを研究のために作成する。~
日本語は国立国語研究所の日本語コーパス~
英語はBritish National Corpusを比較対象として用いる。
~

**研究方法 [#kc0891f7]
国内の和英辞書を、年代、対象とする学習者レベルで分類する。~
用例に現れる表現を国立国語研究所日本語コーパスのデータを用いて、単純頻度、Log-likelihoodによって比較する。
用例に現れる表現を国立国語研究所日本語コーパスのデータを用いて、単純頻度、Log-likelihoodによって比較する。~

**データ分析 [#s88275d1]
まず、コーパスを構築せねばならない。~
AntConcなど多言語対応のコンコーダンサーを利用する予定だが、インターフェイスはともかく、自分でプログラムを構成してみるのも面白い。
まず、学習者用和英辞書の用例を集めたコーパスを構築せねばならない。~
辞書到着まで鋭意待機中。
~

**予想される結果 [#wd45ec95]
1、現行の学習者用和英辞書では、用例が書き言葉のものが多い。~
  例えば「ていうか」「ウザい」「キモい」など、話し言葉では多用され、それなりの年月使用され続けているものでも、和英辞書には未収録のものがある。~
2、不自然に敬語が多用され、その分インフォーマルな表現はかなり少ない。~
  例えば仏語辞書で、親疎関係を表すT/V代名詞を意識的に混在させているのと比較すると、特異といえよう。
**今後の課題 [#wd45ec95]
最終的に「学習者用和英辞書の用例デザイン」への提言を目標としたいが、そのために分析するべき項目はどうすればいいのか。~

**教育的示唆 [#r03ed8a7]
以上の仮説通りの結果が得られたとすると、辞書の助けを頻繁に必要とする初級・中級学習者にとって、現行の和英辞書は必ずしも使い勝手が良いとはいえないであろう。~
特に、学習指導要領の中でも触れられている「コミュニケーション」の観点から見た場合、自分が能動的に表現しようとする内容と、参考にする和英辞書から得られる情報の間に齟齬が生じてしまう。~
著しく内容に偏りがあったとすれば、それは特定の分野・用途向けとした方が、ユーザーフレンドリーである。~
徒に細分化すれば良いというものではないが、辞書の側が「汎用的」といえる内容を持たないのに汎用性を謳ったりするのは問題である。~
本研究の結果を活かすと、学習者向け和英辞書は、話し言葉からも用例を取り入れることが必要となる。~
特に、発信型の英語教育を目指していく上では、早急に開発が望まれる。
共起関係やN-gramは一つの指標であるといえるが、これらを分析しただけでテキストの特徴をとらえたといえるのか。~

コーパス統計には、どのような基準を用いればいいのか。目下対数尤度比(log-likelihood)が有力~



**参考文献[#r03ed8a7]
Biber, D. (1988). Variation across speech and writing. Cambridge: Cambridge University Press.~
Biber, D., Conrad, S., & Reppen, R. (1998). Corpus linguistics: Investigating language structure and use. Cambridge: Cambridge University Press.~
Hanks, P. Chapter 6: Definitions and explanations. in Sinclair, J. (ed.) (1987.) Looking up: an account of the COBUILD Project in lexical computing and the development of the Collins COBUILD English Language Dictionary. London: Collins ELT.~
McEnery, T., Xiao, R., & Tono, Y. (2006). Corpus-based language studies: an advanced resource book. London: Routledge.~
~
国際協力基金, & 日本国際教育協会. (2002.) 『日本語能力試験出題基準 改訂版』. 東京: 凡人社.~
阪本一郎. (1958.) 『教育基本語彙』. 東京: 牧書店~
辞典協会. (2008.) 『優良辞典・六法目録 No. 59 2008』. 埼玉: 日教販.~



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