1999年総選挙のレポート 山本権兵衛 学籍番号123456789 1. はじめに 1999年におこなわれたインドネシアの総選挙は、スハルト政権が崩壊してからの最初の総選挙であり、1955年の第1回総選挙とともにきわめて民主的におこなわれた総選挙であると評価されている。したがって、この選挙の結果を分析することによって、政治の民主化が進むインドネシアにおいて、国民の総意がどこにあるのかを探ることが可能だと予想される。このレポートでは、1999年総選挙で議席を獲得した上位6政党の特徴を紹介し、続いてそれぞれの党の得票パターンを州別に分析することによって、総選挙に託された民意の一端を明らかにしてみたい。 2. 主要政党の特徴 1999年総選挙には48党の政党が参加した。スハルト体制下の総選挙では長らくゴルカル、インドネシア民主党、開発統一党の3党しか参加できなかったことを考えれば、今回の総選挙では国民に与えられた選択肢が大きく拡大したことは明かである。このレポートでは、得票率1%以上の政党6党に焦点を絞って、その特徴と得票パターンを分析することにする。対象となる政党は、得票率の順番に、闘争インドネシア民主党(PDI-P)、ゴルカル党(Golkar)、開発統一党(PPP)、民族覚醒党(PKB)、国民信託党(PAN)、月星党(PBB)、正義党(PK)である。以下、各党の特徴を説明する。なお情報は選挙管理委員会のウェブサイトから入手した。 1) 闘争民主党(PDI-P、Partai Demokrasi Indonesia Perjuangan) 党首メガワティ・スカルノプトゥリ。得票率33.76%。獲得議席153。スハルト体制期の3政党のひとつであったインドネシア民主党(PDI)から分派した民族主義系の政党である。ロゴの水牛は本来PDIによって使われていたものだが、インドネシア共和国のシンボルマークの中では、パンチャシラの一つである「協議と代議制において英知によって導かれる民主主義」を表現する。 2) ゴルカル(GOLKAR) 党首はだれそれ。得票率44%。獲得議席。スハルト体制期の3政党にひとつで、与党であった。 3. 主要政党の得票パターン 政党の得票パターンを考えるにあたっては、イスラーム系か民族主義系かという政党が依拠する基本原則の違い、さらに、イスラーム系または民族主義系であっても地方ごとに支持基盤が異なる点を考慮する必要がある。基本原則の違いは前節で触れたので、ここでは、地方ごとの得票パターンを分析する。そのために、まず、州別の獲得議席数をまとめた表を以下に示す。 この表から以下のことがわかる。 第一に、... 第二に、... 第三に、... 4. おわりに この報告のまとめとして、以上で述べたことの要点を示しておく。 1) 獲得議席数の上位2位の政党がいずれも非イスラーム系であり、この2政党だけで全462議席のうち273議席を確保した。 2) イスラーム系の政党であっても、州によって支持する政党に大きな違いが見られる。 参考文献 Komisi Pemilihan Umum. 2004. “Perolehan Suara Partai Untuk DPR RI.” . 佐藤百合編.2001.『インドネシア資料データ集』アジア経済研究所.