特集 動きだした拡大EU
統合史上初のEU憲法採択
東京外国語大学教授
渡邊 啓貴
わたなべ・ひろたか 1954年生まれ。東京外国語大学仏語科卒。慶応義塾大学博士課程、パリ第一大学大学院修了。京都外国語大学助教授、東京外国語大学助教授、パリ高等研究院客員教授、ジョージ・ワシントン大学客員研究員を経て99年から現職。ヨーロッパ国際関係論専攻。著書に「ミッテラン時代のフランス」「フランス現代史」「ヨーロッパ国際関係史」など。
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6月17日午後から18日の深夜まで36時間に及んだ欧州連合(EU)首脳会議(正確には加盟25カ国の同じ代表者によって構成されるEU憲法のための政府間会議=IGCと、欧州委員会委員長の選出を主たる目的とする欧州理事会=EU首脳会議)は、欧州統合の歴史上初めて、EU憲法(正式には憲法条約)を採択して幕となった。
18日欧州理事会を終えた各国首脳の表情は安堵に満ちたものだった。開催前から再三決裂が論じられただけに、議長国アイルランドのアハーン首相は満面に笑みを浮かべて、「全員の勝利」と自画自賛し、シラク仏大統領は「ヨーロッパにとって重要な日」と述べた。ブレア英首相も「英国にとっての成功であり、ヨーロッパにとっての成功でもある」と語った。
EU憲法は、1958年に発効し、欧州統合の基礎となってきたローマ条約をはじめとして、マーストリヒト条約、アムステルダム条約、ニース条約など7条約を一本に集約し、複雑な法体系を整備・合理化したものである。今秋に調印が行われ、2007年までに全加盟国の批准を得て発効することが期待されている。