要訣・朝鮮語
「…するようだ」のたぐい


 「…するようだ」に類する表現は、日本語にも「…するみたいだ」「…するらしい」などいくつかがあるが、朝鮮語は不完全名詞の種類が多いだけに表現も多様である。

 1.ㄴ系連体形とㄹ系連体形に要注意! 

 「…するようだ」に限らず、連体形を含む分析的な形(2単語以上で1つの意味を表す形)は、その連体形がㄴ系(I-는、II-ㄴ、I-던 など ㄴ で終わる連体形)かㄹ系(II-ㄹ)かをしっかり見極めなければならない。なぜならば、ㄴ系とㄹ系で意味が大きく違うからである。例えば、「것 コッ」を使った表現1つとってみても、ㄴ系の「I-는⌒것이다 ヌンゴシダ」「II-ㄴ⌒것이다 ンゴシダ」(いずれも動詞の場合)とㄹ系の「II-ㄹ⌒’것이다 コシダ」とでは、前者が「…するのだ」「…したのだ」であるのに対し後者は「…するだろう」というように、連体形の種類によって大きく意味が変わる。このようにㄴ系とㄹ系を区別することから「…するようだ」は始めねばならない。
 ここで主に登場するのㄴ系連体形である。ㄴ系連体形をまとめると以下の通りである。
  現在連体形 過去連体形
動 詞 I-II- I-
存在詞 III-ㅆ던
形容詞II-
指定詞
 2.것 を使った形 
2.1 ㄴ系連体形⌒것 같다 「…する(している, した)ようだ」
 おそらく、最も基本的で最も多用される形と思われる。直訳すると「…するのと同じだ」。
2.2 ㄴ系連体形⌒것 같이 「…する(している, した)ように」
 上記の副詞形。  ㄹ系連体形を使って「II-ㄹ⌒’것 같다」とすると「…しそうだ」という別の意味になる。  しかし、ㄹ系連体形を使っても「III-ㅆ을⌒’것 같다」のように過去形にㄹ系連体形がつくと「…したようだ」と、ㄴ系連体形の場合と同じような意味となる。ㄴ系連体形の場合と違うのは、推量のニュアンスが加わるという点である。
 3.모양 を使った形 
3.1 ㄴ系連体形 모양이다 「…する(している, した)もようだ、…する(している, した)らしい」
 모양 は「様子、もよう」という意味なので、直訳すれば「…するもようだ」となる。
3.2 ㄴ系連体形 모양으로 「…する(している, した)ようすで、…する(している, した)ふうに」
 上記の副詞形。  ㄹ系連体形を使って「II-ㄹ 모양이다」とすると「…しそうだ、…らしい」という意味になる。これには過去形がついた「III-ㅆ을 모양이다」という形はない。
 4.듯 を用いた形 

4.1 ㄴ系連体形⌒듯하다/⌒듯싶다 「…する(している, した)かのようだ」
 듯 を用いた形は「あたかも…するようだ」という意味で、것 を使った場合とニュアンスが若干異なる。「싶다」には「思える」といったようなニュアンスがあるようだ。
4.2  ㄴ系連体形⌒듯이 「…する(している, した)かのように」
I-듯이 「…するかのように」
 上記の副詞形。「I-듯이」は過去形「III-ㅆ듯이」の形がある。  ㄹ系連体形を使った「II-ㄹ⌒’듯하다/⌒’듯싶다」は「…せんばかり(のよう)だ」という意味になる。
 5.성 を用いた形 
ㄴ系連体形⌒성싶다 「…する(している, した)ようだ、…する(している, した)気がする」
 これも「싶다」がらみの形だが、やはり「思える」というニュアンスがある。話し言葉としては使われず、書き言葉としても最近はあまり使われないようである。  ㄹ系連体形を使った「II-ㄹ⌒’성싶다」は「…しそうだ」という意味になる。
 6.보다 を用いた形 
I-는가(動詞・存在詞)/II-ㄴ가(形容詞指定詞) 보
I-나 보다 「…する(している, した)みたいだ」
 話し言葉的。動詞・存在詞の場合、母音語幹・リウル語幹は「I-는가 보다」、子音語幹は「I-나 보다」の方が好んで用いられる傾向があり、形容詞・指定詞は一様に「II-ㄴ가 보다」の方が好んで用いられる傾向があるが、原則的には語幹の種類に関係なく双方ともに用いることができる。なお、ここでも「보다」は補助動詞ではなく補助形容詞である。従ってハンダ体は「본다、보는가」でなく「보다、본가」となることに注意。  過去形は「III-ㅆ」を前につけて「III-ㅆ는가/III-ㅆ나 보다」ということに注意。  II-ㄹ까(北:II-ㄹ’가。発音同じ) を使った「II-ㄹ까 보다」は「…しようと思う」という意思の意味になる。また、接続形として文中に「II-ㄹ까 봐」の形で出てくるときは「…するんじゃないかと思って」という意味になる。疑問形のㄴ系とㄹ系の違いだが、ここでもやはりㄴ系とㄹ系とで意味が異なっている。
 7.싶다 を用いた形 
I-는가(動詞・存在詞)/II-ㄴ가(形容詞指定詞) 싶다
I-나 싶다 「…する(している, した)のかと思う、…する(している, した)みたいだ」
 「…するようだ」の表現はこれでもか、これでもかと出てくる。いったいいくつあるのだろうか。これは上の「I-는가/II-ㄴ가 보다」とほぼ同じ意味である。また、過去形は「I-는가/II-ㄴ가 보다」と同様に「III-ㅆ는가/III-ㅆ나 싶다」となる。  II-ㄹ까(北:II-ㄹ’가。発音同じ) を使った「II-ㄹ까 싶다」は「…しようと思う」という意思の意味になる。
 8.양 を用いた形 
ㄴ系連体形⌒양으로 「…する(している, した)かのように」
 この形には終止形がない。「모양」は「ふう」のような意味。  ㄹ系連体形を使った「II-ㄹ⌒양으로」は「…しようとして」という意味に変わる。
 まとめ 

 上のそれぞれの形の意味を簡単にまとめると、以下のようになる。ㄴ系とㄹ系の意味の差がはっきり分かる。
直 前 に 来 る 要 素 
ㄴ系のときの意味 ㄹ系のときの意味  
するようだしそうだ連体形+것 같다
するもようだしそうだ모양이다
するかのようだせんばかりだ듯하다
するようだしそうだ상싶다
するみたいだしようと思う疑問形+보다
するみたいだしようと思う싶다
するかのようにしようとして連体形+양으로

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