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釈譜詳節 巻六 第三張裏面
 このページとトップページの背景に用いられている画像は、15世紀中葉に作られた『釈譜詳節』(しゃくふしょうせつ、朝鮮語では ソポサンジョ sek-po-sang-cel) という書籍である。15世紀中葉というのは、ハングルが作られた時期でもある。ハングルは李氏朝鮮初期の1443年に完成し、1446年に「訓民正音」という名で公布されたが、文字の創製に際して当時の国王であった世宗(李朝第4代国王)は、臣下に命じてハングルで書かれたさまざまな書物を作らせた。その1つがこの『釈譜詳節』である。
 この『釈譜詳節』は、世宗の命により首陽大君(後の第7代国王、世祖)が世宗の正妃である昭憲王后の冥福を祈るために作った釈迦の一代記である。初刊本の発行年は1447年(世宗29年)と推定されており、訓民正音の公布直後に作られている。全24巻からなると推定されるが、現在に残っている初刊本は巻6・9・13・19・23・24の6冊だけである。
 ハングル書籍の多くは「諺解(げんかい)」と呼ばれる、漢文の原文を朝鮮語に直訳した文体のものが多いが、釈譜詳節はそのような翻訳によらず、朝鮮語だけで文章が編まれた散文であり、李朝初期の朝鮮語学・朝鮮文学の貴重な資料となっている。また、初刊本は金属活字を用いて印刷されており、書誌学的に見ても非常に重要な資料である。
 初刊本は現在、国立中央図書館に巻6・9・13・19が、東国大学校図書館に巻23・24が保存されている。
 左の図は『釈譜詳節』巻六の一部である。現代語には見られない文字があったり、活字の形が今のものとは違ったりしていて、古い情緒を漂わせている。


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