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ご卒業おめでとうございます!(2015年度卒業式・学位記授与式を3/24に挙行しました)

2016年03月28日掲載

2016年3月24日(木)、2015年度卒業式・学位記授与式が本学アゴラ・グローバル(プロメテウス・ホール)において行われました。午前に行われた第1部では外国語学部491名、午後に行われた第2部では、言語文化学部132名、国際社会学部123名、大院博士前期課程107名、大学院総合国際学研究科・地域文化研究科博士後期課程の12名が卒業・修了し、学位を授与されました。

立石博高学長式辞


 

 

 

 

 

 

 

 

コールソレイユによる合唱

渡邉光一東京外語会副理事長

田中和子東京外語会副理事長

道宗東京外国語大学学生後援会会長

 

【第1・2部】平成27年度卒業式 立石博高学長式辞


この4月1日に、社会人として広く世界に向けて巣立っていく外国語学部卒業生の皆さん、同じく言語文化学部、国際社会学部卒業生の皆さん、また、さらなる学究の意欲に燃え、大学院進学の道を選ばれた皆さん、そして、大学院博士前期課程、後期課程のそれぞれで学位を取得され、新たな歩みを始めようとする皆さん、皆さんの新しい門出を祝い、東京外国語大学長として、餞(はなむけ)の言葉を述べさせていただきます。

今年から卒業式は、ここアゴラ・グローバル内の「プロメテウス・ホール」にて挙行させていただくことにしました。これまでは府中の公共施設を借りて、卒業生の皆さんも、保護者の皆様も一堂に会するかたちで行なっていたのですが、本学府中キャンパスと公共施設のあいだには距離があり、(今日は幸い良い天気ですが)悪天候のときにはかなりの困難を生じさせていました。
そしてなによりも、皆さんが何年もの間、友達や先輩、後輩とともに勉学や課外活動で一緒に過ごしたこの府中キャンパスで晴れの日を迎えてほしいという強い願いから、式場をこの「プロメテウス・ホール」に移させていただきました。ホールの収容人数の関係から第1部と第2部に分けて実施しなければならないこと、また保護者の皆様におかれましては研究講義棟101マルチメディアホール等にて映像を通して卒業式を見ていただくことはたいへんに心苦しいのですが、どうかご理解を賜りたく存じます。

さて、これまでは外部の施設でと申しましたが、じつは一度この「プロメテウス・ホール」で卒業式を実施したことがあります。いまから5年前の卒業式です。この年は電力削減などの影響で公共施設が使えなくなり、急遽場所を変えて、3月29日にここで挙行することになりました。そうです、2011年3月11日に東日本を襲った大震災とそれに伴って起こった福島第一原子力発電所事故のために、首都圏でも厳しい電力規制が行なわれるにいたっていたのです。

この大震災の直後から私たちは被災学生支援チームをつくり、本学の学生たちの安否確認に奔走しました。幸いに全員の無事を知ることができたのですが、家族・親族を亡くされた方や、実家が壊されて途方に暮れている方もいました。そこで私たちは大学としても独自に緊急の奨学金支給を行なうことにしました。もともと予定されていた会場を急遽変更し迎えた3月29日、卒業式は無事に挙行されたのですが、アゴラ・グローバルの入り口前で被災学生支援の募金活動に奔走したことをいま鮮明に思い出しております。あのときは、卒業しようとする学生の皆さん、そして保護者の皆様から本学の被災学生のために多額の支援をいただきました。そして、マスコミでも「絆(きずな)」という言葉が盛んに使われていましたが、人と人の繋がり、困っている他者への人の優しさというものを肌で感じることができました。

あれから5年、3月11日の前後には今年もさまざまな特集が組まれて、大震災と原発事故の記憶を風化させないというキャンペーンが行われました。私たちもまた決してこの悲惨なできごとを忘却の彼方に追い遣ってはなりません。
大震災に対する対策として、あれから本学もさまざまな対策に取り組みました。
今日、皆様が集うこのプロメテウス・ホールの天井にも耐震工事を施して、安全の確保に努めています。

深刻な原発事故の反省から脱原発の声が高まりましたが、新たな規制基準が設けられて一部で原発の再稼働が始まりました。そのことの当否は別にして、私たちはもはや「安全神話」に頼ってはいけませんし、かりに規制基準がないがしろにされて再び原発事故が起こるようなことがあれば、もはや日本の将来はないと言っても過言ではないでしょう。

あの原発事故からの5年間、さまざまな災害や事故が起こり、そのたびに犠牲者が生れています。なかでも深刻なのは、利益追求のあまり法令を遵守しない企業活動が行なわれ、その結果、尊い命が失われることが起こっていることです。今年の1月15日に軽井沢周辺で起こったスキーツアーバス転落事故もその一つでした。
このバスには本学の学生4人が同乗していて、その一人が命を落とし、今日の皆さんのように希望を胸に社会に巣立つ機会を永遠に失われました。ほんとうに残念でなりません。心から哀悼の意を表します。

このバス転落事故のあとに、さまざまな論評やコメントがなされましたが、その二つをここで紹介したいと思います。一つはルポライターの鎌田慧さんの言葉で、「乗客の死亡者全員が学生であり、この四月からの就職が決まっていた人もいた」、「しかし、この事故をバス会社の管理責任の追及だけで終わらせるのではなく、日本社会の安全性の総点検に役立てる必要がある」という指摘です。もう一つは、まさに事故で亡くなった娘さんの父親の言葉です。「(事故について)憤りを禁じ得ないが、いまの日本が抱える偏った労働力不足や過度の利益追求、安全の軽視など社会問題で生じたひずみによって発生したように思えてなりません」。私たちは、この方の沈痛な思いを共有しなければなりません。

明日から社会人となって活躍される皆さん、日本と世界のグローバル企業のなかで、まさに中核となって活躍されるであろう皆さんには、人びとの「安全」ということをつねに心がけていただきたいと思います。企業活動の利益追求のあまりに、利用者の安全をないがしろにする、近隣住民の健康を危うくする、自然破壊に加担する、そうした社会人にはなっていただきたくありません。

いま企業や組織には、「コンプライアンス」という言葉が欠かせません。一般には「法律・法令の遵守」と訳されますが、単に違法行為や反社会的行為に手を染めないということだけではなく、「高い倫理観にもとづいて良識ある行動をとること」を指すようになっています。当然、この前提には「お互いの人権を尊重する」ということが含まれます。社会人となって活躍される皆さんには、「コンプライアンス」に悖った行動をしていないかをつねに自戒していただきたい、そして、仮に「コンプライアンス」に悖った行動をする会社組織、上司や同僚に気づいた場合に毅然と対処する、そうした勇気をもってもらいたいと思います。

さて、最後にもうひとつお願いがあります。皆さんが学生生活を過ごした母校である東京外国語大学との「絆(きずな)」をこれからも大切にしていただきたいということです。いま国立大学をとりまく環境は、国全体の厳しい財政状況のなか、ますます悪化しています。本学は日本のグローバル化をリードする大学として、一昨年には文部科学省の「スーパーグローバル大学創成支援」事業に採択されて、真の多言語グローバル人材の養成事業に取り組んでいます。加えて、国立大学機能強化予算の支援を受けて「国際日本研究」の卓越的拠点づくりを推進しています。これらの遂行のために本学は、卒業生の皆さんから財政的支援を含めたさまざまな支援を、これまで以上にいただく必要があります。どうか皆さんが、「東京外国語大学と連携し、外語大ブランドをともに高めていく」同窓会組織である東京外語会の活動に加わっていただき、本学が一昨年から開始しました「建学105周年基金」事業を支援していただきたいと思います。

どうか、2023年の東京外国語大学を想像してみてください。つまり1873年(明治6年)の建学の年から150年目となる、いまから7年後の本学の姿です。OB・OGの皆さんからの篤い財政的支援と人的支援に支えられて、本学は「地球社会化時代における教育研究の拠点大学」、つまりグローバル・ユニヴァーシティーとなり、このキャンパスで日本人学生と世界各地からの留学生が、ともに学び合い、切磋琢磨していることでしょう。私たち教職員もがんばりますので、卒業される皆さんも母校を末永く支援してくださいますよう心より願っています。

以上、皆さんのご活躍を祈念して、学長の式辞とさせていただきます。

2016年3月24日  国立大学法人 東京外国語大学長 立石博高