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トルコの言語


このページは、永瀬峰子によって作成されました。

トルコ共和国の言語状況

トルコ共和国の唯一の公用語は、トルコ語である。しかし、現在のトルコ共和国の人口約6000万人のうち、約15パーセントはトルコ語を母語としない人々である。

共和国で使われているトルコ語以外の言語のうち、ギリシャ語やアルメニア語などは、イスタンブルなどの大都市で使われている。また、アラビア語はシリアとの国境付近で使われている。そしてクルド語はペルシャ語系の言語で、トルコ語に次いで使う人が多く、東部や東南部で使われている。アラビア語やクルド語の話者の一部を除いては、トルコ語との二言語使用者である。

    


トルコ語の歴史

トルコ語は、中央アジアを中心に分布するチュルク諸語に属しており、共和国以外にもバルカン諸国やキプロスにも話者がいる。共通語としてイスタンブルの方言が使われている。

トルコ族の侵入後、アナトリアのトルコ化とともにトルコ語は急速に広まった。文語としてのトルコ語は、13世紀からアラビア文字を使って書き表し始めたことに始まる。この頃のトルコ語では、古代チュルク語と共通の古い語彙も残っており、母音調和も前舌/後舌に関するものだけだった。

14世紀以降オスマン帝国の拡大にともない、多くのトルコ人がバルカンへ移住し、逆にアナトリアでは、トルコ人ムスリム以外の人々も多く住んでいた。また、アラビア語やペルシャ語の語彙や構文を取り入れた複雑な文章語(オスマン・トルコ語)が発達した。そして19世紀のタンジィマート以降、近代化の動きとともに、複雑な文語を口語に近づける努力がなされた。1928年建国直後、アラビア文字からラテン文字に改められ、また、アラビア語・ペルシャ語系の語彙が、造語や使われていなかった固有語彙などで置き換えられた。現在もトルコ言語協会Turk Dil Kurumuによってこの動きは続いている。okul 学校、ucak 飛行機のように、定着したものもあれば、Ulusal Dutturu 国歌のように、定着しなかったものもある。また、純化の対象はフランス語系や英語系の語彙も含まれる。

しかしアラビア語やペルシア語の語彙は、減らされた今も数多く残っており、特に抽象的な語や(tavsiye 推薦、 hukum 統治)、イスラームに関する語(imam イマーム、cami モスク)に多い。ギリシア語などからは生活に関する語が多く、トルコ人自身も気が付かないこともある。また、近代化の過程でフランス語からも様々な語が入った。逆に、遊牧生活からトルコ語では牧畜に関する語は日本語に比べて多い。

 


トルコ語の音素と文字

音素

トルコ語には3つの長母音音素(外来語のみあらわれる)と8つの短母音音素があり、短母音音素は、前舌−後舌、狭−広、円唇−非円唇と3つに分類することができる。/o/や/o/は、複合語を除いては、第一音節にしかあらわれない。

文字

母音調和

トルコ語のひとつの特徴に、母音調和がある。下にあげた、前舌母音(4つ)、後舌母音(4つ)の別があり、原則的にトルコ語のひとつの単語のなかでは、いずれかのグループの母音しか現れない。


トルコ語の簡単な文法

トルコ語は、日本語と同じく、膠着語に分類される。これは、時制や「てにをは」にあたるものが、単語の後ろにつながって「一語」になることを言う。このため、トルコ語の勉強では、まず、こうした後ろにつく接尾辞を勉強することになる。

指示詞と代名詞:トルコ語での人称代名詞と指示代名詞は次のとおり。

 

所属人称接尾辞:名詞について、それが誰に所属しているかを表す。

格接辞:名詞について、日本語の「てにをは」のように文中での働きを表す

時制接尾辞:動詞について、時制やアスペクトを表す。

主語を表す人称語尾:文の述語(動詞、名詞、形容詞など)について文の主語を表す。


参考文献


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