要訣・朝鮮語
「に」と「で」と「から」


 体言につく語尾は日本語と用法が似ていてかなり分りやすいが、それでもところどころ区別しにくいものがある。そのうちの1つが場所を表す「に」と「で」、起点を表す「から」の使い分けである。

 1.「に」と「で」 

 実は、この2つはあまり難しく考えなくてもよい。おおよそ日本語の「に」は朝鮮語の「-에」に対応し、「で」は「-에서」に対応する。だから、判断に迷ったときは、まず日本語を思い出してみれば自ずから解決する。
 「-에」と「-에서」の使い分けは、日本語の「に」と「で」と非常によく似ている。例えば、同じ「ある」という動詞を使っている場合でも、物があるときには「講堂ピアノがある」のように「に」を使い、集まりや催し物などがあるときは「講堂公演会がある」のように「で」を使うが、このような使い分けは朝鮮語でも全く同じだ。
 また「泊まる」や「暮らす」など滞在を表す動詞の場合、「ホテル/泊まる」のように「に」も「で」も両方使えるが、朝鮮語でもやはり両方使える。  なお、同じ「で」でも場所ではなく手段・道具を表す「で」のときは「-(으)로」が用いられる。
 1-2.「に」と「で」、ここが落とし穴 

 「に=-에」、「で=-에서」と100%対応してくれるなら実にありがたいのだが、いかんせん、朝鮮語は似ていても外国語である。そこにはどうしても違いが存在するのである。
 特に誤りやすいのが、時間を表す「で」である。「後会いましょう」・「最近は珍しい現象だ」のように時間を表す単語につく「で」は「-에서」ではなく「-에」が用いられる。
 また、時間を表す「-에」のうち、日本語では「に」をつけないのに朝鮮語では必ず「-에」をつける場合がある。例えば1日の時間帯を表す「朝・昼・夜」などは日本語の場合、「明日の朝うかがいます」のようにふつう「朝に」とは言わないが、朝鮮語では下のように「-에」を必ずつけなくてはならない。  同様のものとしては「先週・今週・来週」など週を表す場合、「先月・今月・来月」など月を表す場合がある。「午前・午後」や「去年・今年・来年」などは日本語では「に」をつけてもつけなくてもよいが、朝鮮語の場合は必ず「-에」がつくことも注意しておこう。

 1-3.変化の「に」には要注意 

 「に」を無条件に「-에」としてはいけないものがある。それは、動詞が「変わる・変化する・転換する・翻訳する・交代する」など、「変化」に関わる動詞の場合である。つまり、「~が~に(カワル)」や「~が~を~に(カエル)」というときの「に」は「-에」でなく「-(으)로」を用いなければならないのである。これも日本語話者にはピンと来づらく、間違えやすいものの1つである。
 2.「で」と「から」 

 場所を表す「で」と出発の場所を表す「から」は朝鮮語では同じ「-에서」で表す。私たち日本語話者から見ると、よく混乱しないなと思われるが、不都合なく言葉が通じているのを見ると、全く問題ないようだ。
 しかしながら、日本語で「から」と表されるものは、朝鮮語のほうでいくつかの表現がある。おおざっぱに言うと、場所の起点(出発の場所)は「-에서」で表され、時間の起点は「-부터」で表される。また、やりもらいの場合に、「誰々から」というときは「-에게서」が用いられる。いわば人間の起点である。この「意味の住み分け」はかなり厳密に守られているので、間違えるとトンチンカンな表現になってしまう。
 ところが、後ろに「~まで」や「~にかけて」が続いて「から」が範囲の起点を表すようなときは、この「意味の住み分け」とは全く関係なしに、「から」は「-에서」で表されるようになる。  この場合、「-에서」の代わりに「-부터」も使えるが、一般的には「-에서」が好んで用いられるようである。

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