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タイトルㅅとㅆの発音
記事No43
投稿日: 2010/04/06(Tue) 21:47:17
投稿者高杉
こんにちは。濃音の発音について質問があります。

濃音の IPA 表記は(日本では一般に) [ˀp] (ㅃ), [ˀt] (ㄷ), [ˀtɕ] (ㅉ), [ˀk] (ㄲ), [ˀs] (ㅆ) ですが、このうち ㅆ の発音は本当に [ˀs] なのでしょうか。他の濃音は確かに緊張があるのが分かりますが、私には ㅆ は単に ㅅ より長い [sː] のように聞こえます。また、英語の /s/ は正式には ㅅ で転写しますが、語頭では ㅆ で転写している例をよく見かけます。これも、ㅅ と ㅆ の違いが調音方法よりは長さであることを示しているように思えます。いかがでしょうか。日本語のサ行も語頭では ㅆ に聞こえることが多いようです。

タイトルㅅとㅆの発音
記事No60
投稿日: 2012/09/25(Tue) 23:54:45
投稿者泉田 嘉資
>ㅆ は単に ㅅ より長い [sː] のように聞こえます。
>ㅅ と ㅆ の違いが調音方法よりは長さであることを示しているように思えます

私は,緊張を伴った結果として,発音が長くなっているのではないかと思います。つまり,他の濃音(ㄲㄸㅃㅉ)においても音は生じないものの(内破音),確実に持続時間は長いはずです。
それらはすべて閉鎖を主とする音なので,その閉鎖の持続がなされることにより(それこそ[kː],[tː],[pː],[tɕː]ですが),その間は実質的に発音がなされないことになります。

ところが,ㅆだけは摩擦を主とする音なので,その摩擦を持続するということは,[sː]化するということになります。

また,濃音自体は,

 ・語頭に立ちえる (ex:ってか,っちゅーか;ただし俗語ですが)
 ・濁音(有声音)化しない (ただし,ベッド,パッド等の外来語は人によって濁音化する場合がある)

という点で,非常に日本語の促音(っ)に似ています。

この日本語においてもやはり,勝った(った),突貫(っか)などの場合における[っ]は発音を伴いませんが,一層(っそ),喫茶(っさ)などにおける[っ]は確実に摩擦を伴い[っ.s]→[sː](正確には[s̩.s])となっているはずです。

以上を以ってすると,[s]の濃音が[sː]に聞こえる(=長短の違いに思われる)のは正しいと思います。

ただし促音の場合は一音節を形成する(音節主音)ので,一音節分も伸ばす日本語の[っ.s]にとっての[s]と,あくまで独立した音節を形成しない朝鮮語の[s’]に対応する[s]では長さに出てくることは当然だということになります。
そのため,日本語では非促音なのに,朝鮮語にとっては濃音に聞こえるといったことが出てくるのかもしれません。