街の巨匠たち(3)

ここでは、三吉以外の街の巨匠たちを紹介します。

(今回はチェーン店を紹介するので、巨匠ではありませんが)
吉祥寺に、「はなまる」といううどん屋がある。吉祥寺には二店舗あり、一つは北口のサンロードから横に入って少し先にあり、もう一件は井の頭口から右に曲がって少し歩いたところにある。ちなみに井の頭口の方は、23:00まで店は開いているが22:30がラストオーダーで、つい先日その件で涙をのんだ。要注意である。

インターネットで調べてみると、どうやらチェーン展開している店のようで、西日本を中心にしてどこにでもあるらしい。現代のグルメブームの中で生まれた風潮に、「全国展開しているチェーン店よりも、個人経営しているような店の方がおいしい」という先入観がある。そう、これは先入観である。

「はなまる」は、チェーン店であるが、その出すものはうまい。
日曜ともなると、昼時や夕方などは行列ができる。麺屋武蔵に比べればこんなもの行列のうちにも入らない、と言われるかもしれないが、私個人はおなかがすいているときに並んで待つなんて耐えられない性格なもので、時間をずらして行くようにしている。価格が安めの設定なのも人気の一因となっているだろう。

私は、両親が香川県出身ということもありうどんが好きである。どれくらい好きかと言えば、よくドラマなどで使われる、妻が夫に対して言い放つ「あたしと仕事、どっちが大事なの?」という問いに対して「うどんのほうが大事」と答えられるくらいだ。

海原雄山のようにまずいものを放り投げたりはしないが、うどんに求める水準は他のどんな食べ物よりも高い。(この文をみて比較級+than any other...が浮かんだ人は英語の勉強のしすぎです。)

まず、うどんはうどん屋で出されるものであって、そば屋でそばと一緒に出されるものではない。「はなまる」では、当然そばのその字もない。もしうどん屋に来て「そばはないんですか?」と言う者がいるなら店員が困った顔をして答える前に私のローリングソバットが炸裂すること請け合いだ。

次に麺は、箸でつまんだら切れるようなものは、あたし認めない。(ここは漫才コンビのスピードワゴンのように読むべし)それは、あくまで「小麦粉の麺状のもの」である。うどんの麺は、コシは言うまでもなく、よく「ツルツルシコシコ」と表現されるとおり、その食感も大事である。「はなまる」の麺は、十分とまでは行かないまでも、なかなかいい感じで好きだ。

香川では当たり前だが、うどん屋にはおでんが置いてある。おでんというと秋や冬にコンビニで売っているのを想像しがちだが、本場では一年中置いてある。暑い夏、冷房の効いた店内でうどんと一緒におでんをほおばるのは格別だ。

東京でもおでんを置いてある店はないかと探し回ったが、今の今まで一軒も見つけることが出来なかった。関東ではそのような文化が根付くどころか、思いもよらないというのが正直なところで、私自身半ばあきらめかけていた。しかし、「はなまる」には置いてあった。見つけた時期が秋なので、一年中置いてあるかどうかは分からないが、貴重な店であることは間違いない。

実際、どのようにうどんとおでんを組み合わせるかについては個人の好みで好きなようにして構わないが、私がお勧めするのは、うどんはシンプルにかけうどんにしおでんを2〜3品つける、というものだ。おでんはちょっと、という人なら天麩羅を何品か頼めばよいだろう。

この店では、トッピングとして揚げ玉・花かつお・すりおろしショウガ・ごまを置いてあり、それぞれ適量入れるのがよい。少しショウガを効かせるとつゆの出汁の香りが一層引き立つので、私はいつも入れるようにしている。ただ、どうしてかはよく分からないけれどもごまは入れていない。

<追記>

イメージキャラとして山田●子を起用したのはどうかと思うぞ。セリフとかテレビドラマ版「金田一くんの事件簿」なみに棒読みだし。

(2004/4/23)

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