Tokyo University of Foreign Studies
東京外国語大学【2001年度カンボジア文献講読ゼミ】

カンボジア缶〜開けてびっくり!?12のインタビュー〜


「手紙」を書く

 2001年のカンボジア語専攻1年生の冬休みの宿題は、インタビューをした方に「手紙」を書き、その中で「もう一つ質問をする」というものでした。その中でいくつかのお手紙をご紹介いたします。


◆ ◇ ◆ ◇


小倉貞男さんへの手紙

小倉貞男先生

前略

 急にお便りいたしまして申し訳ございません。

 今回は、大学の授業の一環として、本学科3年生によるインタビュー集「カンボジア缶」の先生方のお話を読ませていただき、お便りいたしました。
 先日私たちが先生にうかがったお話もありとても興味深かったのですが、何よりも印象的だったのは、インタビューを受けられた方々の立場によって、同じ話題でもご 意見が全く異なっていた点でした。
 例えば、駐カンボジア大使をなさっていた今川幸雄先生は、1957年にカンボジアに行かれた時に元国王であったシハヌーク氏の歓待を受けられ、シハヌーキストになら れたという事でした。また小倉先生は、実際に虐殺現場をご覧になり、殺された人たちの「声」をお聞きになって、この加害者を許してはならないとお感じになられまし た。そして、シハヌーク国王に対するご意見も、小倉先生と今川先生では逆、という事でした。
 その他にも、虐殺の加害者側にインタビューをなさり、加害者でも個人個人はいい人たちだと感じていらっしゃる方もいました。

 今の私の意見は「とても判断が難しい」というものです。
 虐殺の加害者の裁き方、今の政治家の実際の姿、カンボジアやカンボジア人との接し方など、全てに関してそう感じています。
 このインタビューに協力して下さった方々は皆、ご自身の体験に基づいてご意見を述べておられるので、この中でどれかひとつだけが正解で後は間違い、ということは あり得ないと思います。
 しかし、「それは全て正解」という結論で終わらせてしまうと、さまざまな場面で判断に迷ってしまい、結局何一つ決められなくなってしまう気がします。やはり、自 分の意見は自分で実際にいろいろな物を見聞きした上でしっかりと身に付けねばならないと感じています。
 今度のスタディーツアーで、自分なりの意見をもつための材料を少しでも多く見つけようと思っています。

 勉強会やインタビュー集で、貴重なお話をありがとうございました。

草々

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後藤文雄さんへの手紙

拝啓

 まだ一度もお目にかかっていませんが、突然手紙を差しあげる失礼をお許しくださ い先日、同専攻の先輩方がつくったインタビュー集、「カンボジア缶」を読み、後藤様の お話と話し方にとても興味ひかれるものがあり、手紙を差しあげた次第です。

 私は、難民の方を引き取ったり、自分のお金でカンボジアに学校を作ったりしてい らっしゃるその行動力にとても感動しました。お話にもありましたとおり、やはり私 たちは自分がかわいい。世界にいくら飢えている人がいても、学校にもいけないで働 きつづける子供たちがいても、自分のしたいことにお金を使ってしまう。一教室50 万円でできるといわれても、なかなか気持ちよく出せる人はいないと思います。そし て、自分の時間をその人たちのために費やせる人もあまりいないと思います。現に私 も、困っている人のために何かしなくてはと思いながらも、少額の募金で終わってし まいます。それにくらべ、後藤さんは本当にご自分の人生を困っているカンボジアの 方にささげていてすばらしいと思います。さらに、後藤さんの話し方からは、別にた いしたことじゃないよ、といわんばかりの豪快さ(と私は感じたのですが・・・)、 そして、女の子の下着事件で、怒って一週間も口をきかないというかわいらしさ(失 礼なことを言ってすいません)。里子さんたちは、さぞ楽しい時間をお過ごしになっ たのでしょうね。難民としてとてもつらい思いをされた方もいらっしゃると思います が、良い先生に恵まれ、良いお父さんにも恵まれて、とてもうらやましいです。

 最後に、後藤さんのお話が読めたことにとても感謝しております。たくさんのこと を学ぶことができました。そして、私は近いうちにカンボジアに行こうと思っていま す。やはり現地に言ったほうが、勉強意欲もわくと思いますし、将来、自分のしたい ことが見えてくるかもしれません。かっこいいからと欧米ばかりに目を向けないで、 もっと身近なアジアを知りたいと思います。そしてそのときは、お話の最後にあった ように、‘その国の人たちを尊敬する’という気持ちを忘れずに持っていきたいと思 います。

敬具

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五味喜久子さんへの手紙

拝啓

 初めまして。この度は、「東京外国語大学カン ボジア語文献講読ゼミのインタビュー集」を楽しく読ませていただきました。それ で、五味さんのお話にとても興味を持ち、このようにお手紙を書いているしだいで す。

 早速ですが、五味さんは津田スクールオヴビジネスを卒業されていますが、せっか く学校を卒業したのに、すぐに結婚して家庭に入ることに何の躊躇もなかったので しょうか?私は、家事が何もできないということもあり、もし自分の彼氏に「結婚し たら、暖かい家庭を作るのが俺の理想なんだ。だから、家庭に入ってくれ、その代わ り生活費は俺に任せろ。」などということを言われたとしても、結婚には二の足を踏 んでしまうし、結婚後も今までの学業を生かせる仕事を続けていきたいなぁと思って います。まして、五味さんの場合は国際結婚ということもあり、カンボジア人のご主 人との結婚に踏み切ったことに、とても驚かされました。

 ところで、私は東京外国語大学でカンボジア語の勉強がしたかったのではなく、偶 然、入学したのがカンボジア語科であっただけなのですが、このインタビューの中で 五味さんは、「偶然、結婚したのがカンボジア人だっただけで、別に彼が外国人とか そういうのは全然気にしていませんでした。」とおっしゃっていたのですが何も知ら ずにカンボジアへ渡り、まず戸惑ったことは何ですか?私の場合は、こちょこちょし た丸っこいカンボジア文字に戸惑ってしまい、この先カンボジア語の授業についてい けるのか不安で不安で仕方がありませんでした。

 最後に、五味さんへのインタビューの中で、最も印象的だったのが、クラチエ州の チェロン市に住んでいらしたときのご自宅の近くを流れるメコン川の風景描写でし た。「石を投げれば魚が飛び跳ねる〜」と知り、考えただけでもワクワクしてきまし た。去年の夏、私もカンボジアに行ってきたのですが、トンレサップ湖に続く川には これといって魚の姿は見当たりませんでした。水上生活者の人々もどことなく活気が ありませんでした。これも、ポルポト時代が影響しているのかなと思うと残念であり ません。しかし、カンボジアはこれからが正念場の国です。国際機関や民間団体がお 手伝いさんとして、カンボジアの国の復興をめざしています。色々な困難をしいられ るでしょうが、五味さんが見てこられた自然の生命力に溢れたカンボジアを一日でも 早く見たいものですね。

 今後のご健康とご活躍をお祈りしています。

敬具

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福富友子さんへの手紙

 はじまして。3年生のインタビュー集で先生のページを読ませていただきました。

 先日、NHKのドキュメンタリー番組でカンボジアの影絵芝居についてやってい たのを見ました。戦争で親をなくした子供たちが、施設で共に生活し、その中で 影絵芝居を練習することによって小さな希望を見出していました。また、影絵を 見るときの子供たちの楽しそうな表情に、日本の子供とは違った、何か生き生き とした感情が感じられました。番組では施設にいるある一人の男の子に焦点を当 てて進められていました。今の私と同じ位の年齢なのに、とてもしっかりしてい ました。彼は何年にもわたる戦争で両親をなくし、今まで辛い幼年期を過ごしま した。しかし、施設に入り、影絵芝居に触れたことによって影絵師になりたいと いう夢、つまり希望を持つようになりました。確かに今のカンボジアは暗いイメ ージが多いですが、芸術というのは人を明るくする力があって、それがカンボジ ア国をも明るくするのだと思います。福富さんもそういった影絵芝居の力に魅せ られたのですか。

 大変失礼ですが、先生は思い立ったらすぐといった性格ですか。先生のインタ ビューを読んでそう感じました。自分のやりたいことを自分自身で見つけようと する姿に感銘を受けました。日本の仕事を辞め、カンボジアで一人暮しをはじめ る決断力。好きなことを仕事にしている人なんてほとんどいないと世間では言わ れていますが、すべて自分次第、自分から動いていかなければならないと感じま した。

 いつかカンボジアに行ったときには、ぜひ生で影絵芝居を見てみたいです。し かし、後継者がいなく、スバエクトムがなくなってしまう恐れがあると聞きまし た。今後私が行くまでに影絵の世界でもっと多くの若者が活躍し、繁栄している ことをを望みます。そのためには、カンボジア人でも日本人でも、もっと影絵の ことを知ってもらう必要があると思います。先生はカンボジアが好きですか。イ ンタビュー集の中のカンボジアに関係がある日本人の方々は、皆単純にカンボジ アが好きである、と知りました。私もこれからカンボジア語や文化を通してもっ と好きになっていきたいです。

 読んで頂いてありがとうございました。

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松井やよりさんへの手紙

 松井やより様

 初めまして。私は東京外国語大学でカンボジア語について学 んでいます。松井さんへのインタビューを興味深く読みました。女性問題に取り組む ようになるまでに、男性中心の世界で様々な経験をなさったのですね。女を馬鹿にし て、女であることが恥ずかしいと思っていた時期もあったなんて意外でした。私は松 井やより様、今までフェニミズムやジェンダー論といった、女性を尊重する考え方 を敬遠していました。自分も女なのですが、変に犠牲者ぶって狭い考え方をしている なと感じて好きになれなかったのです。世の中には、いろいろな理由で差別や偏見を 持った目で見られたり、虐げられている人々が数多くいて、その中で女性差別という ものはそれほど深刻ではないと思っていたのです。でも、それは自分が女だからとい う理由でいやな思いをしたり、苦労したことがなかったからなのだと気づきました。 まだ私が社会に出ていないこともあるのでしょうが、日本は昔に比べると随分女性の 立場が上がり、活躍の場が広がりました。自分で権利を主張する必要がなかったので す。私こそ狭い考え方をしているのだな、本当に未熟だなと感じました。ただ、本当 の意味での民主化は、日本もまだまだなのですね。このことについても、私は今まで 深く考えてきませんでした。憲法に国民主権と記されていても、実際にはその段階に 追いついていません。一般国民が一人一人力をつけて、社会をつくっていくことが大 切なのですね。

 カンボジアのほうに目を向けてみると、現在この国の男性の人口はポル・ポト時代 の影響で極端に少ないです。このような社会では、女性にかかる負担は非常に大きな ものになります。女手ひとつで家族を養ったり、重労働をしなくてはならなくなりま す。また、結婚相手を見つけることができなかったり、重婚が暗黙の了解になってし まったり、ポル・ポト時代のトラウマを抱えていたりと精神的な苦痛もあります。あ まりにもたくさんのものが破壊されてしまって、心を癒すものもないことでしょう。 それでも、内戦で悲惨な状況にあるこの国を建て直していくには、生き抜いてきた女 性たちの力がとても必要ですよね。松井さんが、カンボジアの女性たちは頑張ってい るという印象を受けられたと聞いて、彼女たちは強いなと頭が下がる思いがしまし た。

 これからの時代には、松井さんのような精力的な女性がより求められることになり ますね。私も、女性の強さを身につけることができるよう努力します。それではさよ うなら。

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