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ご卒業おめでとうございます!(2016年度卒業式・学位記授与式)

2017年03月24日掲載

2017年3月24日(金)、2016年度卒業式・学位記授与式がアゴラ・グローバル(プロメテウス・ホール)において行われました。午前に行われた第1部では外国語学部63名、言語文化学部347名、午後に行われた第2部では国際社会学部350名、大学院博士前期課程116名、大学院総合国際学研究科・地域文化研究科博士後期課程の7名が卒業・修了し、学位を授与されました。

立石博高学長式辞







○授与01.JPG
学位記授与
○合唱.JPG
コールソレイユによる合唱
○オケ.JPG
祝典曲演奏(オーケストラ)
○学長式辞.JPG
学長式辞
○東京外語会長谷川康司理事長.JPG
長谷川東京外語会理事長祝辞
○道宗東京外国語大学学生後援会会長.JPG
道宗学生後援会会長祝辞

○外国語学部長.JPG
吉田外国語/国際社会学部長祝辞

○言語文化学部長.JPG
武田言語文化学部長祝辞
○DSCF5701.JPG
岩崎大学院研究科長祝辞

○英語ひき.JPG

27専攻語担当教員による祝辞

○オケ2.JPG

○ガレリア1.JPG

平成28年度卒業式 立石博高学長式辞

この4月1日に、社会人として広く世界に向けて巣立っていく外国語学部卒業生の皆さん、同じく言語文化学部、国際社会学部卒業生の皆さん、また、さらなる学究の意欲に燃え、大学院進学の道を選ばれた皆さん、そして、大学院博士前期課程、後期課程のそれぞれで学位を取得され、新たな歩みを始めようとする皆さん、皆さんの新しい門出を祝い、東京外国語大学長として、餞(はなむけ)の言葉を述べさせていただきます。

今日、外国語学部を卒業される皆さん、そして言語文化学部あるいは国際社会学部を卒業される皆さんのなかには、海外留学などのために留年されたかたもおられると思いますが、4年で卒業されるかたは、2013年4月に入学されています。その入学式で、私が皆さんにお話ししたことを覚えていらっしゃるでしょうか。

この入学式式辞のなかで私は、本学が専門教育とならんで教養教育を重視していること、そしてこの教養教育を「世界教養Global Liberal Arts」と名付けていることを紹介しました。皆さんは、本学の学び舎で、物事の全体像を地球規模でとらえる「俯瞰的視野」を培ってもらえたでしょうか。加えて、人文学、社会科学、自然科学、応用科学の諸学問領域を横断する「総合知Global Knowledge」を身につけて、グローバル社会の複雑な仕組みを分析し、物事を的確に判断する能力を高めることができたでしょうか。今日から社会に巣立つ皆さんが、本学の世界教養プログラムで身につけたこうした世界教養と、それぞれの専門課程で収得された専門知識とを武器に、地球市民Global Citizenとして活躍されることを願ってやみません。

ところでグローバル化の進展は、ヒトとモノと情報の流れを加速化させて地球規模での一体化を醸成していますが、ローカルな社会の伝統的な経済を衰退させるとともに、世界各地で極端なまでの社会的・経済的格差を生みだしています。昨年4月に本学にお招きした前ウルグアイ大統領ホセ・ムヒカさんが鋭く指摘されたように、「金融資本が爆発的に大きくなったために、通貨を中心にした生活の姿が変貌して、この国際相場に翻弄される人々が増えた」からです。富の集中が進み、アメリカ合衆国では上位約3%の富裕層が全体の半分を超す資産をもっており、日本でも全体の二割の資産をわずか2%の世帯数が持つに至っているのです。そして、グローバル化の旗振り役であったアメリカ合衆国でさえ国内のさまざまな社会的ひずみを深刻化させ、その反動から、自国民でない者には思いを寄せる必要がないという「自国ファースト」の風潮が強まっています。

もちろん私たちも自分の国、自国の伝統や文化を愛する態度を大切にしたいと思います。しかし、地球市民であるためには、自国民ではない人々にも思いをはせ、他国の伝統や文化を尊重することが必要です。昨年、ノーベル文学賞がボブ・ディラン氏に与えられ、歌詞というものがもつ力を私たちに改めて示しましたが、外国の他者へ思いをはせることの大切さを、私は日本のロックバンド「The Yellow Monkey」の歌詞をとおしてつねづね思い起こしています。この歌詞の一部を紹介させてください。

《外国で飛行機が墜ちました ニュースキャスターは嬉しそうに「乗客に日本人はいませんでした」「いませんでした」「いませんでした」 僕は何を思えばいいんだろ 僕は何て言えばいいんだろう こんな夜は逢いたくて逢いたくて 君に逢いたくて また明日を待っている》 (*)

この「JAM/Tactics」が発表されたのが1996年ですから、もう20年も前のことです。そして2016年12月31日付の新聞紙面には、この歌詞の全文が掲載されるとともに、「残念だけど、この国にはまだこの歌が必要だ」という言葉で締めくくられていました。

社会に巣立つ皆さんには、本学で身につけた「世界教養」と「専門知識」を活かして活躍していただきたいのですが、「自分の国」「自分の文化」を大切にするとともに、「他者の国」「他者の文化」を同時に大切にしていただきたいと思います。そのためにもう一つ、言葉を皆さんに送りたいと思います。それは、1906年つまり今から110年も前に本学の英語科教授であった浅田榮次博士が、ある会合で述べた言葉です。

《東京外国語学校の最大の特質は友愛と調和と平安であります。英国人、フランス人、ドイツ人、ロシア人、イタリア人、スペイン人、中国人、また韓国人が、一つの屋根を共にするような家屋は何処の世界にあるでしょうか。》

皆さんは、こうした多言語多文化の伝統をもつ東京外国語大学のグローバル・キャンパスで学ばれました。まさに、世界の各地からやってきた留学生とともに学び、Interculturality(異文化理解と多文化共生)の大切さを経験的に学ばれたと確信しています。どうか、皆さんが、国民Nationの壁、文化Cultureの壁を乗り越えて飛翔し、地球市民Global Citizenとして活躍されますようにと心より願っています。

さて、最後にひとつお願いがあります。皆さんが学生生活を過ごした母校である東京外国語大学との「絆(きずな)」をこれからも大切にしていただきたいということです。国立大学をとりまく環境は、国全体の財政状況の悪化のなかで、ますます厳しさを増しています。本学は日本のグローバル化を牽引する大学として、真のグローバル人材、すなわち「多言語グローバル人材」の養成事業に取り組んでいます。加えて、「国際日本研究」の卓越的拠点づくりを推進しています。

皆さんには、「東京外国語大学と連携し、外語大ブランドをともに高めていく」同窓会組織である東京外語会の活動に加わっていただき、2023年を目途とする「建学150周年基金」事業に協力し、さまざまな支援をしていただきたいと思います。

2023年の東京外国語大学を想像してみてください。1873年(明治6年)の建学の年から150年目の本学の姿です。OB・OGの皆さんからの篤い財政的支援と人的支援に支えられて、本学は「地球社会化時代における教育研究の拠点大学」、つまりグローバル・ユニバーシティーとなり、このキャンパスで日本人学生と世界各地からの留学生が、「文化の壁を乗り越えて」ともに学び合い、切磋琢磨していることでしょう。私たち教職員もがんばりますので、卒業される皆さんも母校を末永く支援してくださいますよう心より願っています。

以上、皆さんのご活躍を祈念して、学長の式辞とさせていただきます。

2017年3月24日  国立大学法人 東京外国語大学長 立石博高

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(*)『朝日新聞』2016年12月31日、22頁(全面広告)より。