専門特殊研究
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自己紹介
- 名前:村上 明
- 小学校の最初の二年間で全ての漢字を習う、易しい名前です
- 出身地:大阪狭山市
- 大阪府狭山市ではなく、大阪府大阪狭山市です。埼玉県に負けたからです。
- 日本最古のため池があります
- 現住所:府中市白糸台
- 大学まで自転車10分です
- 飲食店が付近に少なく、外食産業に貢献してきた身としては困っています
- 学術的興味:英語教育に関すること全般、特にコーパスの英語教育への利用、言語政策、語彙
- 非学術的興味(趣味):頭を使うことが好きです
- ディベート(学部時代はこれしかしていませんでした)
- 卓球(中学時代の部活)
- 将棋(高校時代に力を入れていました)
- チェス(高校時代の部活)
- 略歴:
- 1984年3月 生まれる
- 1999年3月 地元の公立中学校を卒業。ここまでは平穏な暮らし。
- 1999年4月 父の仕事でイリノイ州アーリントンハイツ市へ。地元公立高校へ編入。
- シカゴ近郊です
- 武豊騎手が海外初勝利を挙げた競馬場があります
- 夏は40度まで上がり、冬は-20度まで下がります。しかも春と秋があまりありません。
- 高校までは自転車で5分でした
- 最初はESLクラスに入り、最後の一年間のみmainstreamに混じりました
- 2002年6月 Prospect High Schoolなるところを卒業。帰国。
- 2003年4月 大阪の代ゼミ通いの後、上智大学外国語学部英語学科入学。
- 学部・学科は当時の自分の興味と照らし合わせ、消去法で選びました
- 学部時代の思い出はほぼ英語政策ディベート一色です
- 2007年3月 上智大学外国語学部英語学科卒業
- 2007年4月 東京外国語大学大学院言語応用専攻英語教育学専修コース入学
- 進学することを4年の9月に決めました。よく受験勉強が間に合ったものだと思います。学部時代の恩師や受講した授業に感謝しています。
- 進学先を3月下旬まで迷っていました
研究計画・進捗状況
目的
日本・中国・韓国・台湾の英語教科書を多次元分析(MD分析)により比較し、それぞれの言語的特徴を掴む
手法(手順)
- 分析対象とする言語特徴(e.g. 一人称代名詞、過去形、that節)を決める。可能な限り多く扱うようにするが、因子分析を行うためには言語特徴がテキスト数の1/3から1/10以下でなければいけない。また次元数と各次元に含まれる言語特徴群も、1:5であるべき(Biber, 1985)。先行研究では「3」の不適切なデータの排除を行った後に残ったのが概ね38-67特徴。
- それぞれの言語特徴の情報を対象となるテキストに付与し、それらの頻度をテキスト毎に求める
- 適切でないデータの排除
- 短いテキスト(先行研究では25-200語未満)を除外する
- あまり見られない言語特徴は除外するか上位概念でまとめる
- 頻度の推移が他の言語特徴と大きく重なる言語特徴(e.g.名詞と名詞の意味カテゴリー)は除外するか上位概念でまとめる
- 因子分析
- 共起する言語特徴を因子分析により同定する
- 因子が分散のどの程度を説明できるかも算出する
- それぞれの因子(dimension/次元)に含まれる言語特徴群が最も広く共有する機能又は産出状況という面から次元を解釈する(e.g. informational versus involved production、 online versus offline production)
- 次元値(dimension score)
- 言語特徴の頻度を標準化(平均0、SDが1)する
- 各テキストにおいて、各次元に含まれるそれらの値を合計する。負の値も含む。
- 各国教科書の平均次元値を算出する
- 分散分析により、各国間に言語的な差があるかどうかを見る。有意差の有無だけではなく、r^2値を算出し、実質的な差を見る。→A
- (必要であれば)クラスター分析
- 次元をpredictorとしてクラスター分析を行い、言語的に似ているテキストをまとめる
- 意味のあるクラスターを解釈する→B
- AとBから教科書文を多面的に対照・比較する
現在取り組んでいること・しなければならないこと
- 予備実験(7月中に因子分析まで通すことが目標)
- データ整備
- 各国の教科書をレッスン単位に分割し、treetaggerでタグ付けする(→7/5終了。日本の高校の教科書を除き、計約50万語)
- どの部分を予備実験・本実験それぞれで対象とするかを検討
- 予備実験では時間的な制約から無理だが、本実験では一つのレッスン内でも話す聞くと読む書くの二テキストにわけて扱おうかと考え中
- Biberの挙げている言語特徴が各国の教科書内でどの程度見られるかを検証
- 予備実験の段階では、基本的にBiber (1988)のルールに従って正規表現で取り出す
- 並行してそのルールでは捉えきれない部分、TreeTaggerのタグ付けを用いてもっと楽に取り出せる部分を検討
- また、数ある言語特徴の中で何がTreeTaggerによる品詞タグ+正規表現で取り出せて、何が特別にタグ付けが必要か、何を諦めるかも考える
- 統計と統計ソフトの勉強
- 言語特徴
- Biberの挙げている言語特徴のほかに何を加えるべきかを検討中
- 先行研究の調査
- MD分析を用いた先行研究を読むことに偏ってしまい、教科書関係の論文があまり読めていないので、それらを探して読む
- MD分析に関しては、MD分析を用いた論文ではなくMD分析に関する論文を中心に読む
探している論文・書籍
- Altenberg (1989) Studia Linguistica 43(2): 167-174
- 浅野 (2004)「英語の脱英米化と英語教科書-中学英語教育のあり方と提案-」『(財)中央教育研究所教科書フォーラム 中研紀要No.02』 pp. 2-13
- 木下他 (2004) 「日韓中の英語教科書の題材比較」『第30回全国英語教育学会長野研究大会発表要綱』pp. 347-353
- 高木 (2003) 「中国と日本の中学校検定済英語教科書比較 : 登場人物同士の接触場面を中心に」東京家政大学紀要『英語英文学研究』Vol.9 pp. 62-77
- 伴他 (1999) 「英国小学校教科書と日本の中高における英語教科書の計量的比較」『電子情報通信学会総合大会講演論文集』情報・システム1 p.307
- 伴他 (2001) 「シンガポール英字新聞における軽量言語的要因の変遷」『日本感性工学会誌感性工学研究論文集』第1巻2号 pp. 89-94
既読論文
- MD分析を用いた研究
- 新たに因子分析あるいは主成分分析を行っているもの
Biber (1985)、
Biber (1986)、
Biber (2003)、
Biber et al. (1998)、
Biber et al. (2002)、
Biber et al. (2007)、
Biber and Kurjian (2007)、
Csomay (2007)、
Kanoksilapatham (2007)
- Biber (1988)などの既存の次元に沿ってMD分析を行っているもの
Biber et al. (1998)、
Biber et al. (1998)、
Biber and Finegan (1986)、
Biber et al. (2004)、
McEnery? et al. (2006)
- MD分析に関する論文
Biber (1995)、
Biber and Finegan (1991)、
Biber et al. (2002)、
Biber et al. (2003)、
Ghadessy (2003)、
Grieve-Smith (2007)、
Louwerse et al (2004)、
Mönnink et al (2003)、
Oostdijk (1988)、
Watson (1994)、
Watson (1995)
- 教科書関連の論文
Biber and Reppen (2002)、
Gouverneur (2008)、
Koprowski (2005)、
Reda (2003)、
Römer (2004)、
Römer (2004)、
馬本 (2005)、
馬本 (2006)、
大井他 (2005)、
鈴木 (2000)、
塩澤 and 相澤 (1989)、
中村 (2006)、
伴 (2002)、
山添 (2006)
- その他
Labov (2008)、
McEnery? (2003)、
山添 (2005)
以下は2007年度前期集中講義の課題として書いた、当時の研究計画です。現在の研究計画とは大幅に異なっています。
以前の研究計画
目的 †
・ESL環境で使用される英語の教科書とEFL環境で使用される教科書を比較し、語彙的・表現的側面での差異を明らかにする。
・EFL環境の国や地域の文化面などでの差異や特性が、どのように英語の教科書、特にその本文に反映されているかを語彙的・表現的側面から明らかにする。
仮説 †
1. EFL環境では授業時間の制約から新出語彙を短い文章の中で多く扱わなければならないため、EFL環境での教科書はあるメッセージを伝えるためにESL環境での教科書と比較して難易度の高い語を用いる傾向にあるのではないか。
2. 上記と関連し、学校教育で扱われる英文の総量が多ければ多いほど、英文の密度は薄くなり、ある語彙が熟語表現などで複数回教科書に現れる確率が高くなるのではないか。
3. 自国文化の表現も英語教育の一つの目的であろうから、英語圏の文化と異なる文化を有する国々であればあるほど、その国々固有の語彙等が教科書に占める割合が高くなるのではないか。
コーパス †
基本的には各国の教科書の本文を集めたDIYコーパスとなる。教科書コーパスはほかにも多数作成されているようなので、それらが手に入るようであればそれらも活用したい。
研究方法 †
1. 各国の英語の教科書を集め、その本文を電子化する。その際に各国の英語教科書本文の総語数をカウントし、国単位でランク付けする。
2. AntConc?のKeyword List機能やそれに準ずるコンコーダンサーを用い、
(a) 一般的なESLvs一般的なEFLでそれぞれに高頻度な語を調べる。その際に特定のESLやEFLの地域の色が強くならないように、各国から抽出する英文の量は一定に決めておく。
(b) 一般的なESL+一般的なEFLvs個別のEFLでそれぞれに高頻度な語を調べる。前者ではやはり各国から抽出する英文の量は一定に決めておく。
3. 高頻度語の理由を調べる。AntConc?のCluster機能等を用いて、それらの語が特定の表現内で高頻度に用いられているのかどうかを調べる。
データ分析 †
上記の3において、もしある語が特定の表現の中で高頻度に用いられているようであれば、その表現は当該国の文化等に関係することか否かを検討する。もしある語が高頻度で現れているものの特定の表現の中ではない場合や、上記で当該国の文化等とは関係がない表現である場合は、当該国と総語数ランキングとの関係性を見る。
予想される結果 †
(仮説1に関して)
「仮説」に記したことと重なるが、ESL環境では基礎的語彙の頻度が高いのではないだろうか。一方、EFL環境の総語数が少ない国や地域では他の国や地域と比較して高頻度と呼べる語は少ないのではないだろうか。ESL環境でのEFL環境と比較した時の高頻度語とその逆では、前者の方がAntConc?で言うところのkeynessの値が大きいのではないだろうか。
(仮説2に関して)
やはり「仮説」と重なるが、EFL環境の教科書は総語数が多ければ多いほど、ESL環境の教科書と語彙的特徴が似てくるのではないか。
(仮説3に関して)
イスラム圏など英語圏とは大きく異なる文化を持つ国々の教科書は、それらの文化を反映するような語句が多く含まれているのではないか。
教育的示唆 †
以上を通して日本の英語教科書を見た場合、教科書という面からの世界の中での位置がわかる。典型的なEFL環境での教科書ではないかと予想するが、そこから他国の英語教科書と比較することにより、日本の英語の教科書に何が足らないか、どうすれば改善出来るかが見えてくる可能性が高いのではないだろうか。