II さまざまな「歴史学」

 

2 「旅する文化」と地理空間の変容

 

ジェイムズ・クリフォード(毛利嘉孝ほか訳)『ルーツ——20世紀後期の旅と翻訳』月曜社、2003
序章「旅する文化」において、本書のプロジェクトの大要をうることができる

——(太田好信、慶田勝彦、清水展、浜本満、古谷嘉章、星埜守之訳)『文化の窮状——二十世紀の民族誌、文学、芸術』人文書院、2003

太田好信『トランスポジションの思想——文化人類学の再想像』世界思想社、1998

——『人類学と脱植民地化——現代人類学の射程』岩波書店、2003
とくに「フランツ・ボアズ−移民としての人類学メイキング」「沖縄発「土着コスモポリタニズム」の可能性」を参照のこと

——「文化への閉ざされた道——30年代アメリカ合州国における文化についての言説」『思想』933号、20021

カレン・カプラン(村山淳彦訳)『移動の時代——旅からディアスポラへ』未来社、2003

ジョーン・スコット「反響するフェミニズム——危機の時代におけるフェミニスト・ポリティクス」『思想』942号、200210

北村暁夫「ヨーロッパ移民史研究の射程」『歴史評論』625号、20025

——「イタリア自由主義期における移民と植民」『歴史学研究』613号、199011

——「移民における家族の戦略−南イタリアの事例研究から」『思想』842号、19948

——「近代イタリアの移民と家族」歴史学研究会編『地中海世界史5 社会的結合と民衆運動』青木書店、1999年所収

——「日常的実践としての移民」『史艸』(日本女子大学史学研究会)41号、2000

深沢克己ほか「ヨーロッパ移民の社会史(1720世紀)——エスニシティの形成と軋轢をめぐって」
『史学雑誌』第110編第8号、20018(史学会例会の記録)

五野井隆史『日本キリスト教史』吉川弘文館、1990

——『日本キリシタン史の研究』吉川弘文館、2002

杉原達『オリエントへの道——ドイツ帝国主義の社会史』藤原書店、1990

——『越境する民——近代大阪の朝鮮人史研究』新幹社、1998

——「均質で空虚な時間をめぐって」『江戸の思想』4号、1996

——『中国人強制連行』岩波書店、2002

——、伊豫谷登士翁編『講座外国人定住問題1 日本社会と移民』明石書店、1996

中野隆生編『都市空間の社会史 日本とフランス』山川出版社、2004

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『大航海時代叢書』第I期、全11巻別巻1(会田由、飯塚浩二、井沢実、泉靖一、岩生成一監修)岩波書店、1965-1970

『大航海時代叢書』第II期、全25巻(生田滋、越智武臣、高瀬弘一郎、長南実、中野好夫、二宮敬、増田義郎編)岩波書店

『アンソロジー 新世界の挑戦』全13巻、岩波書店、1992-1995

1718世紀大旅行記叢書』第I期、全10巻(中川久定、二宮敬、増田義郎編)岩波書店、1990-1991

1718世紀大旅行記叢書』第II期、全11巻(中川久定、二宮敬、栗原福也、平野敬一、三島憲一編)岩波書店、2001年〜

『ユートピア旅行記叢書』全15巻(赤木昭三、川端香男里、轡田収、富山太佳夫、中川久定編)岩波書店、1996-1998

樺山紘一『異境の発見』東京大学出版会、1995

関哲行、立石博高『大航海の時代——スペインと新大陸』同文舘、1998

石原保徳「インディアスの「再発見」にむけて——大航海時代の群像」
ラス・カサス『インディアス破壊を弾劾する簡略なる陳述』現代企画社、1987年、所収の解説論文

染田秀藤『大航海時代における異文化理解と他者認識——スペイン語文書を読む』淡水社、1995

——『インカ帝国の虚像と実像』講談社、1998

小岸昭『マラーノの系譜』みすず書房、1994

——『隠れユダヤ教徒と隠れキリシタン』人文書院、2002

関哲行『スペインのユダヤ人』山川出版社、2003

エリー・ケドゥリー(関哲行、宮前安子、立石博高訳)『スペインのユダヤ人——1492年の追放とその後』平凡社、1995

ジャック・プルースト(山本淳一訳)『16-18世紀ヨーロッパ像——日本というプリズムを通して見る』岩波書店、1999

スティーヴン・グリーンブラット(荒木正純訳)『驚異と占有——新世界の驚き』みすず書房、1994

ピーター・ヒューム(岩尾龍太郎、正木恒夫、本橋哲也訳)
『征服の修辞学——ヨーロッパとカリブ海先住民、1492-1797年』法政大学出版局、1995

ナタリー・デーヴィス(長谷川まゆ帆、坂本宏、北原恵訳)
『境界を生きた女たち——ユダヤ商人グリックル、修道女受肉のマリ、博物画家メリーアン』平凡社、2001
西川祐子による書評「希望の歴史家ナタリー・Z・デーヴィス」『思想』937号、20025月も。

ナタン・ワシュテル(小池祐二訳)『敗者の想像力——インディオのみた新世界征服』岩波書店、1984

——(齋藤晃訳)『神々と吸血鬼——民族学のフィールドから』岩波書店、1997

セルジュ・グリュジンスキ(齋藤晃訳)『アステカ王国——文明の死と再生』創元社、1992

——(竹下和亮訳)「カトリック王国——接続された歴史と世界」『思想』937号、20025

安村直己「クリオーリョ・啓蒙・ナショナリズム——スペイン帝国における言説のせめぎあい」
近藤和彦編『岩波講座世界歴史16 主権国家と啓蒙』岩波書店、1999年所収

——「交通空間としてのスペイン帝国における文化的混淆と「政治的なるもの」について」『思想』937号、20025

齋藤晃『魂の征服——アンデスにおける改宗の政治学』平凡社、1993

林みどり『接触と領有——ラテンアメリカにおける言説の政治』未来社、2001

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フェルナン・ブローデル(浜名優美訳)『地中海』全5冊、藤原書店、1991-1995

エリック・リード(伊藤誓訳)『旅の思想史——ギルガメシュ叙事詩から世界観光旅行へ』法政大学出版局、1993

ノルベルト・オーラー(藤代幸一訳)『中世の旅』法政大学出版局、1989

阿部謹也『中世を旅する人びと——ヨーロッパ庶民生活点描』平凡社、1978

トマス・プラッター(阿部謹也訳)『放浪学生プラッターの手記——スイスのルネサンス人』平凡社、1985

ピエール・バレ、ジャン・ノエル・ギュルカン(五十嵐ミドリ訳)『巡礼の道 星の道——コンポステラへ旅する人びと』平凡社、1986

宮崎揚弘編『ヨーロッパ世界と旅』法政大学出版局、1997

——『続・ヨーロッパ世界と旅』法政大学出版局、2001

ミシェル・モラ・デュ・ジュルダン(深沢克己訳)『ヨーロッパと海』平凡社、1996

深沢克己『海港と文明——近世フランスの港町』山川出版社、2002

藤井真理『フランス・インド会社と黒人奴隷貿易』九州大学出版会、2001

小川了『奴隷商人ソニエ——18世紀フランスの奴隷貿易とアフリカ社会』山川出版社、2002

ポール・ビュテル(深沢克己、藤井真理訳)『近代世界商業とフランス経済——カリブ海からバルト海まで』同文舘、1998

リュック・ブノワ(加藤節子訳)『フランス巡歴の職人たち——同業組合の歴史』白水社、1979

喜安朗『近代の深層を旅する』平凡社、1996

——『近代フランス民衆の<個と共同性>』平凡社、1994

マルタン・ナド(喜安朗訳)『ある出稼石工の回想』岩波書店、1997

ルイ・シュヴァリエ(喜安朗、木下賢一、相良匡俊訳)『労働階級と危険な階級——19世紀前半のパリ』みすず書房、1993

アラン・フォール(長井伸仁訳)「彼らはいかにして「パリ人」となったか
——十九世紀末パリ移住民の統合をめぐって」『西洋史学』195号、1999

ジェラール・ノワリエル「フランス人と外国人」ピエール・ノラ編『記憶の場 第1巻 対立』所収

——(佐藤章訳)「フェルナン・ブローデルへの質問」『現代思想』19938

——「フランスの移民統合モデルは有効か」ベンジャミン・R・バーバーほか『ル・モンド・ディプロマティーク』
日本語版編集部編訳『力の論理を超えて——ル・モンド・ディプロマティーク1998-2002NTT出版、2003年所収

伊藤定良『異郷と故郷——ドイツ帝国主義とルール・ポーランド人』東京大学出版会、1987

——『ドイツの長い一九世紀——ドイツ人・ポーランド人・ユダヤ人』青木書店、2002

——、増谷英樹編『越境する文化と国民統合』東京大学出版会、1998

貴堂嘉之「アメリカ移民史研究の現在」『歴史評論』625号、20025

野村達朗「アメリカ移民史学の新展開——プル・プッシュ理論からグローバルな移住史へ」『移民史研究年報』8号、2002

——『ユダヤ移民とニューヨーク——移民の生活と労働の世界』山川出版社、1995

川北稔『民衆の大英帝国——近世イギリス社会とアメリカ移民』岩波書店、1990

井野瀬久美惠『女たちの大英帝国』講談社、1998

ネイサン・グレイザー、ダニエル・P・モイニハン(阿部齊、飯野正子訳)
『人種のるつぼを越えて——多民族社会アメリカ』南雲堂、1986

ナンシー・グリーン(村上伸子、明石紀雄訳)『多民族の国アメリカ——移民たちの歴史』創元社、1997

WI・トーマス、F・ズナニエツキ(桜井厚訳)『生活史の社会学——ヨーロッパとアメリカにおけるポーランド農民』御茶の水書房、1983
あわせて中野正大、宝月誠『シカゴ学派の社会学』世界思想社、2003年も参照のこと

村川庸子『打瀬船物語——アメリカの風が吹いた村』愛媛県文化振興財団、1989

梅棹忠夫『文明の生態史観ほか』中央公論社、1998

川勝平太『文明の海洋史観』中央公論社、1997

——編『海から見た歴史——ブローデル『地中海』を読む』藤原書店、1996

網野善彦『日本中世の非農業民と天皇』岩波書店、1984

——『無縁・公界・楽——日本中世の自由と平和』平凡社、1996

——『海と列島の中世』講談社、2003

『アジアのなかの日本史』全5巻(荒野泰典、村井章介、石井正敏編)、東京大学出版会、1992-1993
編者3人によるマニフェスト論文「時期区分論」は検討に値する

村井章介『アジアのなかの中世日本』校倉書房、1988

——『中世倭人伝』岩波書店、1993

——『国境を越えて——東アジア海域世界の中世』校倉書房、1997

荒野泰典『近世日本と東アジア』東京大学出版会、1988

——「日本型華夷秩序の形成」『日本の社会史1 列島内外の交通と国家』岩波書店、1987年所収

テッサ・モーリス=スズキ(大川正彦訳)『辺境から眺める——アイヌが経験する近代』みすず書房、2000

山室信一『思想課題としてのアジア——基軸・連鎖・投企』岩波書店、2001

松田素二『抵抗する都市——ナイロビ 移民の世界から』岩波書店、1999

馬場伸也『アイデンティティーの国際政治学』東京大学出版会、1980

平野健一郎『国際文化論』東京大学出版会、2000

柴田三千雄編『世界史への問い3 移動と交流』岩波書店、1990

史学会編『アジア史からの問い——アイデンティティー複合と地域社会』山川出版社、1991

望田幸男、村岡健次監修、『近代ヨーロッパの探求1 移民』ミネルヴァ書店、1998

松本宣郎、山田勝芳編『地域の世界史5 移動の地域史』山川出版社、1998

杉原薫編『岩波講座世界歴史19 移動と移民——地域を結ぶダイナミズム』岩波書店、1999

歴史学研究会編『地中海世界史3 ネットワークのなかの地中海』青木書店、1999

深沢克己編著『近代ヨーロッパの探求国際商業』ミネルヴァ書店、2002

山下晋司ほか編『岩波講座文化人類学7 移動の民族誌』岩波書店、1996

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ヴィダル・ド・ラ・ブラーシュ(飯塚浩二訳)『人文地理学原理 上・下』岩波書店、1970
野澤秀樹『ヴィダル・ド・ラ・ブラーシュ研究』地人書房、1988年、
——『フランス地理学の群像−ヴィダル派研究』地人書房、1996年 も参考になる。

リュシアン・フェーヴル(飯塚浩二訳)『大地と人類の進化 上——歴史への地理学的序論』岩波書店、1971

——(田辺裕訳)『大地と人類の進化 下——歴史への地理学的序論』岩波書店、1972

飯塚浩二『東洋史と西洋史とのあいだに』岩波書店、1963

——『東洋への視角と西洋への視角』岩波書店、1964

——『ヨーロッパ・対・非ヨーロッパ』岩波書店、1971

クシシトフ・ポミアン(松村剛訳)『ヨーロッパとは何か——分裂と統合の1500年』平凡社、2002

アラン・コルバン(小倉孝誠訳)『風景と人間』藤原書店、2002

高谷好一『新編・「世界単位」から世界を見る——地域研究の視座』京都大学学術出版会、2001

アントニオ・グラムシ「南部問題についての覚え書」上村忠男編訳『知識人と権力——歴史的−地政学的考察』みすず書房、1999年所収

竹内啓一『地域問題の形成と展開——南イタリア研究』大明堂、1998

姜玉楚「初期グラムシの思想とイタリア南部主義」『情況』19994

——「『南部問題についての覚え書き』再読」『唯物論研究』「特集 グラムシ『獄中ノート』校訂版研究Part272号、20005

陣内秀信『東京の空間人類学』筑摩書房、1992

前田愛『都市空間のなかの文学』筑摩書房、1992

吉見俊哉「グローバル化の文化地政学」(『カルチュラル・ターン、文化の政治学へ』人文書院、2003年)

水内俊雄「地理思想と国民国家形成」『思想』845号、199411

デヴィッド・ハーヴェイ(吉原直樹監訳)『ポストモダニティの条件』青木書店、1999

アンリ・ルフェーブル(齋藤日出治訳)『空間の生産』青木書店、2000

エドワード・W・ソジャ(加藤政洋、西部均、水内俊雄、長尾謙吉、大城直樹訳)
『ポストモダン地理学——批判的社会理論における空間の位相』青土社、2003

ジリアン・ローズ(吉田容子ほか訳)『フェミニズムと地理学——地理学的知の限界』地人書房、2001

神谷浩夫編監訳『ジェンダーの地理学』古今書院、2002

リンダ・マクドウェル「空間・場所・ジェンダー関係」『ジェンダーの地理学』所収
本論文は、ジェンダーをソシアビリテの観点から考えるさいの必読文献。

RJ・ジョンストン(竹内啓一監訳)『場所をめぐる問題——人文地理学の再構築のために』古今書院、2002

小川英文「交流考古学の可能性——考古学の表象責任をめぐって」同編『現代の考古学5 交流の考古学』朝倉書店、2000年所収

——「狩猟採集民と農耕民の交流——相互関係の視角」同書所収

田中優子『近世アジア漂流』朝日新聞社、1995

北澤憲昭『境界の美術史——「美術」形成史ノート』ブリッケ、2000

『思想』(特集 グローバル・ヒストリー)937号、20025

『現代思想』(特集 浮遊する国家——外国人問題の視点から)、19938

『歴史評論』(特集 移民と近代社会)625号、20025

日本移民学会編『移民研究年報』東出版、1995年〜

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地理学の専門誌『空間・社会・地理思想』では、地理学の最新かつ重要な諸論文を、翻訳によって読むことができます。

これらの論文は、「移動と空間の歴史学」にあたってぜひ参照すべき。

(大阪市立大学地理学研究室のホームページを通じてダウンロード可能)

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