要訣・朝鮮語
漢字音


 漢字音というものは、もともと中国語の漢字の発音だったものが、朝鮮や日本などに渡り、それぞれの言語にあった形に変化した音である。だから、中国の漢字音、朝鮮の漢字音、日本の漢字音はそれぞれ微妙に似ていたり、音の変わり方に一定の規則があったりする。このことを利用しない手はない。朝鮮語においても日本語においても漢字を組み合わせた単語が非常に多いことを考えれば、漢字音を効率的に覚えれば、単語の数が飛躍的に増え、朝鮮語の力も格段に伸びるのである。ここでは、朝鮮と日本の漢字音のおおまかな対応規則を挙げてみたい。

 1.終声の規則 
ㄱ → ク,キ ㅇ → イ,ウ
ㄹ → ツ,チ ㄴ → ン
ㅂ → ウ(フ) ㅁ → ン
 終声の規則は実に単純で、例外も少ない。ㅂは歴史的仮名遣いで「フ」と表される「ウ」である。また、ㅇは日本語で「エ」の後ろでは「イ」となり、それ以外の場合は「ウ」となる。  例外として多いのは、ㅂが日本語で「ツ」となるものである。
 2.母音の規則 
ㅏ → ア ㅓ → エ
ㅗ → オ ㅜ → ウ
ㅡ → イ ㅣ → イ
 母音の対応は、最大限にはしょって簡略化すれば、上のようになる。  앙は「オウ」となるが、これは歴史的仮名遣いでは「アウ」となる。ㅏが「ア」、ㅇが「ウ」に対応するので、앙全体で「アウ」となり、規則どおりなのである。  これ以外にも、以下のようなものも多い。

1) ㅏは사、아、자、차の一部で「イ」となる場合がある。
2) ㅓは終声がないときは「ヨ」となる場合が多い。 3) ㅡは終声があるときは「オ(ヨ)」となる場合が多い。  また、合成母音字のうち、以下の2つは覚えておくと便利である。
ㅐ → ㅏ+ㅣ アイ ㅔ → ㅓ+ㅣ エイ
 ㅔは漢音では「エイ」となるが、呉音の「アイ」で読まれることも多いので、知っておくと便利だ。
 3. 初声の規則 
3.1 比較的単純なもの

ㄹ → ラ行 ㅁ → マ行,バ行 ㄴ → ナ行,ダ行 ㅇ → ア,ヤ,ワ行
 韓国の正書法では、ㄹは語頭ではㄴまたはㅇになるので注意。
3.2 清音―濁音の関連するもの

ㄱㅋ → カ行,ガ行 ㄷㅌ → タ行,ダ行 ㅂㅍ → ハ行,バ行
ㅈㅊ → サ行,ザ行 ㅅㅆ → サ行,ザ行 ㅎ → カ行,ガ行
 朝鮮漢字音の平音は日本漢字音では清音にもなりうるし濁音にもなりうる。激音もまた清音・激音どちらにもなりうる。つまり朝鮮漢字音の平音・激音と日本漢字音の清音・濁音の間には明確な対応がないので、いちいち覚えなければならないのである。  저-、처- という子音と母音の組み合わせでは「セ・ゼ」のほかに「テ・デ」に対応する場合がかなりあるので注意が必要だ。  朝鮮語を読んだり聞いたりして分からない漢字語が出てきたときは、上の規則を手がかりに日本語をある程度推測することができる。実に便利だ。さらに北京語や広東語など、中国語の知識があると、推測はかなり正確になる。漢字語はもうこれでバッチリだ。


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