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9月卒業式・学位記授与式挙行

2017年09月25日掲載

2017年9月25日(月)、2017(平成29)年度9月卒業式・学位記授与式が行われ、学部学生28名(外国語学部7名、言語文化学部14名、国際社会学部7名)、大学院総合国際学研究科博士前期課程15名(Peaceand Conflict Studiesコース8名を含む)、博士後期課程(2017年4月~9月)12名の計27名が卒業・修了しました。

立石博高学長式辞


学位記授与

Peace and Conflict Studies(PCS)コース修了者

立石博高学長式辞


今日、本学をご卒業・修了される皆さん、日本人学生と留学生の皆さんに、学長として東京外国語大学を代表し、心からお祝い申し上げます。社会人として広く世界に巣立っていく皆さん、また、さらなる学究の意欲に燃え、進学の道に入られる皆さん、それぞれの皆さんの新たな門出にあたり、贐(はなむけ)の言葉を述べさせていただきます。

さて、SDGsという言葉は皆さんもご存知だと思います。2015年に国連で採択された「我々の世界を変革する:持続可能な開発のための2030アジェンダ」に盛り込まれている17の目標と169のターゲットからなる「持続可能な開発目(Sustainable Development Goals)」のことです。ちなみに目標1は、「あらゆる場所で、あらゆる形態の貧困に終止符を打つ」となっていますし、目標3は、「あらゆる年齢のすべての人々の健康的な生活を確保し、福祉を推進する」とうたっています。 21世紀はグローバル社会になったといわれ、グローバル化は、ヒトとモノと情報の流れを加速化させ、地球規模での一体化を醸成しています。ですが、同時に、ローカルな社会、つまり地域社会の伝統的な経済を衰退させる危険があります。地域社会がこれまで維持してきたさまざまな安全弁を取り除いて社会的・経済的格差を深刻化させる危険も併せ持っています。ですから国連は、世界が貧困を根絶し、気候変動に対処し、平和で包摂的な社会を構築するために、2030年までに取り組むアジェンダを採択し、17の目標の達成に向けて各国政府・市民に強く働きかけているわけです。皆さんもご存じのように、私たちの大学は21世紀のグローバル社会のなかで活躍できる人材養成に努めています。皆さんは本学での学びを通して、グローバル言 語である英語と世界諸地域の固有言語である地域語をともに駆使することができ、異文化理解と多文化共生の実現をめざす人材、「多言語グローバル人材」へと成長されたと確信しています。これから皆さんは、世界のさまざまな地域で、またさまざまな分野で活躍されるわけですが、SDGsに掲げられている17の目標をつねに念頭に置きながら、グローバル化の負の側面の克服に寄与する、そうした「地球市民」としての立場を堅持されることを強く期待します。

ところで、今年2017年が、「開発のための持続可能な観光の国際年(International Year of Sustainable Tourism for Development)」であることはご存知でしょうか。国連の専門機関である世界観光機関(UNWTO)の主導の下に進められているキャンペーンですが、当然のことながらSDGsのうたう「持続可能な開発」に観光(Tourism)が大きく貢献するという判断に立っています。国連のグテーレス事務総長は、このキックオフ・イベント(2017年1月18日にスペインのマドリードで開催)のメッセージで、「観光は経済を支える柱、繁栄のためのパスポートであり、何百万人もの生活を改善させる大きな推進力になっています。持続可能な開発のための2030アジェンダ達成に向けて、私たちは観光の持つ力を活かすことができますし、またそうしなければなりません」と述べているのです。

しかし残念なことに、先月8月17日、世界観光機関の本部が置かれているスペインのなかでももっとも有名な観光地であるバルセローナで、世界各地から訪れる観光客を標的にしたテロ事件(ランブラス通りという目抜き通りの歩道をワゴン車で暴走)が発生し、15人の死亡と133人の負傷をひきおこしました。犯行グループはIS(イスラーム国)の過激思想に傾倒していたとされますが、これからこの若者グループの思想と行動の背景がきちんと究明されなければなりません。犠牲者に対する哀悼の意は各方面から寄せられ、8月26日にはバルセローナ市内で「決して恐れはしない」(カタルーニャ語でNo Tinc Por)をスローガンに50万人もの市民による反テロリズムの示威行進がおこなわれました。

いまグローバル化は大きな歪みをもたらし、日常の安全安心までもが脅威にさらされる状況になっています。しかし、「決して恐れはしない」という姿勢をたもつことが大切だと思います。そしてグローバル化の歪みを正すには、繰り返しますが、国連の進めるSDGsのアジェンダに地球市民としてかかわっていくことが必要でしょう。国連は1967年を「国際観光年(International Tourist Year)」と定めるにあたって、「観光は平和へのパスポート(Tourism, Passport to Peace)」というスローガンを採用しました。異文化交流と相互理解を深め、無知や差別といった障壁をなくすには、観光を含めてヒトとモノと情報の流れが加速化しているグローバル社会であるからこそ有利な状況であるはずです。若い皆さんは、「平和へのパスポート」を手に、世界の隅々で活躍されることを心より願っています。

最後に一つお願いがあります。本学のOB・OG組織である東京外語会の活動に加わっていただきたいということです。東京外語会は、「東京外国語大学と連携し、外語大ブランドをともに高めていく」同窓会組織です。国立大学法人を取り巻く環境には、たいへんに厳しいものがあります。今日卒業される皆さんは、皆さんの先輩方とともに本学にとってのステークホルダーとして本学の発展のためにご協力と支援をお願いしたいと思います。

以上、皆さんのご活躍を祈念して、学長の式辞とさせていただきます。

2017年9月25日  国立大学法人 東京外国語大学長 立石博高