大川 正彦 (OKAWA Masahiko)

氏名 / Name 大川 正彦 (OKAWA Masahiko)
所属職名 / Affiliation 大学院総合国際学研究院/教授
Institute of Global Studies/Professor
電子メール / Email
ウェブページ / Website
学位 /
Degree
  • 修士(政治学)(早稲田大学) 1991年
研究分野(e-Rad分野) /
Research Field(s) (by e-Rad)
  • 政治学
    Politics
  • 哲学、倫理学
    Philosophy and ethics
研究キーワード /
Research Keywords
  • いのち論,協働身体生成論,結社と技術,わざと型,動詞人間学,両棲類であること(culture of addiction and culture of recovery)

自己紹介 / Biography

 去る2月26日、市民聴講生の集いに呼ばれて、「うらおもて学問録――どんなことばを食べて生きてゆくのか? 伝えのこすのか?」というタイトルでお話をさせていただいた。
 いつ手にしたのかは忘れたが、内田義彦『社会認識の歩み』(岩波新書、1971年)に出会って以来、日常の言葉と学問の言葉とのかかわり、乖離といったことが気になり、授業で、ことあるごとに触れてきたし、じぶんの勉学のうえでも留意してきた。さらに、柳父章『翻訳語成立事情』(岩波新書、1982年)を介して、この国の社会科学のことば、社会を語ることばの多くが翻訳語として成立したという事情を知るにつれ、じぶんが使っていることばは、いったい何なのか、とおもいもしてきた。
 とはいえ、あの4年前の2月10日から5月9日の三か月、ARPの専門病院に入院する以前を省みると、ぼくじしんの日常のことばにしろ、学問のことばにしろ、どちらもテンでなっていなかったことに気づかされた。頭で覚えただけのエエカッコしぃのことばを口から出るに任せていただけ。書き散らかしていただけ。他人に向けては、できるだけ心臓をグサリと抉るようなことばを、ここぞとばかりに選ぶことに全力を注いだ。じぶんにたいしては未練たらたら責め続けたりするようなことばを投げつけていた。つまりは、どうしようもなく、不味いことばを食べてばかりいたのだ。
 退院してから、ふつう大人はどうやって生活するのか、どうやって仕事をつづけているのか、と藁をもすがるような気持ちでいたとき、たまたま出会ったのが、色川武大『うらおもて人生録』(新潮文庫、1987年)。背伸びして優等生ぶるのではなく、なんもかざらず、劣等生のまま生きてゆこう、勉強しなおそう、とおもったものだった。その後、この本から知った「一病息災」をモットーにして、じぶんのaddictionや、ことばの使い方を振り返り、セルフ・ケアにつとめてきた。家を出て、職場に行き、教室でともに学ぶ仁(ひと)たちに会いに行くことと、recovering addictsの集まりに通って、先行く仲間にしらふの顔を見ていただくこと、このどちらも、いまのぼくにとっては、「今日一日」(one day at a time)、一日断酒のその日暮らしを、一日いちにちとつないでゆくために欠かせない日課となっている。(2015年3月10日、記す。)

学歴 / Academic Achievement

  • 1991年03月 早稲田大学大学院政治学研究科博士前期課程・政治思想史専攻 修了
    1991.03 Waseda University Graduate School, Division of Politics Completed
  • 1994年09月 早稲田大学大学院政治学研究科博士後期課程・政治思想史専攻 単位取得満期退学
    1994.09 Waseda University Graduate School, Division of Politics Accomplished credits for doctoral program

主要研究業績 / Main Research Publications

論文 / Papers

  • 研究ノート「労働と政治の〈現在〉史にむけて」, クァドランテ, 20巻, 175-186, 2018年
  • 文庫版解題 足・耳・口の力、約束の想い起こし――ウォルツァー『解釈としての社会批判』のもうひとつの読みかた――, マイケル・ウォルツァー『解釈としての社会批判』(大川正彦/川本隆史=訳)〈ちくま学芸文庫〉筑摩書房, 2014年
  • 憲法 小さきものの読み方――ネオリベラリズムと変容する戦争の時代のなか、日本国憲法という瓦礫から破片(かけら)を拾い集める, 『ネオリベラリズムと戦争の変容』(研究代表者・西谷修、2003-2005年度科学研究費補助金(基盤研究(B))研究成果報告書), 92-103, 2006年
  • 分かち合い、分かり合い、その困難(上), 『未来』, 375号, 16-23, 1997年
  • 分かち合い、分かり合い、その困難(下), 『未来』, 376号, 8-15, 1998年
  • 悪・暴力・不正義――暴力批判としてのフェミニズムの視点から眺める, 日本法哲学会編『法哲学年報2003 ジェンダー、セクシュアリティと法』有斐閣, 7-18, 2004年
  • 会話のなかの棘――J.N.シュクラールの政治哲学をめぐって, 日本法哲学会編「法哲学年報 1996 多文化時代と法秩序(有斐閣), 180-187, 1997年
  • 所有・人格・責任――「自己所有権」の再審にむけて, 佐藤康邦編「応用倫理学の新たな展開 -倫理学におけるミクロ的視点とマクロ的視点の統合をめざして-」, 186-197, 1996年
  • 人格、所有、アイデンティティ――ヘーゲル「抽象的法権利」論の一考察, 早稲田政治公法研究, 44号, 159-183, 1993年
  • 共同体主義による所有的個人主義批判――マクファーソン、テイラー、ウォルツァー, 早稲田政治公法研究, 54号, 185-214, 1997年
  • ヘーゲル市民社会論における私的所有と社会的資源(上)――「自己所有権」テーゼ批判をめぐって, 早稲田政治公法研究, 41号, 243-259, 1993年
  • ヘーゲル市民社会論における私的所有と社会的資源(下)――「自己所有権」テーゼ批判をめぐって, 早稲田政治公法研究, 42号, 159-183, 1993年

書籍等出版物 / Books and Other Publications

  • 〈思考のフロンティア〉正義, 岩波書店, 学術書, 単著, 1999年
    Justice, Scholarly book, Sole author, 1999
  • 〈哲学のエッセンス〉マルクス――いま、コミュニズムを生きるとは?, 日本放送出版協会, 学術書, 単著, 2004年
    Marx: What It Means to Live in Communism Now?, Scholarly book, Sole author, 2004
  • 新・哲学講義6 共に生きる, 岩波書店, 学術書, 共著, 1998年
  • 所有のエチカ, ナカニシヤ出版, 学術書, 共著, 2000年
  • 政治と倫理のあいだ――21世紀の規範理論に向けて, 新評論, 学術書, 共著, 2001年
  • 市場経済の神話とその変革――〈社会的なこと〉の復権, 法政大学出版局, 学術書, 共著, 2003年
  • 親密圏のポリティクス, ナカニシヤ出版, 学術書, 共著, 2003年
  • 歴史と責任――「慰安婦」問題と一九九〇年代, 青弓社, 学術書, 共著, 2008年
  • なぜ悪いことをしてはいけないのか, ナカニシヤ出版, 学術書, 共著, 2000年
  • 西洋政治思想史II, 新評論, 学術書, 共著, 1996年
  • テッサ・モーリス=鈴木『辺境から眺めるーアイヌが経験する近代』〈新装版〉, みすず書房, 学術書, 単訳, 2022年
  • リチャード・ローティ 『偶然性・アイロニー・連帯――リベラル・ユートピアの可能性』, 岩波書店, 一般書・啓蒙書, 共訳, 2000年
    Richard Rorty, Contingency, Irony, and Solidarity: Possibility of Liberal Utopia, General book, introductory book for general audience, Joint translator, 2000
  • マイケル・ウォルツァー『道徳の厚みと広がり――われわれはどこまで他者の声を聴き取ることができるか』, 風行社, 学術書, 共訳, 2004年
    Michael Walzer, Thick and Thin: Moral Argument at Home and Abroad, Scholarly book, Joint translator, 2004
  • マイケル・ウォルツァー『解釈としての社会批判』 〈ちくま学芸文庫〉, 筑摩書房, 学術書, 共訳, 2014年
    Michael Walzer, Interpretation and Social Criticism, Translation, Scholarly book, Joint translator, 2014
  • マイケル・ウォルツァー『寛容について』新装版, みすず書房, 学術書, 単訳, 2020年
    Michael Walzer, On Toleration, Scholarly book, Sole translator, 2020
  • 現代倫理学事典, 弘文堂, 事典・辞書, 分担執筆, 2006年
    Encyclopedia of Contemporary Ethics, Dictionary, encyclopedia, Contributor, 2006
  • 道の手帖 マルクス『資本論』入門――危機の資本主義を超えるために, 河出書房新社, 一般書・啓蒙書, 共著, 2009年

Last updated on 2022/4/13

PAGE TOP